本文へ飛ぶ
Formlabs製品ガイド

Form 4レジンタンクの正しい洗浄・メンテナンス手順【寿命延長ガイド】

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2025.12.18 読了 約8分

Form 4レジンタンクの正しい洗浄・メンテナンス手順【寿命延長ガイド】

「最近、造形物に謎の欠損ができる」「レジンタンクを交換したいが、コストがかさむので限界まで使いたい」「Form 4の高速造形を維持するには、何を手入れすればいいか分からない」

Form 4 / Form 4L を導入された現場担当者様から、このようなご相談をよくいただきます。

■ 解決の鍵

実は、造形失敗の約8割は「レジンタンク(レジンを入れるトレイ)のフィルム汚れ」と「残留した硬化破片」が原因です。

本記事では、私たち技術部門が日々実践している「タンクの寿命を最大化し、常に新品同様の精度を出すためのメンテナンスSOP(標準作業手順)」を公開します。

【準備編】作業前に理解しておくべき基本構造と道具

Form 4 / Form 4L は、従来のLFS方式(Form 3など)とは異なり、LFD(Low Force Display)という新機構を採用しています。柔軟な二層フィルムと「摩耗ストリップ」等の保護機構で構成されているため、従来のメンテナンス常識が通用しない箇所があります。

特に、「紙タオルでゴシゴシ拭く」行為は厳禁です。微細な傷がつき、一発でタンク交換が必要になる恐れがあります。

必須ツール:洗浄液の一本化

プロの現場では、タンク内部から工具洗浄まで、すべての工程を「洗浄液 3D Medsupo」で一本化して運用しています。

対象箇所 推奨ツール/溶剤 理由
タンクフィルム(内側) 洗浄液 3D Medsupo + リントフリーワイプ 光学特性を損なわず、安全にレジンを除去できるため。
工具・本体周辺 洗浄液 3D Medsupo レジン汚れを強力に分解し、再付着を防ぐため。
手指の保護 ニトリル手袋 レジンアレルギー防止のため必須。

※リントフリーワイプ:繊維が出ない不織布のこと。キムワイプ等の紙製ワイパーは繊維が残りやすいため、タンク内部には推奨しません。

【実践編】プロが教えるステップ・バイ・ステップ

ここでは、万が一「造形失敗」が起きた場合や、定期メンテナンスで行うべき「クリーニングシート」の活用フローを解説します。

Step 1: クリーニングシートホルダーの準備

手作業で鋭利なスクレーパーをタンクに入れるのは、フィルム破損のリスクが高いため推奨しません。Formlabs推奨の「クリーニングシート」機能を活用しましょう。まずは、シートを引き上げるための「ホルダー」を用意します。

▼ 以下の手順でデータをダウンロードしてください

  1. 以下のFormlabs公式(英語版)サポートページにアクセスしてください。
    URL: レジンタンクの点検・クリーニング(Form 4およびForm 4L世代)
  2. ページ中ほどにある「クリーニングシートをプリントする」(英語の場合は “Printing a cleaning sheet”)という見出しを探してください。
  3. そのセクション内に、以下のようなファイル名のダウンロードリンクがありますので、そちらをクリックしてください。
    • Form 4 cleaning sheet holders (66 cleaning sheet holders) (Form 4用)
    • Form 4L cleaning sheet holders (162 cleaning sheet holders) (Form 4L用)
  • ダウンロードが完了したら、PreFormを起動します。
  • メニューの「ファイル」>「開く」から、先ほど保存した .form ファイルを読み込みます。
  • 必要個数を通常通り造形し、洗浄・二次硬化(ポストキュア)を行ってください。
PreFormでクリーニングシートホルダーを選択している画面
PreFormにデータを読み込んだ画面

この「ホルダー」は一度作成すれば、繰り返し使用可能なメンテナンス治具となります。

造形完了したクリーニングシートホルダーの実物
手に持ちやすい形状に設計されています

Step 2: クリーニングシートの出力(タンク内リセット)

ホルダーの準備ができたら、タンク内の微細なゴミを一掃します。

  • Form 4 のタッチパネルを操作し、ホーム画面から「設定」>「メンテナンス」>「クリーニングシート」の順にタップします。
  • 画面の指示に従い、先ほど作成したホルダーをレジンタンク内にセットします。

■ 【重要】セット時の注意

ホルダーの平らな底面が、タンクフィルムにしっかりと接していることを確認してください。浮いているとシートと結合しません。

Form 4のタンク内にホルダーを正しくセットした様子
ホルダーの底面をフィルムに密着させます

「開始」ボタンを押すと、ごく薄いレイヤーの露光が始まります。

Step 3: 硬化したシートの一括除去

露光が完了すると、タンクの底にある微細なゴミや硬化破片が、すべて1枚のシートとして固まります。

  • カバーを開け、ホルダーをゆっくりと真上に引き上げます。
  • タンク底面のゴミがシートと一緒に剥がれてくるのが確認できます。これにより、手を汚さずに物理的な異物を除去できます。
ホルダーを引き上げてクリーニングシートを除去する様子
失敗した造形の破片も一緒に除去されています

