FORMART でよく作られているものを、製菓・包装・教育・試作の 4 つに分けてまとめました。あわせて、光造形 3D プリンターと組み合わせて使っている学校の事例を、工程の写真つきで紹介します。分野ごとに向くシートが変わるため、各節の最後に使う材料を書いています。ここに無い形でも、型が作れるものであれば成形できます。
3D プリントした原型から、チョコレートや羊羹の型を成形します。粒の形や刻印を変えた原型を用意しておけば、季節やイベントに合わせて型を少しずつ作り分けられます。市販の菓子や粒そのものを原型に使うこともできます。
透明な PET シートは中身が見えるので、菓子を流し込む型としても、そのまま商品を収める容器としても使えます。型と外装の両方を同じ材料でそろえられます。
加熱しすぎると PET が白くにごります。目標の温度に届いたらすぐにフレームを引き下げると、透明なまま成形できます。
出典: メーカー公式のシート仕様ページ
商品に合わせたクラムシェル(二つ折り)やトレーを、金型を作らずに小ロットで用意できます。展示会向けの数十個だけ、といった数量でも作れます。
型は 3D プリントでも、既製品そのものでも使えます。収めたい中身を型にすれば、形の合うくぼみがそのまま成形できます。壊れやすい中身を型にするときは、吸引を下げて成形します。
薄いシートほど引きやすく、包装では 0.3〜0.8mm の透明 PET がよく使われます。台紙に貼るトレーには白い HIPS も向きます。成形したあとは縁を切りそろえ、穴を開けて吊り下げ用のカードに合わせます。
生徒が設計した形をその日のうちに成形できるので、設計から手に取るまでを 1 コマの中でつなげられます。うまく抜けない、しわが寄るといった失敗も、その場で原型を直して試し直せます。
1 つの原型から同じ型を何枚も成形できるため、人数分を配る授業やオープンキャンパスの体験に向きます。加熱から取り出しまでの操作は画面の指示に沿って進みます。
白い HIPS は、成形したあとの着色や接着がしやすい材料です。船体やケースのように、成形した殻へ部品を組み付ける教材にも使えます。殻は軽いので、そのまま持ち帰る記念品にも向きます。
カバーやシェル、治具の試作を、金型を作らずに 1 個から試せます。厚みのある板から削り出すより材料が少なく済み、軽い部品ができます。
原型を作り直せば、同じ日に次の形を成形できます。寸法や合わせ面を詰める段階で、何度も現物をつくって確かめられるのが利点です。
透明な TPU は柔らかく、保護カバーやダストカバーに向きます。硬い殻がほしいときは HIPS の 1.0mm を使います。既製品を型にするときは、薄い殻や壊れやすい形に注意し、内側の支えを足しておきます。
職業能力開発総合大学校 福祉工学ユニット
来場者がその場でカスタマイズ石けんを持ち帰れる工程を、光造形 3D プリンターと真空成型機の 2 台で組み立てています。ものづくり分野の指導員を育てる学校での取り組みです。
原型はクリアレジンで造形し、その原型から石けんの型を真空成形しています。型に使ったのは、厚生労働省の職業訓練キャラクター「ハロトレくん」です。
同じ原型から型を何枚も起こせるので、来場者の人数に合わせて型を増やせます。型が傷んでも、原型が残っていれば同じ型を作り直せます。3D プリンターを最終品の道具ではなく、型をつくる道具として使う組み立て方です。
原型づくりから石けんを抜くまでの流れです。金型を起こす代わりに、3D プリンターで原型を出すところが起点になります。写真は取材時に撮影したものです。

光造形とクリアレジンで原型を造形します。積層の段差が出ないので、研磨せずに型に使えます。

原型を成形台に置き、加熱したシートを引き下げます。この事例では 1 枚あたり 1 分以内で成形しています。

原型の表面のわずかな段差まで写した型が 1 枚できます。冷めたら縁を切りそろえます。

型に石けんを流し込み、固めてから抜きます。来場者はその場で色を選べます。
「また、3Dプリンターで原型を1つ作れば、FORMART 2を使って1分以内で1つの型を成形できます。これにより、オープンキャンパスのような多人数を対象とした場でも、効率的な配布や体験が可能になりました。3Dプリンターを『最終物を作る道具』としてだけでなく、『量産のための金型・治具を作る道具』として位置づける。これは、実際の金型製作の発想そのものです」
職業能力開発総合大学校 福祉工学ユニット 新家寿健教授 出典: 職能大・新家教授が実践する3Dプリンター×真空成形の活用術