3Dプリント材料至上最大の強度と驚異的な軽量性を持つ樹脂インクが登場

あらゆる樹脂材料の20倍の強度と軽量性を持つ樹脂インク

3Dプリント技術の中において、とりわけ注目が集まっているのが新素材の開発だ。

現在3Dプリンターの素材で最もポピュラーなものが樹脂だ。一般的にはABSPLAといった種類が多用されているが、いろいろな素材を複合する新機能を搭載した樹脂が登場してきている。

最近は、炭素繊維複合材やブロンズ複合材の新たなタイプの材料が登場しているが、今回ご紹介する新素材は、現在入手可能な複合樹脂の中で、最も強固で軽量化を実現したもの。

この新機能樹脂を開発したのはハーバード大学のWyss研究所の研究チームで、開発のヒントになったのは、なんと古代から使われているローテク材料とのことだ。

本日は、古来から模型などに使用されているバルサ木材にヒントを得た新たな軽量強化樹脂インクをご紹介。

世界で一番軽量で軟らかなバルサ木材がモデルに

今回ハーバード大学が開発した軽量強化樹脂インクは、樹脂に2種類の素材を加えることで成り立っている。

一つは有名な炭素繊維で、もう一つはダイヤモンドとシリコンの中間とも言われている炭化ケイ素。この二つの素材を樹脂に加えることで、これまでにない強度と軽量化に成功したとのことだ。

この新素材開発のきっかけになったのは、なんとバルサ木材という古くからある木材。

あまり聞きなれない素材名だが、実はバルサ材は世界で一番軽量で軟らかな木材だ。超軽量で加工しやすい上に、強度も強い優れた素材として建築木材や模型の材料として親しまれている。

もともとメキシコ南部が原産地だが、その使用の歴史は極めて古く、五世紀以前には筏などでその使用が確認されているという。優れた強度と軽量性、そして何よりも加工のしやすさから、模型の材料として今でもなじみ深い。

1930年代は飛行機やジェット機にも材料として使用されていたほどだ。

この軽量化と強度の秘密は、木材の密度にある。一般的な木材に比べ、その密度は3分の1程度の粗さであり、バルサの密度は約 140 kg/m3 ほど。

またバルサ木材は独特の板目形状をしており、縦横十字になっており、これを模して今回の軽量強化樹脂インクでハニカム構造を形成すると驚異的な性能を発揮するとのことだ。

ちなみにその強度は、既存のあらゆる3Dプリント樹脂材料の20倍の強度を持ち、どんな複合樹脂よりも2倍以上強いレベルを誇っている。

ハニカム構造でプリントすることで驚異的な強度を発揮

これまでにないほどの強度と軽量化を実現することが可能

バルサ木材よりもコスト効率に優れ利用可能性大

バルサ木材が古代から多くのモノに使用されているということについては述べたが、今でもその使用は模型に限ったことではない。我々の生活に欠かすことはできない発電の分野でこの素材は多く使用されている。

近年需要を増しつつある風力発電のタービンブレードの材料としてだ。風力発電市場は世界的にも毎年増加傾向にあり、中国、アメリカ、ドイツ、スペイン、インドなどでの需要が年々急増している。

現在日本の風力発電設備のシェアはわずか0.9%に過ぎないが(出典:GWEC, Global Wind Report 2012)今後は脱原発を進める方向や、電力市場への民間開放から、今後拡大傾向に向かうだろう。

話が横道にそれたが、バルサ木材は、こうした風力発電設備の羽根を形成する重要の素材として使用されている。

しかし、軽量で強く、加工に利点のあるバルサ木材にも欠点があるとされている。それは価格の高さだ。

もちろん模型から、加工材として幅広く存在するため価格もピンからキリまでだが、産業用として使用するには高価な材料とされている。

特に巨大な風力発電用のタービンブレードともなれば、その使用面積の長さは250フィート(約76メートル)にもおよび費用も巨額になる。

今回ハーバード大学が開発した軽量強化樹脂インクは、価格的にもバルサ木材にとって代わるものとして注目を集めている。

特にその使用範囲は、バルサ木材が目玉の風力発電設備だけではなく、自動車用の材料としての期待が高まっているようだ。

自動車業界は年々燃費向上と車体の軽量化は製造おいて不可欠の課題だ。軽量な上、今ある樹脂素材の中でも最高レベルの強度を保つこの新素材は最適だろう。

バルサ木材が使用されている風力発電設備の羽根

最高レベルの強度と軽量化で、自動車業界での需要が高まる

まとめ –素材研究=3Dプリント研究-

3Dプリント技術の開発は、素材の研究と言っても過言ではない。

使える素材が広がれば、それだけ表現の幅、製品開発の未来、コスト効率の向上など、その影響するところは絶大だ。

そのため、これからの時代の新素材研究は、素材そのものの研究開発と同時に、3Dプリンターでの使用も含まれることになる。

いや、既に多くの新素材の研究開発には3Dプリントへの互換性が当然のことのように含まれている。例えば、次世代素材としてもっとも期待されているグラフェンなども素材自体の研究とともに3Dプリンターでの適用が同時に行われている。

また、多くの産業での利用が開始されている炭素繊維の3Dプリント利用も目下行われている状況だ。古来からもモノづくりの源流となる素材は、全ての上流に位置し、素材を制す者は世界を制すと言っても過言ではない。

こうした状況からも今回のハーバード大学Wyss研究所の発表は、目が離すことができない、重要な開発報告と言えよう。実用化に際してはまだ改良が必要とのことだが、多くの産業での利用を期待させる発表だ。

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