Step 4: タンクフィルムと摩耗ストリップの仕上げ拭き

異物を取り除いたら、最後にフィルムの曇りを除去します。ここが最も繊細な工程です。

  • リントフリーワイプに少量の洗浄液 3D Medsupoを含ませます。
  • フィルムの表面を一方向に優しく拭き取ります。往復させると汚れを広げるだけなので避けてください。一方向に優しく拭うのがポイントです。
  • Form 4 特有の注意点: タンク内部にある「摩耗ストリップ(黒い帯状のパーツ)」の下や裏側は、レジンが滞留しやすい箇所です。ストリップを慎重に取り外し、裏側の汚れも拭き取ってください。
Form 4タンクの摩耗ストリップを取り外して清掃する様子
摩耗ストリップの下はレジンが溜まりやすい箇所です

【技術パート】失敗しないためのプロの「コツ」

1. 工具のメンテナンスが品質を左右する

多くの現場で見落とされがちなのが、スクレーパー(ヘラ)の状態です。スクレーパーがベタついたままタンクに触れると、新たな汚れを広げる原因になります。

運用のポイント: 使用したスクレーパーは、洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)で洗浄してください。IPA同様にレジンの溶解力が高いため、短時間でヌメリが取れ、「キュキュッ」となる状態で保管できます。IPA特有の刺激臭も抑えられ、作業環境も改善します。

2. よくある失敗:外側の汚れによる光学エラー

タンクの内側ばかり気にして、外側(ガラス面との接触面)が汚れているケースが多発しています。指紋やレジンの付着は、レーザーの拡散やセンサーエラーの原因となります。セットする直前に、タンク底面の外側も必ずチェックしてください。

3. レジン濾過(ろか)のタイミング

基本的に上記クリーニングシートを行えば濾過は不要ですが、目視できるレベルの大きな破片が大量にある場合のみ、ペイントフィルター(190ミクロン推奨)で濾過を行ってください。

【応用編】「Form 4」×「正しいメンテ」= 最速ワークフロー

Form 4 の最大の特徴である「圧倒的な造形スピード(Form 3+の最大5倍)」を維持し続けるには、LPU(光源)から届く光を遮らない「クリアなタンクフィルム」が命です。

今回ご紹介したクリーニングシートの手順を「週に1回の習慣」にするだけで、突発的な造形失敗率は劇的に下がります。

溶剤の一本化で管理コストを削減

以前はタンクフィルム(IPA)と工具(Medsupo)で溶剤を使い分けていましたが、検証の結果、「洗浄液 3D Medsupo」ですべて対応可能であることが実証されました。

  • 在庫管理がMedsupo一本で完結するため、発注の手間が減る。
  • 危険な有機溶剤(IPA)をストックする必要がなくなり、安全性が向上する。

この「シンプル運用」こそが、品質とコストのバランスが取れた正解ルートです。

まとめ:本日のチェックリスト

  • [ ] タンク掃除に「ペーパータオル」は絶対禁止。必ずリントフリーワイプを使う。
  • [ ] 失敗時は無理に剥がさず、PreFormで準備したホルダーと「クリーニングシート機能」を使う。
  • [ ] タンクも工具も「洗浄液 3D Medsupo」で一本化し、管理を楽にする。

技術相談・サンプル請求について

「実際にクリーニングシートの作業手順を実機で見てみたい」「自社のメンテナンス運用が合っているか診断してほしい」という方は、ぜひ弊社のショールームをご利用ください。実機を用いたレクチャーが可能です。

また、タンク洗浄にも使える洗浄液 3D Medsupoの検証用サンプルもご用意しております。現在の洗浄環境に課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

出典:Inspecting and cleaning resin tanks (Form 4 and Form 4L generation)

\ IPA廃液の処理にお困りではありませんか? /
3D Medsupo製品と回収のイメージ

3D Medsupo(メドサポ)

非有機溶剤で「毒性なし・臭いなし」。さらに「廃液回収サービス付き」だから、面倒な産廃処理の手間とコストをゼロに。
★ キャンペーン中 今なら使用済みのIPA廃液も回収します!

Form 4 / 4L 導入のご相談

「実機で機能を確認したい」「造形サンプルの依頼」「お見積り」など
専門スタッフが丁寧にお答えします。

この記事をシェア
ご相談・無料サンプル
光造形の導入・運用、3DMedSupoのご相談

洗浄液の選定、レジンの相談、お見積りなど、お気軽にご相談ください。無料サンプルもご用意しています。

AUTHOR
i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

3DMedSupo 無料サンプル

光造形の導入・運用でお困りですか?

洗浄液の選定、レジンの相談、お見積りなど、お気軽にご相談ください。

お電話: 042-444-7220(平日 9:00-17:00)