身体の中でも、単純な部分の分割方法:「ブーツの靴」番外編
こんにちは!Z造形師です。
それでは3DプリンターのForm3でフィギュアを造形するために、さらにモデルを修正していきましょう!
今回は分割接合ではなく、ちょっとした番外編の周辺作業になります。
と言いますのも、「ブーツの靴とふくらはぎ」の分割接合は、前回の「太ももとブーツ」の内容とまったく同じだからです。
ブーツの靴の塗装アタリをつける
単純な部分としての最後は「ブーツのふくらはぎと靴」の講座になりますが、以前展開した「1)プリント前の主要なモデルチェックポイント」の「D)塗装ですべて仕上がるか?」で、「ブーツの靴」などが塗装する時にこのままだと「塗装のアタリ(ガイド)」がなく塗りにくいだろうことを申し上げておりました。
ほんとうは初期時点で「塗装アタリ」を付けるように改良をしておいても良かったのですが、なにぶん複雑な作業にもなりますのであえて慣れてきた後半に回した次第です。
なので、この場を借りて「ブーツの靴」を塗装アタリを考慮しながらきれいに立体化をしてみようと思います。
以前Zbrushで作成したデータはあるのですが、復習と思って改めてBlenderで作成しなおしてみましょう。
もしも、靴は塗装アタリ無しで描けるから大丈夫だと言われる方は、ここは読み飛ばしてください。
ブーツの靴に塗装アタリをつける
ここでは、見やすいように靴部分を単独レイヤーにして作業していきます。
本当は、全身のそろった状態で作業してください。
また全体が完了したのちに、Zbrushにデータを移行してください。
Blender内ではブーツの靴などのテクスチャーが読み込まれているため、これを元にブーツ靴の「ピンク部分の塗装アタリ」を作成したいと思います。
もしテクスチャーが表示されていない場合は、画面右上の「3Dビューのシェーディング」ボタンを切り替えて、「マテリアルプレビューモード」を選択してください。
まず3Dデータをなめらかにするサブディバイド機能を設定したときにエラーが出る原因の「shape」を削除しておきましょう。
この「shape」はハッカドール2号にもともと含まれていた、顔などの変形用のモーフデータなので今回は不必要なものです。
Blender画面右下の「オブジェクトデータプロパティ/シェイプキー」にて、「全シェイプキーを削除」しておいてください。
つぎにBlender画面左上の「編集モード/面選択」で、三角ポリゴン→四角ポリゴン化しておきましょう。
もちろん三角ポリゴン→四角ポリゴン化しても三角ポリゴンも多少残存しますしテクスチャーの乱れも発生しますが、三角ポリゴンのままだとサブディバイドした時のポリゴンの生成形状に変なくせが発生し、できるだけ四角ポリゴンを中心になめらかに生成しておきたいわけです。
エッジのクリース(折り目)を設定してエッジをくっきりと出したいので、該当するエッジを選択していきます。
そして「Shift+E」ショートカットで「辺のクリース」を選択してから、出現した矢印でエッジ付近を選択して設定していってください。
そうすると「辺のクリース」パネルが出現するので、「係数」を「1」に上げてください。
先ほど選択したエッジの色が、赤っぽく変化すると思います。
この状態でサブディバイドを2回かけましょう。
では「モディファイアプロパティ/モディファイアを追加」より、「サブディビジョンサーフェス」を選択します。
一回目は、「ビューポートのレベル数」を「3」にします。
その後、モードを「オブジェクトモード」にしてから細分化パネルの上部の「V」印を開き、「適用」を押してください。
同じように、二回目のサブディバイドがけを行います。
「ビューポートのレベル数」を「2」にしてから、適用します。
ポリゴンが、かなり細分化されていると思います。
なぜ細分化をしたかと言いますと、Blender側でテクスチャーに沿ってスカルプトしたかったためです。
上部メニューから「Sculpting」を選択し、左パネルから「クリース」を選択します。すると右側にクリースパネルが出現しますので、「ブラシ設定」の「半径10px」「強さ1」に変えてください。
そして、ピンクの靴のラインに沿って溝を掘っていってください。
そこそこの精度で大丈夫ですので、下図を参考にしてください。
塗装アタリをつけたブーツの靴をZbrushへのエクスポート
溝を掘ったブーツの靴をFBX形式でエクスポートして、BlenderからZbrushへ持ち込みます。
下図を参考にBlenderからエクスポートしましょう。
それでは、今度はZbrushに移動して作業しましょう。
「インポート」から先ほどBlenderから出力したFBXを読み込み、画面をドラッグアンドドロップして靴を表示して「Editモード」にします。
塗装アタリをつけたブーツの靴にZbrushでマスクをかける
次に「Ctrl」を押すと、マウスカーソルが「黄色いマスクガイド」に変わります。
そのままラインに沿って、下図のようにマスクを塗っていきます。
「ドローサイズ」を適宜調整しながら、ある程度きれいに塗っていきましょう。
この手描きのマスクですがどうしてもガタガタになりますね。
マスキングにある機能で、ある程度は靴のエッジラインをきれいにはできます。
それは「ぼかす」「シャープ」にする機能ですが、いまいちのレベルなんです。
ですがまずは、ここでマスクに「シャープ」をかけておきましょう。
SmoothGroupsでさらに境界を整える
このマスクパネルの「シャープ」機能での調整以上に、きれいに整える方法があります。
それはポリグループで実行可能なため、「マスク」を「ポリグループ」に変換しましょう。
「ポリグループ/マスクグループ化」を押してください。
マスク部分が、ポリグループ変換されます。
それでは、ピンク靴のエッジをさらに整えていきます。
まず、「ライトボックス/ブラシ/Smooth」を選択してください。
次に「Smooth/SmoothGroups」を選択します。
「OK」を押してから「Shift」を押しながらエッジ部分をなぞると、エッジがなだらかにきれいに整えられます。
※クリックとは書いてありますが、ドラッグアンドドロップだと思います。
ポリグループで整理したエッジをさらに整えたい場合は、ポリグループを再度マスクに変更します。
ただし先ほどのように、ポリグループをマスクに一発で逆に変更するコマンドはありません。
ではどうするかというと、該当するポリグループだけを表示非表示機能で表示(Ctrl+Shift)して、マスク選択(Ctrl)するという方法で変換します。


この状態で、マスクをさらに微調整して整えてください。
マスクの微調整等で境界が整ったら、マスク部分に「押し出し」をかけて段差を作ります。
右側パネルの「サブツール/抽出」にて、「厚さ」調整してください。
程よい厚さが決まりましたら「確定」ボタンを押してください。
そうすると、「サブツール」内に「別レイヤー」の押し出した靴が自動作成されます。
これで、塗装アタリをつけたブーツの靴が完成しました。
以上で①身体の中でも、単純な部分の分割方法は終了です。
次はいよいよ、②身体の中でも、比較的複雑な部分の分割方法に進みますよ!
この章のまとめ
「単純な部分の分割方法」が今回で終わりでしたが、いかがでしたでしょうか。
一定の手順さえマスターすれば、意外と簡単に感じていただけたのではないでしょうか。
これから徐々に複雑な作業が増えてきますが、どうか気合を入れつつリラックスして進んでいきましょう!