3Dプリンターで便利小物ドアストッパーを作る方法
3Dプリンターで作れる便利な小物として今回はドアストッパーをご紹介します。ドアストッパーはその名の通り、ドアを閉めないように止めるストッパーのことで、換気など行う際に使用します。ドアストッパーは一般的にゴム製ですが、ゴム材料が使用できる3Dプリンターを使えばオリジナルのドアストッパーを作ることが可能です。
3Dプリントドアストッパーの形状
今回作成するドアストッパーはドアが引っかかるように比較的厚めで段差がある形状のものを選択します。
便利小物ドアストッパーの3Dデータの作成・入手方法
初めに3Dデータを用意する必要があります。STL形式かOBJ形式の3Dデータがあれば3Dプリントが可能です。
3Dモデリング
ドアストッパーの3Dデータを作るにはFusion360のような3DCADソフトがおすすめです。操作も簡単で初心者にもやさしいCADソフトです。
フリーの3D素材を利用する
フリーの3Dデータから素材をダウンロードする方法もあります。無料で利用できる3Dデータサイトが複数存在します。例えばThingiverseなどの無料3Dデータサイトで「stopper」などと検索すると複数無料データがダウンロード可能です。
光造形3DプリンターForm3+で造形
カードスタンドは光造形3Dプリンタ―のForm3+で造形を行います。Form3+は高精細で滑らかな造形ができるうえに高い安定性を持っている3Dプリンターです。
レジンの選択
まず初めにどのレジンでプリントするか選択を行います。ドアストッパーは一般的にゴム製であることやドアの間に挟む耐久性が求められることから柔軟性がある素材を選択します。
Form3+ではゴム系の材料としてフレキシブル80A、エラスティック50Aの2種類が使用できますが、より耐久性が高いフレキシブル80Aを選択します。
フレキシブル80Aを選択した理由
Formlabsのフレキシブル80Aはゴムライクのレジンで、ショア硬度80Aの柔軟性を持つレジンです。一般的な存在でいうとタイヤのトレッドに近い硬さになります。特長として、半透明の見た目、引き裂き強度が強いため避けにくく、さらに高速造形が可能です。
また積層ピッチは50ミクロン、100ミクロンの2種類の積層ピッチから選択が可能です。
専用ソフトウェアPreformでプリント設定
専用ソフトウェアPreFormでプリント設定を行います。PreFormはFormlabsのスライスソフトで、簡単に設定が可能です。
プリント方向を設定
カードスタンドはかなり長い形状をしている点、またForm3+は縦方向の造形が非常に滑らかな仕上がりができる点から、縦に立ててプリントします。
またフレキシブル80Aは、サポートがないとビルドプラットフォームにうまくくっつかないケースがあるので、今回はサポート材をつけてプリントします。
サポート材の設定
サポート材はこの方向に合った形で自動生成を行いますが、側面などの余分な部分は可能な限り減らしてプリントを行います。
積層ピッチ
積層ピッチはデフォルト100ミクロンでプリントを行います。
ビルドプラットフォームから取り外す
光造形3Dプリンターでは、ビルドプラットフォームにしっかりと造形モデルがくっついています。Form3+の場合はラフトとビルドプラットフォームの設置面が真空状態になっており専用工具を使用して取り外します。
専用工具の中でも取り外しやすいのがヘラとハンマーです。スクレイパーは小型の造形物には最適ですが、今回のブラケットの場合、精密な形状や細かい部分などが折れないように、造形物が飛ばないように取り外しを行います。
まずラフトとプラットフォームの間にヘラをあてます。
次に軽くハンマーでヘラをたたきます。この際、加える力はほんの軽くで大丈夫です。ヘラが少しでも入れば、そこから空気が入り込み、真空状態が無くなり簡単に造形物が取れます。特にフレキシブル80Aの場合、へらを少しずつラフトとビルドプラットフォームの間に入れると傷をつけずに取り外しが可能です。
洗浄
造形物の取り外しができた後は、エタコールで洗浄を行います。洗浄にはIPA(イソプロピルアルコール)やエタノールなどがありますが、第二種有機溶剤に該当しないエタコールがおすすめです。
※IPAでもエタコールでもレジンが溶けだしてしまうと産業廃棄物扱いになります。
仕上げキットを使用する場合
仕上げキットを使用する場合、各バスケットに10分ずつ、合計20分程度ひたしてください。洗浄時間はエコタールの濃度によって異なります。洗浄が続き汚れている場合には少し長め、もしくは別途、エタコールで拭き取ってください。
FormWash(自動洗浄機)を使用する場合
FormWashでは、自動で攪拌してくれて洗浄完了後、引き上げてくれます。こちらも20分程度洗浄を行ってください。
乾燥
エコタールで洗浄後は乾燥をおこなってください。乾燥時間は1時間程度あれば十分です。
サポート除去
さてここからはサポートの除去を行ってまいります。サポート材は手でも取り外すことができます。サポート材はすぐにとりはずさないで、造形後に、造形モデルを十分乾燥十分乾燥させるとサポート材は簡単に取り外しが可能です。またなるべく造形物を傷つけないように、ニッパーを使う方法もあります。
仕上げ:ゴム専用塗料で塗装
3Dプリンターのゴム材料では、光造形もFDM方式も強度が弱わかったり、耐熱性や耐UV製があまりないケースがあります。そのため造形後にゴム専用塗料でコーティングを施すと、強度が向上し、表面の耐摩耗性や耐UV製がUPします。今回出力したドアストッパーも、弊社で販売準備中のゴム専用塗料でコーティングを施しました。
仕上がりとコスト・リードタイム
それではカーテン留めの仕上がりとコスト、リードタイムなどをご紹介しましょう。
造形時間 | 3時間28分 |
レイヤー数 | 360 |
材料使用量 | 53.68ml |
材料コスト | 1,449円 |
まとめ
3Dプリンターでは出力したままのものでは最終品として使用できない場合があります。そのため今回のように表面の耐久性を向上させる塗料やコーティング材などを合わせて使用するとよりモノづくりとしての用途が広がります。