3Dプリンターでフィギュア用データを作る:Zbrushの使い方

Zbrushでの3Dデータの「穴埋め」

それでは3DプリンターのForm3でフィギュアを造形するために、さらにモデルを修正していきましょう!

前回は「Blender」での穴埋めをおこないましたが、今度は「Zbrush」での穴埋めです。
Zbrushには一発で穴閉じできる便利な機能があります。
もし「Zbrush」をお持ちでない場合は読み飛ばしていただいて結構ですが、知識として機能は知っておいて損はないと思います。

実際は「Zbrush」のみで一発穴埋めがうまくいく場合と、ある程度「Blender」で穴埋めをしておいてそののち「Zbrush」で一発穴埋めを行うという、2パターンがあります。
 これの見極めはある程度の経験が必要と思いますので、ぜひ数をこなして経験値を上げていってください。
今回は一例として「胸」部分の穴を埋める方法を記述いたします。

先ほどの「Blender」での穴埋めに、この「Zbrush」での方法も加えて処理が進められれば幸いです。

Zbrushの作業環境整備

まず加工しやすいように、環境を整えましょう。
「Ctl+Alt+Q」ボタンを押すことで、「4面図⇔パース図」が切り替わりますので、適宜切り替えて作業してください。

今回腹部を見たところ胸から腹部にかけて穴が複雑な形状をしています。
いったん「Zbrush」にインポートして、うまく一発で穴埋めができるか、検証してみましょう。

3DデータをZbrushにインポート

それでは、データをZbrushにインポートしたいと思います。
その前にまず「Blender」側で「OBJ」形式に出力しておく必要があります。

Blenderの「オブジェクトモード」で、胸のパーツをクリックして選択状態にします。

それから、ファイル/エクスポート/wavfront(.obj) を選択します。

パネルが表示されるので、右端の「選択物のみ」にチェックを入れてから、下部の「OBJをエクスポート」を押して保存してください。

すると、選択したパーツのみ保存されていることが確認できます。

このようにして、パーツを個別に保存できますので覚えておきましょう。

それでは次に「Zbrush」へインポートしましょう。

※「Zbrush」表示は日本語環境で行いますので、「メニューの環境設定/言語」にて日本語表示に切り替えてください。

インポートするにあたり、まずは「メニューのファイル/別名保存」にて、任意の名前で保存をしておいてください。
これを行わないと、インポートしたオブジェクトが編集できないようです。

次に、先ほどBlenderからエクスポートしたデータの胸のOBJデータを、インポートボタンを押して読み込んで下さい。

そうすると、ツールにオブジェクトが読み込まれます。

画面でマウス左ボタンを押したまま、下方向に移動して離す(ドラッグアンドドロップ)してください。
そうすると、インポートしたオブジェクトが画面に拡大されながら表示されます。
大きさは適当で構いませんので、左ボタンから指を離して大きさを確定させてください。

そして、画面左上部にある「編集(Edit)モード」ボタンを押して「オレンジ表示」させて、編集ができる状態にします。
これで、読み込んだ胸部分の加工ができる状態になりました。

※すみません、オブジェクトの回転や拡大の操作に関しては割愛しています。

Zbrushでの3Dデータ分割を再考察

 Zbrushでの穴埋めの方法は複数あり、また一発で穴埋めする手間がかからない良い方法もあるのですが、制御があまりできません。
今回は、このようになってしまいました。

Zbrushに複数あるどの穴閉じ機能でも、胸のあたりの穴がどうしても破綻するようです。
その結果をふまえて、今回は「Blender」で胸の下あたりの穴を穴埋めし、もう少しシンプルな穴の形状に修正したのちに、「Zbrush」で残りの穴に対して一発穴埋めを行いたいと思います。

Blenderにて、前出の方法で胸の下の穴埋めをおこないます。
その時には一方向からばかりでなく、あるゆる方向から面張りを心がけるとキレイに穴埋めができます。

例えば、Blenderで今回の場合、まず体の中心位置から胸の穴埋めを始めましたが、徐々に外側にポリゴンを張っていくと、うまく面を張れなくなってきます。

そこで、中心からの面張りを途中で止めて、今度は外側から中心に向けて、面を張っていきました。

このようにして胸部分の穴を埋めてしまいました。

これで腕や腹部に、ぽっかりとシンプルな穴が開いているだけの状態になりました。

ここで「Blender」での作業はいったん終わりにして、胸だけでなく全部のデータをエクスポートしてしまいます。
その後に「Zbrush」に全データをインポートして残りの穴埋めをおこないます。

※ここでは見本として、胸だけの3Dデータでの実演をお見せします。
本番では全てのデータを一緒に移動させるようにしてください。
どうしてまた「Blender」から全データをインポートするのかと言いますと、個別に「Zbrush」に「インポート」した場合、それぞれのパーツの位置関係が崩れてしまうためです。

Zbrushでの「一発穴閉じ」

それではZbrushに先ほどの3Dデータをインポートしましょう。
インポート方法は、このコンテンツページの最初のほうの「3DデータをZbrushにインポート」に出ていますので参照してください。

それではさっそくインポートした3Dデータの穴を閉じましょう。
右パネルにある「ジオメトリ/トポロジー編集/穴閉じ」のボタンを押してください。

そうしましたら何やら穴同士がからみあった変な穴閉じ状態になってしまいました。
これではせっかくのフィギュアが台無しですね。
これはちょっとした「気付き」で回避できる現象なので、修正してしまいましょう。

それでは上部にある「UnDo/ReDo」スライダーを左に戻して、穴の開いた状態に戻しましょう。

穴閉じと同じパネルにある「ジオメトリ/トポロジー編集/頂点結合」を1クリックしてください。
画面に変化は出ませんが、内部的には二重になっているポイントが結合されています。

もう一度「穴閉じ」を実行しますと、今度は一発で「腕」や「腹部」の穴がきれいに埋まっていることが確認できます。

この章のまとめ

Zbrushで、一気に穴埋めする方法をご紹介しました。
Blenderを補助的に使うことで、より理想的な形状の穴閉じができることも見ていただきました。
ソフトの利点と利点を効果的に複合させることで、より専門性の高い作業が可能になるのです。