2013年度は3Dプリンターに火がついた年だ。製造業のシーンで導入が進むだけではなくあらたなビジネスとして3Dプリンターを使ったプリントサービスが登場し始めている。
日本でもビジネスプリントサービス大手のキンコーズが3Dプリントサービスを開始したり、ネット通販やコンテンツ配信事業を展開しているDMM.comが3Dプリントサービスを新規に開始したりと盛んになっている。
こうした動きは世界中でも見られ3Dプリントサービスは続々と拡大方向にある。こうした3Dプリントサービスの普及は世界のサプライチェーンに対して大きな影響を与えるという。例えばある製品のパーツを交換する場合、そのパーツが3Dプリンターで製造できるものであれば、わざわざ1個のために生産ラインを回したり在庫を持たなくて済む。また物流にも影響を与えることは必至だ。
1個のために手間と費用をかけて配送しなくても済む。その代替パーツを希望する人はそのパーツの3Dデータを送ってもらえれば自社の3Dプリンターもしくはローカルな3Dプリントサービスを利用することで簡単にパーツを手にすることができる。
3Dプリンターは製造プロセスだけではなくサプライチェーン全体の仕組みを変革してしまうとみられ、新たなビジネスとしてローカルな3Dプリントサービスが注目され始めている。本日は世界中で開始されはじめている代表的な3Dプリントサービスをご紹介。
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IPOを計画するベルギーの3Dプリント会社 Materialise(マテリアライズ)
マテリアライズ社はベルギーのルーヴァンに本拠地を置く工業・医療向けのラビットプロトタイピングのリーディングカンパニーだ。世界各国にに支店を設けており日本にも支社をおいている。
ヨーロッパにおいては最大規模のラビットプロトタイピングの生産設備を持っており医療・歯科医療関連の画像処理や3DCADソフトウェアを提供している。その展開する分野は様々で自動車、エレクトロニクス製品、医療、消費財などで添加物製造では20年以上の実績を持っている。このマテリアライズだがIPOを計画していることが金融ニュースで取りざたされている。
もしIPOした場合には7000万ドルから1億ドルを調達することができると予測されている。IPOすることで本格的に資金調達し、世界各国での3Dプリントサービスが開始されれば工業製品や消費財など3Dプリントでパーツを調達する動きが加速するかもしれない。

マテリアライズ社
サプライチェーンを変えるオランダの3Dプリント会社
3Dプリントサービスはオランダでも開始されている。オランダで最初の3Dプリント工場と言われている会社がAdditive industries社だ。このAdditive industries社は金属製部品も3Dプリントするサービスも提供する。
最初は小規模生産から始めるようだが、8社が180万ユーロを出資して作られた会社だ。創業して最初の3Dプリント製造はヘルスケア、ライフスタイル、テクノロジー関連の分野で事業展開するフィリップス社の製品に使用されるとのことだ。
フィリップスはオランダが誇る企業だがオランダ国内だけではなくドイツ、ベルギーからも3Dプリント部品の受注をねらうとのことだ。またAdditive industries社の特徴的なのは3Dプリント部品のサプライチェーンをサポートするためにインターネットをベースにした製造プラットフォームも提供する。
このプラットフォームはデザイナーやエンジニアと素材、研究開発等をつなぐインフラの役割を果たす。オランダもヨーロッパを市場ターゲットにして本格的に3Dプリント生産体制を整えつつある。

Additive industriesのプラットフォーム概念図
実はレベルが高い中国の製造業3Dプリント体験館も
中国でも3Dプリントサービスが出現し始めている。2013年1月には北京DRC産業デザインと文化産業展示会において3Dスキャンと3Dプリントを体験パビリオンが設置され3Dプリントが実演された。
このブースを提供したのは中国におけるストラタシス社の販売代理店で、3Dプリントのオンラインサービスを立ち上げている。このサービスはユーザーが3DCADデータをアップロードし印刷する仕組み。もともと中国は製造拠点として最先端のモノづくりが導入されており、フォックスコンなどではアップル社の製品を3Dプリンターを使って製造されていたりした。そのため製造業におけるレベルはかなり高度な技術を持っている。

3Dプリントのオンラインサービス
トルコ初の3Dプリントサービスがイスタンブール展開
3Dプリント技術の波はトルコにも到達している。トルコのイスタンブールに3Dortgenという3Dプリントサービス会社が9月から立ち上がっている。もともとトルコの建設関連・自動車関連を経営する企業が立ち上げたサービスで、3Dプリンターと3Dスキャンによるプリントサービスを行い、同時に地域社会のためのワークショップ、子供向けの活動、セミナーやイベントも行うとのことだ。

トルコ3dプリントサービス
まとめ
本稿で紹介している3Dプリントサービスは本の一例に過ぎない。他にもフランスやドイツ、オーストリア、中東のベイルートなどでも続々と3Dプリントサービス事業が立ち上がっている。このほかにもスモールビジネスとして3Dプリントサービスを開始する企業はかなりの数に上っていると思われる。小規模の3Dプリントサービスをオンライン上でつなぐ3D HUBSには2013年11月現在で約1590社近いローカル3Dプリントサービスが登録されている。
小規模に行っている3Dプリントサービスなどはデスクトップタイプの3Dプリンターを使用しており、使用目的も試作品の造形などがメインとなっているため、従来の使い方の域を出ないが、本稿で紹介したベルギーのマテリアライズ社やオランダのAdditive industries社は製造パーツのカスタム製造や製造プロセスの管理等まで視野に入れたサービスを提供している。
分野も医療、エレクトロニクス、自動車関連など高度な専門技術が必要とされる製造分野で、明らかに3Dプリント技術による製造プロセス、サプライチェーンの変革を狙ったものだ。
こうした動きはあきらかに自国の産業構造を次世代型に変化しグローバル競争社会の中で戦っていこうという国づくりそのものだ。
まさに「技術で勝って、事業で勝つ」という挙国一致ビジネスに特化しようとしている。世界各国が自国の製造プロセスを変化させ産業構造を強めようとしているときに、高い技術力を持つ日本も「技術で勝って、事業で負ける」のではなく「技術で勝って、事業で勝つ」ための次世代産業構造を構築するべきだ。
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