Form 4レジンタンクの正しい洗浄・メンテナンス手順【寿命延長ガイド】

Form 4レジンタンクの正しい洗浄・メンテナンス手順【寿命延長ガイド】
「最近、造形物に謎の欠損ができる」「レジンタンクを交換したいが、コストがかさむので限界まで使いたい」「Form 4の高速造形を維持するには、何を手入れすればいいか分からない」
Form 4 / Form 4L を導入された現場担当者様から、このようなご相談をよくいただきます。
■ 解決の鍵
実は、造形失敗の約8割は「レジンタンク(レジンを入れるトレイ)のフィルム汚れ」と「残留した硬化破片」が原因です。
本記事では、私たち技術部門が日々実践している「タンクの寿命を最大化し、常に新品同様の精度を出すためのメンテナンスSOP(標準作業手順)」を公開します。
【準備編】作業前に理解しておくべき基本構造と道具
Form 4 / Form 4L は、従来のLFS方式(Form 3など)とは異なり、LFD(Low Force Display)という新機構を採用しています。柔軟な二層フィルムと「摩耗ストリップ」等の保護機構で構成されているため、従来のメンテナンス常識が通用しない箇所があります。
特に、「紙タオルでゴシゴシ拭く」行為は厳禁です。微細な傷がつき、一発でタンク交換が必要になる恐れがあります。
必須ツール:洗浄液の一本化
プロの現場では、タンク内部から工具洗浄まで、すべての工程を「洗浄液 3D Medsupo」で一本化して運用しています。
| 対象箇所 | 推奨ツール/溶剤 | 理由 |
|---|---|---|
| タンクフィルム(内側) | 洗浄液 3D Medsupo + リントフリーワイプ | 光学特性を損なわず、安全にレジンを除去できるため。 |
| 工具・本体周辺 | 洗浄液 3D Medsupo | レジン汚れを強力に分解し、再付着を防ぐため。 |
| 手指の保護 | ニトリル手袋 | レジンアレルギー防止のため必須。 |
※リントフリーワイプ:繊維が出ない不織布のこと。キムワイプ等の紙製ワイパーは繊維が残りやすいため、タンク内部には推奨しません。
【実践編】プロが教えるステップ・バイ・ステップ
ここでは、万が一「造形失敗」が起きた場合や、定期メンテナンスで行うべき「クリーニングシート」の活用フローを解説します。
Step 1: クリーニングシートホルダーの準備
手作業で鋭利なスクレーパーをタンクに入れるのは、フィルム破損のリスクが高いため推奨しません。Formlabs推奨の「クリーニングシート」機能を活用しましょう。まずは、シートを引き上げるための「ホルダー」を用意します。
▼ 以下の手順でデータをダウンロードしてください
- 以下のFormlabs公式(英語版)サポートページにアクセスしてください。
URL: レジンタンクの点検・クリーニング(Form 4およびForm 4L世代) - ページ中ほどにある「クリーニングシートをプリントする」(英語の場合は “Printing a cleaning sheet”)という見出しを探してください。
- そのセクション内に、以下のようなファイル名のダウンロードリンクがありますので、そちらをクリックしてください。
- Form 4 cleaning sheet holders (66 cleaning sheet holders) (Form 4用)
- Form 4L cleaning sheet holders (162 cleaning sheet holders) (Form 4L用)
- ダウンロードが完了したら、PreFormを起動します。
- メニューの「ファイル」>「開く」から、先ほど保存した
.formファイルを読み込みます。 - 必要個数を通常通り造形し、洗浄・二次硬化(ポストキュア)を行ってください。
この「ホルダー」は一度作成すれば、繰り返し使用可能なメンテナンス治具となります。
Step 2: クリーニングシートの出力(タンク内リセット)
ホルダーの準備ができたら、タンク内の微細なゴミを一掃します。
- Form 4 のタッチパネルを操作し、ホーム画面から「設定」>「メンテナンス」>「クリーニングシート」の順にタップします。
- 画面の指示に従い、先ほど作成したホルダーをレジンタンク内にセットします。
■ 【重要】セット時の注意
ホルダーの平らな底面が、タンクフィルムにしっかりと接していることを確認してください。浮いているとシートと結合しません。
