複雑な部分の分割方法:「髪の毛」編
こんにちは!Z造形師です。
それでは3DプリンターのForm3でフィギュアを造形するために、さらにモデルを修正していきましょう!
「前髪+ロングヘアー」:ロングヘアーをブーリアンする
髪の毛の構造を分析して立てた計画の⑦番目「ロングヘアーから前髪をブーリアンで削る」作業ですが、残りの⑧番目「前髪から頭をブーリアンで削る」とも関連する箇所なので、ベストの組み合わせを再検討したいと思います。
ベストの組み合わせとは、3Dプリンター出力して組み立てる時に「細くて弱い部分が無い」「無理やりはめないと入らない所が無い」ことです。
さらに付け加えると、「もし接合部分にスキが出ても隠れて見えない」ような仕組みにすることです。
まず最初にもともと予定していた「ロングヘアーから前髪をブーリアンで削る」を見てみると、下図のように「耳前の毛の束」が削られて矢印箇所が細くなってしまい、このままでは3Dプリンター出力できません。
恐らくはこの部分を切り分けて、また前髪に移植し結合させなければならないでしょう。
逆に「前髪からロングヘアーをブーリアンで削る」仕様にしてみるとこのように「深い溝」が出来てしまい、きれいにセッティングできるか微妙です。
さてここで考えたのが⑧番目「前髪から頭をブーリアンで削る」との混合作業でした。
先ほどと同じく「前髪」から「頭」を差し引くと、前髪がどう変形するか見ておきましょう。
すると先ほどの深い溝は無くなり、若干のゴミが出るに留まりました。
このゴミは、削除しても他に影響が出ないタイプのものです。

これを考慮しながらもう一度「前髪」「ロングヘアー」「頭」の接合を見ると⑦番目「ロングヘアーから前髪をブーリアンで削る」よりも、⑧番目を合算した「前髪」から「ロングヘアーおよび頭」をブーリアンで削除することが最もベストであろうとの結論を出しました。
それでは「前髪」から「ロングヘアーおよび頭」をブーリアンで削除しましょう。
下図を参照して設定してください。
今回は相互に関係した複合ブーリアンなので、警告が出てしまいました。
個別に「前髪からロングヘアーをブーリアンで削る」「前髪から頭をブーリアンで削る」すれば問題ないのですが、警告文をクリックしますと別ツールが自動生成されました。
今回ブーリアンしようとしたサブツールが、ブーリアンされないまま別ツールになったようです。
念のため、これを再度「ブーリアン/ブーリアンメッシュ作成」を押してブーリアンすると、ブーリアンが成功して別ツールに自動生成されました。
「前髪」から「ロングヘアーおよび頭」を差し引くブーリアンがうまくいったようなので、先ほど確認していた耳上のゴミを削除し、本体データに戻して差し替えをしましょう。
ゴミは「TrimLasso」と「MuskLasso」ブラシを利用して削除を試みました。
「ジオメトリ/トポロジー編集/頂点結合」後に「ポリグループ/自動グループ」でポリグループを一体化してから、削除したい周囲以外を全てマスクして「TrimLasso」すればこのように削除できます。
ですがポリグループを一体化した場合はその後におこなう予定の、個別の髪の毛のスムージングや個別の形状変形に困ることになります。
そのためこのゴミは最後の最後にポリグループを一体化してから削除を忘れずにすることにしましょう。
でもここでどうしても削除したい場合は、このようなお掃除ブーリアンで削除してしまう方法もとれます。
と言うことでひとまずゴミは片づけたということにして、先に進みましょう。
「前髪+頭」:前髪をブーリアンする
⑧番目は、先ほど⑦番目に統合して実行してしまいましたね。
髪の毛にダボを設置する
では今度は、「ダボ」付けについて見ていきましょう。
今回の髪の毛への「ダボ」付けのポイントは、
1)差し込み方向に気をつけて設定する
2)「大きさ」と、特に「長さ(深さ)」を短めに設定する
「ダボ」の配置方法は以前ハッカドール2号3Dデータの身体や服にて詳細をご説明しているため、そちらを参照のうえで配置してください。
ここでは特に注意が必要な箇所のみご説明していきます。
「前髪+頭」にダボを設置する
差し込み角度と大きさを考えながら、配置します。
真ん中一か所でも良いのですが、接合を安定させるために左右にもダボを配置してみました。

そうしますともっとも目立つ部分の「前髪の外側」に「ダボの土台」が飛び出てしまいました。
この「ダボの土台」を髪の毛の中に押し込んで見えないようにしましょう。
左上のブラシパネルから「ZModeler」ブラシを選択してください。
そしてダボの土台の「かど」にブラシを当てると、「ブラシ半径から頂点を移動」という表示が現れますので、そのタイミングでドラッグアンドドロップして移動させてください。
それではここまでできましたら「ダボ:大」で「頭」をブーリアン減算、「ダボ:小」に「前髪」をブーリアン加算、しましょう。
下図を参照して、設定してください。
「前髪+1本毛」にダボを設置する
この「前髪+1本毛」の組み合わせはダボと接合面加工を同時にブーリアンしてしまいましょう。
この1本毛は2箇所の支えがあります。
注意点としては、この1本毛の大きさですが画像で見ると大きく見えますが、実際は太さが1~2mm程度の細いものだということです。
「ダボ」にいたっては0.5mm、ちょっと小さすぎて心配な所です。
ダボは例外的に深くしておかないと、プリントすると穴が無くなってしまいそうです。

「ロングヘアー+頭」にダボを設置する
こちらのブーリアンは一般的なもの仕様のものです。
注意点はロングヘアー耳前の毛束部分の差し込み角度と、ダボの角度を合わせるという点です。
これを間違うと、3Dプリンター出力後の組み立て時にうまくはいらず、困ることとなります。
この角度も、状況判断で考えていけば大丈夫です。
多分に経験とカンも役に立ちますが。

下図を参照して、「ロングヘアー」と「頭」それぞれで「ダボ」をブーリアンしましょう。
この章のまとめ
さてこれで髪の毛の分割接合作業に一区切りがつきましたが、いかがでしたでしょう。
髪の毛の接合面やダボのブーリアンは、思ったようにできましたでしょうか?
もっとも複雑な髪の毛の分割面の調整ができたので、ヤマ場は越えたような気がしてしまいますがまだまだこれからです。
より一層ハッカドール2号の3Dデータに磨きをかけて、さらにより美しく素敵なフィギュアに仕上げていきましょう。
