フェラーリは3Dプリンターで伝説的車種312Pのエンジンをたった数週間で復活

3Dプリンターとリバースエンジニアリング

3Dプリンターや3DCADなどの三次元技術が高まることで、製品改良のスピードが圧倒的に向上している。 3Dデータのメリットは、試作用の金型製造や、試行錯誤にかかる時間が従来の製法と比べて格段に向上できる点だ。

こうした3Dデータのもつメリットは製品開発の部分で主要な要素であるリバースエンジニアリングの部分でもその効果を発揮している。

リバースエンジニアリングとは、一言でいうと競合他社の製品をバラバラに分解して、その動作状況や、強み、弱みを分析し、自社の製品開発に利用するという手法だ。 多くの工業製品は、このリバースエンジニアリングを行うことによって、切磋琢磨し、改良去れてきたという背景がある。

基本的には合法な行為だが、リバースエンジニアリングを行うことによって得られる技術的特性や、特許情報などは、そのまま使用することはできない。

こうしたリバースエンジニアリングの分野においても、最近では3Dプリンターの使用が当たり前のようになってきており、各段にそのスピードを高めている。 例えば、競合他社の製品を購入し、バラバラに分解、その後3Dスキャナーでスキャンし、3Dプリンターでプリントという方法もとられつつある。

こうした最新技術を使うことで、競合他社製品を上回る製品開発をスピーディに行うことができるのだ。本日はリバースエンジニアリングに3Dプリンターを組み合わせることで、自社の製品をスピーディに改良したフェラーリの取組をご紹介します。 フェラーリ312P

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高性能3DプリンターメーカーVoxeljet社と協力

フェラーリが今回行ったのは、フェラーリが過去1960年代に製造していたプロトタイプレーシングカーのエンジンを改良するという試みだ。

ちなみにプロトタイプレーシングカーとは、名前の通り、試作車両という意味だが、単なる試作品ではなく、実際にはスポーツカーレースで使用される超高性能な車両のことを指す。

フェラーリのプロトタイプレーシングカーとして有名なのが、わずか70台しか生産されなかったPシリーズで、今回改良のもとになったのは、たった3台しか生産されなかったフェラーリ312Pのエンジン。 このエンジンはF1用に開発された312エンジン(60度V型12気筒DOHC4バルブ2990cc)を耐久レース用にチューニングしたもので、驚異的な性能を誇るといわれていたもの。

この45年前のエンジンを復活、改良させるために用いられたのが、3Dプリント技術とリバースエンジニアリングだ。

この改良に協力したのがドイツの有名な3DプリンターメーカーVoxeljet社で、エンジンを構成する全てのパーツを3DCADデータ化し、高性能3Dプリンターでプリントして製造している。

通常、従来の製法で改良した場合、製造にかかる期間は1年ほどで、コストも膨大な費用が掛かる。 しかし、今回フェラーリとVoxeljetが用いた方法では改修期間はわずか数週間程度だったとのことだ。 基本的に作られたのは砂型と砂パーツで、実際の製造は特殊アルミで鋳造され作られる。

3Dプリンターでつくられた砂型とパーツ

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特殊アルミで鋳造された最終パーツ

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この改修にあたりVoxeljet社のCEO Dr. Ingoは下記のように述べている。

「3Dプリントとリバースエンジニアリングを組み合わせることは、使用できなくなった部品を再生するための最も効率的な方法であり、多くの場合、迅速かつ合理的なコストで特定のコンポーネントを再現する唯一の方法です。今回のフェラーリの例のように、リバースエンジニアリング分野における3Dプリンターの需要はかなりあります。今回、私たちにとって、フェラーリ312Pのエンジンがオーバーホール中であったことが成功の要因でした。」

まとめ ‐眠ったものを蘇らせる‐

リバースエンジニアリングでの3DCADデータや3Dプリンターの使用は既に多くの企業で取り組まれているが、今回のフェラーリのように、数十年前に作られたパーツを改良するうえでも非常に効率的だ。

従来の伝統的な製法で作られた物でも、現代でも通じる驚異的な性能を持つものは多いはず。

3Dプリンターの性能向上がもたらすものは、今回のフェラーリのように過去の眠ったものを蘇らせてくれることにも利用することができる。

過去のものを、過去の製法でしか再現するのではなく、より効率的で、コストをかけることなく更なる改良品として再生することができるのだ。今回のフェラーリの3Dプリンターの活用方法は、製造現場に一つのヒントを与えてくれる取組と言える。

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2014.5.21 投稿者:i-maker

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