「開始」ボタンを押すと、ごく薄いレイヤーの露光が始まります。
Step 3: 硬化したシートの一括除去
露光が完了すると、タンクの底にある微細なゴミや硬化破片が、すべて1枚のシートとして固まります。
- カバーを開け、ホルダーをゆっくりと真上に引き上げます。
- タンク底面のゴミがシートと一緒に剥がれてくるのが確認できます。これにより、手を汚さずに物理的な異物を除去できます。
Step 4: タンクフィルムと摩耗ストリップの仕上げ拭き
異物を取り除いたら、最後にフィルムの曇りを除去します。ここが最も繊細な工程です。
- リントフリーワイプに少量の洗浄液 3D Medsupoを含ませます。
- フィルムの表面を一方向に優しく拭き取ります。往復させると汚れを広げるだけなので避けてください。一方向に優しく拭うのがポイントです。
- Form 4 特有の注意点: タンク内部にある「摩耗ストリップ(黒い帯状のパーツ)」の下や裏側は、レジンが滞留しやすい箇所です。ストリップを慎重に取り外し、裏側の汚れも拭き取ってください。
【技術パート】失敗しないためのプロの「コツ」
1. 工具のメンテナンスが品質を左右する
多くの現場で見落とされがちなのが、スクレーパー(ヘラ)の状態です。スクレーパーがベタついたままタンクに触れると、新たな汚れを広げる原因になります。
運用のポイント: 使用したスクレーパーは、洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)で洗浄してください。IPA同様にレジンの溶解力が高いため、短時間でヌメリが取れ、「キュキュッ」となる状態で保管できます。IPA特有の刺激臭も抑えられ、作業環境も改善します。
2. よくある失敗:外側の汚れによる光学エラー
タンクの内側ばかり気にして、外側(ガラス面との接触面)が汚れているケースが多発しています。指紋やレジンの付着は、レーザーの拡散やセンサーエラーの原因となります。セットする直前に、タンク底面の外側も必ずチェックしてください。
3. レジン濾過(ろか)のタイミング
基本的に上記クリーニングシートを行えば濾過は不要ですが、目視できるレベルの大きな破片が大量にある場合のみ、ペイントフィルター(190ミクロン推奨)で濾過を行ってください。
【応用編】「Form 4」×「正しいメンテ」= 最速ワークフロー
Form 4 の最大の特徴である「圧倒的な造形スピード(Form 3+の最大5倍)」を維持し続けるには、LPU(光源)から届く光を遮らない「クリアなタンクフィルム」が命です。
今回ご紹介したクリーニングシートの手順を「週に1回の習慣」にするだけで、突発的な造形失敗率は劇的に下がります。
溶剤の一本化で管理コストを削減
以前はタンクフィルム(IPA)と工具(Medsupo)で溶剤を使い分けていましたが、検証の結果、「洗浄液 3D Medsupo」ですべて対応可能であることが実証されました。
- 在庫管理がMedsupo一本で完結するため、発注の手間が減る。
- 危険な有機溶剤(IPA)をストックする必要がなくなり、安全性が向上する。
この「シンプル運用」こそが、品質とコストのバランスが取れた正解ルートです。
まとめ:本日のチェックリスト
- [ ] タンク掃除に「ペーパータオル」は絶対禁止。必ずリントフリーワイプを使う。
- [ ] 失敗時は無理に剥がさず、PreFormで準備したホルダーと「クリーニングシート機能」を使う。
- [ ] タンクも工具も「洗浄液 3D Medsupo」で一本化し、管理を楽にする。
技術相談・サンプル請求について
「実際にクリーニングシートの作業手順を実機で見てみたい」「自社のメンテナンス運用が合っているか診断してほしい」という方は、ぜひ弊社のショールームをご利用ください。実機を用いたレクチャーが可能です。
また、タンク洗浄にも使える洗浄液 3D Medsupoの検証用サンプルもご用意しております。現在の洗浄環境に課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
出典:Inspecting and cleaning resin tanks (Form 4 and Form 4L generation)

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