Zbrushで3Dデータのポイントをマージ(結合)する
それでは3DプリンターのForm3でフィギュアを造形するために、さらにモデルを修正していきましょう!
前回は「Blender」で一体に見えているのに実は別々に分かれていた3Dデータを、一体化するためのポイントマージ(結合)をおこないました。
今回はこれに代わり、「Zbrush」で3Dデータを一体化するためのポイントのマージ方法をご説明します。
「Blender」の時の記事と同じく「靴」を例にしましたので、その違いも確認してくだされば幸いです。
※今回「Zbrush」内での靴はサブツール1点ですが、環境によってもしサブツールが複数に分かれている場合は「サブツールパネル/結合」で1サブツールにして作業してください。
Zbrushのポリグループを統合
(3Dデータのインポート方法は、前出「⑤Zbrushでの3Dデータの穴埋め」記事を参照下さい)
下図のように3Dデータとしては「1サブツール」ですが、「ポリグループ」が4つにわかれた状態でインポートされています。
そのためこの靴を「ディバイド」したり「ダイナメッシュ」すると、下図のように3Dデータの形状が破綻してしまいます。
これは、ポイントが重なっているだけで一体化していない時に起こる症状です。
そこで、この靴の3Dデータのポイントをマージして完全に立体化します。
画面右のパネルから「ジオメトリ/トポロジー編集/頂点結合」ボタンを押してください。
画面には特に変化は出ませんが、実は二重になっているポイントが結合されています。
ポイントが結合して3Dデータが一体化したかどうか確認するには、「ポリグループ」の状態の変化で確認できます。
画面を「ポリグループ表示」に切り替えると、結合されて一体化したためにポリグループが1つに統合され1色になっていますので、これで確認ができます。
完全な立体にするために、足首部分の穴埋めも行いましょう。
画面右のパネルの「ジオメトリ/トポロジー編集/穴閉じ」を実行してください。
一発で足首部分の穴埋めが完了します。
これで完全な立体化ができました。
サブディバイドでスムージングをかければ、完成です。
Zbrushでのクリース(折り目)処理
ですがここで、サブディバイドでスムージングした時の対策として「クリース(折り目)処理」も行っておきましょう。
「クリース(折り目)処理」とは、サブディバイドでスムージングをかけたときに通常はエッジも丸くなってしまうのですが、事前にエッジを立てておく必要がある箇所をこのクリース処理で指定しておけば、サブディバイドしても丸くならないようにできるのです。
今回の場合は、靴底やヒールの角・足首部分がエッジを立てておく必要がある箇所です。
「ジオメトリ/クリース(折り目)/クリース」を押せば、しきい値で設定した折り目にこまかい点線が表示されます。
「ジオメトリ/クリース(折り目)/全て解除」を押せば、設定したクリースが解除されます。
Zbrushでのクリース処理は、角(折り目)部分の「角度指定」をすれば自動的にクリース箇所が選択され決定されます。
「ジオメトリ/クリース(折り目)/しきい値」のスライダーバーを動かして折り目の角度を変えて、画面でのクリース位置を確認しながら最適値をトライアンドエラーで導き出してください。
今回の場合では、いろいろな角度指定をして調整してもどうしても自動的に靴先の上部がクリース対象になってしまうようです。
仕方がないのでクリースがかからない角度になるように、クリース前に靴先に少々スムージングをかけておいて(Shift+マウスドラッグ)、なだらかにしておきます。
「Cしきい値」を調整して、今回の場合「51」程度で靴底とヒールのエッジが立つ状態になるようです。
試行錯誤して、最適なクリースを設定してください。
最適な状態になったら「ジオメトリ/ディバイド」を2回押して、サブディバイドをかけてなめらかにしましょう。
それからさらに変に角張った部分があれば、「Shift」ボタンを押しながらマウスをドラッグして、その角張った部分にスムージングをかけます。
最後に「ジオメトリ/Zリメッシャー」をかけて、「トポロジー処理」して完了です。
この章のまとめ
ここでは「Blender」に続いて、「Zbrush」で完全な立体をつくるための「ポイントのマージ(結合)」と「クリース」等についてご説明しました。
BlenderとZbrushでは操作方法がだいぶ違いますが、基本的な概念というか工程は似ていると思います。
「ポイントのマージ」→「クリース設定」→「サブディバイド」/「トポロジー処理」という工程を身につけて頂ければ幸いです。