CMYK技術で完全なフルカラーを実現する低価格光造形3Dプリンターを開発

いまだ実現しない低価格モデルのフルカラー3Dプリンター

現在、低価格モデルの3Dプリンターのフルカラー化は未だ実現していない状況だ。

去年、世界初のフルカラー3Dプリンターとして、リリースしたProject3Dも、テストプリント状況は発表していても、その後の開発状況はいまだ不明。

また、フルカラーといってもプリント中の動画を見てみると、上下で色を変えるグラデーションでしか表現できないことがわかる。さらに、つい先日2色プリントを可能にする3Dプリンターが登場したが、こちらも積層中に押出しノズルを切り替えることによるグラデーションにとどまるものだ。

このように見てみると、完全な色を混合することによる表現する完全なフルカラーはいまだ登場していない。フルカラーと謳っていてもそれは、多くの人々が想像するフルカラーとは違い、グラデーションでごまかしている感じがする。

しかし、今新たに完全なフルカラーを可能にする3Dプリンターを近日公開すると発表した企業が登場した。本日は完全な低価格タイプのフルカラー3Dプリンターを発表したポーランドの会社OVEをご紹介。

独自CMYK技術による完全なフルカラー表現を可能に

今回ポーランド企業OVEが発表した内容は、3Dプリンターの詳細、実機、プリント中の動画、発売日等、全ては明かされていない。今回の発表ではフルカラーを構成するための技術的説明と概要にとどまるものであった。

しかし、そこには従来の3Dプリンターの方法論とは異なる仕組みが存在し、なおかつその技術をつかえば光造形(SLA)タイプと押出し(FDM)タイプ、2種類のモデルを作ることができると発表している。

その概要をご紹介する。OVEが開発する3Dプリンターは独自の特許出願中のCMYKカラー技術を使用することで、グラデーションではない、完全なフルカラー表現を可能にすることができるというものだ。

これまでの押出しノズルを切り替える方式ではプリントの階層ごとで色を変えられても、完全に色を混ぜることはできない。しかし、二次元印刷の技術であるCMYKをベースにした独自技術では、CMYKのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックを混ぜ合わせることで希望するどんなフルカラーでも表現可能だ。

ここで二次元の印刷技術について補足させていただくと、基本的にインクジェットでもレーザープリンターでも、プリンターカートリッジは上記の4色から構成されている。

これは一般的な色の表現方法で、一般的なプリンター以外のいわゆる印刷会社の印刷方法も4色印刷という表現方法がとられる。基本的にはシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色の配合比率によってどんな色でも表現可能だ。

OVEは光造形(SLA)と押出し(FDM)両方の低価格フルカラーモデルを開発中

CMYKによる完全なフルカラーの表現を試みる

まとめ ‐最速かつ最も正確な光造形のフルカラー3Dプリンターの可能性‐

OVEでは、この独自CMYK技術の特許出願を終え、現在ソフトウェアと試作機の開発に取り組んでいる状況だ。

リリース日については、いまだ正確な予定は発表することができないとして、ひかえている。リリース発表を行ったはいいが、いつまでたっても出荷されないという状況よりは、正確な実機が完成し、製品化のめどがたってから発表したいようだ。

しかし、その一方で、開発にあたっては相当強きとも思える発表をしている。この独自CMYK技術を使うことで、現在の消費者向け3Dプリンター市場において、最速かつ最も正確な光造形のフルカラー3Dプリンターになるとの意気込み。

また、彼らは自分たちの事業目的についても「3Dプリント業界に革命を起こすことであり、専門家だけではなく、多くの人々にフルカラー3Dプリントを使ってもらいたい。そのための最も手頃な価格のソリューションを提供する」と発表している。

完全なフルカラーが光造形レベルで実現されれば、クオリティが高く、なおかつさまざまな表現が可能なモノが作れるようになる。今後の開発状況が気になるところだ。

光造形の原理と仕組み、種類についてはこちらをどうぞ

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