Zbrushで「首回り」に「ダボ」を配置する

身体の中でも、比較的複雑な部分の分割方法:「首回り」編 

 こんにちは!Z造形師です。

それでは3DプリンターのForm3でフィギュアを造形するために、さらにモデルを修正していきましょう!

Zbrushでダボをブーリアンする

前回に引き続きZbrushにて、基本形として保存している「ダボ」を取り込んでブーリアンして行きましょう。
今回はちょっとひと工夫必要な箇所がありますが、それは後にまわして簡単なところから進めていきましょう!

まずは、「胸肩」と「下側のエリ」の接合部を加工しましょう。

「ダボ」の向きですが、今回は「下側のエリ」側を凸にして、「胸肩」側を凹で配置しましょう。

 この「ダボ」の配置作業も定番ですね。
「ダボ」をツールパネルで選択して「現在のツール」表示してから、「コピー/ペースト」で本体データに取り込んで、上部の「移動/回転/スケール」ボタンを有効化してマニュピレーター表示してください。
 マニュピレーターがずれているので、アイコンの位置マーカーを選択して移動すればダボ中心に移動するので操作しやすくなります。
そして、図を参照して適切な位置・大きさに配置してください。

 この図を見るとダボの土台が「下側のエリ」に収まらずにはみ出ていますが、これは「下側のエリ+上側のエリ」の接合加工時に処理しますので、ここではこのままで良しとしておきましょう。

 例によって、「ダボ」をポリグループ分けしてから2レイヤーに分割してください。
そしてレイヤーを整理してから、「胸肩」に凹のブーリアン「下側のエリ」に凸のブーリアンを実行してください。
下図を参照して、ブーリアンの詳細設定をしましょう。

ブーリアンで自動生成された別ツールを、忘れずに本体データに「コピー/ペースト」して取り込んで差し替えをしておいてください。

それでは次に「上側のエリ」と「下側のエリ」の接合部分の加工に進みましょう。

 見ての通り、このエリの2サブツールは両方とも厚みが無いため、ダボを差し込む余地がありません。
そこで工夫が必要になるわけです、これが冒頭で予告していました後回しにしていた「ひと工夫」です。

それではまず、ここで首を表示します。
よく確認しますと、首には「ダボ」が収まる空間が確保できそうですね。

 エリ自体には厚みが無くダボの収納空間はありませんが、ここは首の空間を利用することで、ダボをうまく配置することができそうです。
ちょっとまだイメージがつきにくいと思いますので、進めながら仕様を確認していきましょう。

 新しい「ダボ」を下図のよう配置して、先ほど収まらずにはみ出していた「ダボ」より大きくしておおうように配置してみましょう。

ここでの注意点は、これら「ダボ」の構造は二重になっていて内側のダボが凸側である点です。
つまり上図のように外側ギリギリでは、内側の凸用ダボでははみ出しをおおいきれないと思われます。

少々大きめに見える程度で、ちょうど良い感じなのです。

ところが各部を一緒に表示して確認すると、首に対してダボの方向が少々具合が悪いようです。

 これを首に合わせて配置しなおします。
この時マニュピレーターの位置や形状と、ダボの位置形状が一致していない場合があります。
その時はマニュピレーターを「Alt」を押しながら移動回転すると初期位置を変更できます。
そして操作しやすい状態にしてから、位置回転を調整してください。

回転等したために、このダボの土台部分は加工修正が必要なようです。

 「下側のエリ」に凸ダボをブーリアン加算します。
ですが、見ての通り下部にはみ出しがあるのでここを先にブーリアン削除してからのブーリアンとなります。
下図のように設定して、ブーリアンしてください。

「ブーリアン/ブーリアンメッシュ作成」を実行してから下さい。
また、自動生成された別ツールからゴミを削除しましょう。

別ツールを「現在のツール」として表示すると、ポリグループが混在しています。

マスクでゴミを選択しても良いです。
または「ジオメトリ/トポロジー編集/頂点結合」して「ポリグループ/自動グループ」でポリグループ分けを個体ごとにしてから「Ctrl+Shift」で必要な方のパーツをクリックして選択でも、良いです。
今回は、後者のポリグループ選択で作業を進めました。

どちらの方法でも、「ジオメトリ/トポロジー編集/非表示削除」で削除を行いましょう。

このサブツールを本体データに取り込んで差し替えて、「下側のエリ」に加算ブーリアンします。
念のために、このサブツールの接地面をほんの少し「下側のエリ」にめり込ませてブーリアンが完全に行われるようにしましょう。

本体データに取り込んだダボを表示して、「ポリグループ/法線グループ化」を押してください。
下図のように各面がポリグループに分けられます。
そして、接地面のポリグループを「Ctrl+Shift」を押しながらクリックして、他のポリグループを非表示にします。

上部パネルの「移動/回転/スケール」を有効化し、表示した接地面ポリグループをほんの少し「下段エリ」内部にめり込ませておきます。

それでは、「下側のエリに凸」「上側のエリに凹」をブーリアンして行きましょう。

 そしてこの「下側のエリ凸」のダボを、「上側のエリ凹」を貫通して「首」のダボも兼用させてしまいます。
そのため、首の凹ブーリアンのダボは、「上側のエリ凹」で使用したダボをそのまま利用します。
文章だとややこしいですね、ついてこれていますか?

宝飾品をリボンに接合する

 エリ周りの最後の作業として、「宝飾品+リボン」の分割接合をおこないましょう。

Zbrushの画面では宝飾品は大きく見えますが、実際は5mm程度の大きさのものです。
そのためダボも大きめに配置しないと、1mmの小さな突起程度になってしまいます。
スケール観には十分注意して下さいね。

今回は、ブーリアンで接触する面とダボの両方の形成を一回で行います。
部品が小さいことと接地面積が小さいので、問題ないと判断しています。

下図を元に設定して、ブーリアンしてください。

また凸側の「下側のエリ」にも、ダボをかなり縮小して配置してブーリアンしておいてください。

これで、エリ部分の分割接合加工が完了しました。

さてだいぶ分割接合加工にも慣れてきたのではないでしょうか。
 「ダボを配置してのブーリアン加工」と、これをスムースに行うための前加工である「クリース(折り目)をつけてからのサブディバイド」に「切断面自体を完全形状一致させるためのブーリアン」などなど。
 これらの要領をマスターすれば、3Dプリンターのフィギュア出力は万全です!

※その他の残りの接合部として「パンツとスカート」部分などがありますが、これらのブーリアンは上記の基本で十分作業ができます。
そのため、ここでは割愛させていただこうと思いますので、ご了承ください。

それでは、いよいよ最後の接合箇所であり難所の「髪の毛」について、次回解説いたします!

この章のまとめ

今回は「二重になったエリ」を別々に配置して「首」と「胸肩」とうまくジョイントできるような、ちょっと特殊な接合方法をご披露しました。
このあたりのジョイントを自分で判断して加工できれば、読者の皆様は立派な3Dプリンター造形師になれますよ!
修行を積んでさらなる高みを目指しましょう!