Zbrushでフィギュアの3Dデータを完成させる

全体の仕上げ② 

 こんにちは!Z造形師です。

それでは3DプリンターのForm3でフィギュアを造形するために、さらにモデルを修正していきましょう!

「髪」の仕上げ

 それでは次に「髪の毛」を仕上げていきましょう。
「前髪」を整えたいと思いますが、いろいろと問題が多い箇所です。

まず髪の毛に残っている「クリース」でできた折り目の跡は、「Shift」を押しながらドラッグして「スムージング」をかけて自然な風合いにできます。

 さて「前髪」に関しては、耳部分にまだ削除していないゴミが残っていましたね。
<Zbrushでフィギュアの「髪の毛」をブーリアンして整える③>で宿題になっていました。
その時は、無理やりブーリアンで削除する方法も記事にしていましたね。

その時の記事をお読みいただくと詳しいいきさつはわかると思いますが、ポリグループが分かれた状態だとこのゴミは削除できないものでした。
それにしてもこの「前髪」ですが、もともと別々のサブツールだった複数の髪をブーリアンして合体させたので、下図のようにポリゴンの流れが非常に悪いです。

これは3Dプリンター出力時にも少なからず悪影響が出る可能性があるので、できれば安定したポリゴンの流れに整えておくことをお勧めします。

それでは具体的にどうするかですが、まず「Zリメッシャー」を設定したいと思います。
「Zリメッシャー」は、「形状を保ちつつ」「ポリゴンの流れ」を再構成してくれる機能ですね。

するとどうなったかと申しますと、うまく働かず破綻してしまいました。

「投影」機能で元の形状に戻せるかとも思いましたが、だめでした。
赤丸部分はブーリアンで複雑な形状になってしまった箇所のようで、何度調整してもだめでした。
ポリグループを分けずに統一化しても、形状が守られずに結果は下図のようにになりました。

 では次の手ですが、「ダイナメッシュ」でいきましょう。
「ダイナメッシュ」は「ポリゴンの流れ」ではなく、「ポリゴンの均一化」機能と考えたら解りやすいでしょうか。
ただしこの「ダイナメッシュ」機能の注意点は、形状を保つにはポリゴンが増えてしまう傾向がある点です。
では、設定してみましょう。

まず「前髪」を表示して、「ジオメトリ/ダイナメッシュ」パネルを表示してください。
そして「投影」を有効化して「サブ投影」を「1」に、それから「解像度」を調整します。
「解像度」を上げるとポリゴンが細かくなり、より元の形状に近づいてくれます。
「投影」を有効にしていても、解像度が足らないと形状が甘くなってしまいます。
「解像度」を徐々に上げていって、これならOKだと思える所まで試行錯誤してみてください。
遠景ではきれいに見えても近づくと形状が潰れている場合が多々ありますので、アップして近づいて確認してください。
今回は「解像度」2500~3000あたりが形状がきれいに保たれるラインのようです。

こうすれば、ポリグループが分かれたままポリゴンも整いました。

こののちポリグループを「Ctrl+Shift」で表示非表示しながら、髪のクリース(折り目)部分を「Shift」を押しながらドラッグしてスムージングかけしてください。

最後に先ほどお話ししていました「前髪の耳上ゴミ」を削除しましょう。
「ポリグループ/自動グループ」を押して、ポリグループを統一して一色にしてください。
それからブラシの種類を「MuskLasso」等を選択して「Ctrl」でマスクを「追加」したり「Ctrl+Alt」でマスクを「削除」したりしながらゴミ部分のみをマスクします。

そして背景の無いもない部分を「Ctrl」を押しながら1クリックするとマスクが反転します。

これでゴミ削除の準備ができました。
「TrimLasso」ブラシを選択し、「Ctrl+Shift」を押しながらゴミ部分を選択してください。
その時選択する方向(時計回り/反時計回り)によってゴミ削除が出来ない場合がありますので、試行錯誤してください。

いかがでしょうか、このようにゴミが削除できました。

最後に「ロングヘアー」を加工しましょう。
「ロングヘアー」もブーリアンをかけたことでポリゴンの流れが悪いことと、髪の毛同士の接合面が微妙に乱れています。

このポリゴンの流れを整えましょう。
まず「Zリメッシャー」をかけましたが、こちらエラーが出てZリメッシャーがかけられませんでした。
仕方ないので「ダイナメッシュ」をかけましょう。

先ほどと同様に「ロングヘアー」を表示して、「ジオメトリ/ダイナメッシュ」パネルを表示してください。
そして「投影」を有効化して「サブ投影」を「1」に、それから「解像度」を2000程度に調整してみましょう。

これで形状をさほど犠牲にせずに、ポリゴンの流れを整えられました。
つぎに「Shift」を押しながらドラッグして「スムージング」をかけてきれいにしましょう。
「ドローサイズ」を拡大縮小したり、「Z強度」を変えて、スムージングにチャレンジしてください。
ただし高ポリゴンにしたので、ここからはあまり調整がききません。
最終仕上げのスムージングだと思ってください。

さあこれですべてのパーツを、3Dプリンター出力可能なデータに加工することができました!

全体を表示するとこのような感じです。

3Dプリンター用のハッカドール2号の3Dデータが、これで完成しました!
すべてのパーツが完全な立体として3Dプリンター「Form3」で造形可能です。

この章のまとめ

ですがまだまだ終わりではありません、フィギュア造形の本番はこれからですよ!
次は3Dプリンター出力用の専用スライサーソフト「PreForm」で3Dプリンター専用のデータ形式に変換して、3Dプリント用のサポート材のセッティング作業に移ります。
どうぞこのまま、進んで下さいね!