既存の製造業の主力技術CNC加工機械
現在、多くの製造業の工場で最も広く使用されているのがCNC工作機械だ。NC旋盤やマシニングセンタと言われる機械を中心に、日本でも加工業が盛んな大田区などで盛んに使用されている。
CNCとは、コンピュータ数値制御のことを意味し、工作機械の工具の移動量や移動速度といった動きを数値化し、コントロールする技術。
基本的には3Dプリンターと同じようにCADプログラムと連携し設計図から自動的に加工することができる技術になる。
代表的な機械では旋盤やフライス盤、マシニングセンタなど金属や樹脂などの固まりを削って成形する切削加工としての用途がおおい。基本的には3DCADベースで物体を加工するという点では3Dプリント技術と同じだが、加工方法が異なる。
非常にざっくりと言ってしまうと切削加工は素材のかたまりを削り取ってカタチにする方法だ。基本的に使用する材料の形状も加工方法も3Dプリント技術とは異なるが、今この異なる技術を融合させようという技術開発が行われている。
3DプリンターとCNCフライス盤の融合とは
今回新たに発表された新技術は3DプリンターにCNCフライス盤の機能を組み込むというものだ。この技術開発を行なうのはアメリカインディアナ州の会社HURCOで、同社は46年以上もCNC技術に関わってきた専門企業だ。
この特許技術の開発の背景にはCNC加工機を使用しているHURCO社の多くの顧客の現状があるという。もともとNCフライス盤に端を発するこの技術はアメリカのマサチューセッツ工科大学で開発されたもの。
そのため、アメリカの製造業においても日本と同様、多くの企業がNCフライス盤やマシニングセンタといったCNC工作機械を商売道具として使用している。しかし今、次なる製造技術として3Dプリンターが注目される中、こうした従来からのCNC工作機械を導入する製造業に新たな悩みが出現している。
それは新たに3Dプリンターを導入しなければならないことに対する悩みだ。この悩みは設備投資という金銭的な物理的悩みも存在するが、基本的には一から3Dプリント技術を習得しなければならないという心理的悩みが大きい。
こうした新技術に対するメンタルブロックが、HURCO社の顧客にも多くみられ、それならば、従来のCNC加工機と同じ操作方法や動作手順で機能する3Dプリンターはできない物かということが開発の背景にあるという。
現在この技術は特許申請中だが、将来的にNCフライス盤以外のその他のCNC技術も3Dプリンターに組み込み、あらゆる加工を1台ですることができる製造マシーンにしたい計画だという。
CNC加工技術を組み込んだHURCO社の機械
HURCO社のミリング加工動画
まとめ –製造業を時代に対応させる動き-
このHURCO社の新技術が搭載された3Dプリンターは、今年の年末に開催予定のシカゴ国際工作機械ショーでデビューする予定だ。これは既存のCNC工作機械を使用する多くの製造業にとっては、非常に多くのメリットをもたらすだろう。
従来のCNC加工機と同じ感覚で3Dプリントもでき、1台で様々なモノが加工できれば、これからの新たな時代のモノづくりにも対応することができる。業界を変えてし合う新技術は、既存の技術に立脚するものから見れば、習得しにくかったり、否定的に見たりと、心理的なブロックが働くことも少なくない。
こうした人間の思いはアメリカだけではなく、日本も、その他の国の製造業にも共通して言えることだ。しかしその一方で、従来の技術のみに固執し、次なる世代を形づくる新技術に目を向けなければ衰退していくばかりになってしまう。
このように見てみるとHURCO社のこの特許技術は、彼らの顧客である製造業の立場や心理を熟知した新開発であると同時に、既存技術に立脚する多くの製造業を次世代に対応させる画期的な取り組みだと言えるのではないだろうか。
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