美術館の歴史的芸術品をさわることができる3Dプリントレプリカプロジェクト

広がる3Dプリンターの使い方

3Dプリンターと3Dスキャナーの普及がさまざまなサービスを生み出している。この二つの技術を使用し注目を集めているのがフィギュアの製作だ。3Dスキャニングでその人を全身スキャンし、3Dプリンターでプリントするというサービス。

こうした使用方法はさまざまな波及効果を生み出しており、ディズニーなどは3Dスキャンと自分たちがもっているスターウォーズのキャラクターをかけ合わせることで、ユーザーがスターウォーズのキャラになれるサービスを提供したりしている。

こうした技術は以外なところで利用が開始されているようだ。本日ご紹介する博物館の歴史的芸術品を作るスマートレプリカプロジェクトもそのうちの一つ。有名な博物館に展示されている貴重な芸術品は見るだけで手に触れることはできない。

しかし3Dスキャニングと3Dプリント技術を使う事によって、来場者が実際に見て、手に取って触れることができるサービスが開始されている。

3Dプリンターで歴史的芸術品がさわれる

このスマートレプリカプロジェクトを開始したのはオランダ人デザイナーで芸術家であるMaaike氏。アートギャラリーや美術館内のアイテムを見るだけで感じることができないことがこの取り組みのきっかけになっている。

主な芸術品の対象は陶器でできた芸術品であり、使用されるのは高性能な樹脂素材の3Dプリンターだ。まずは作品を3Dスキャンし、3Dプリンターで金型を製造。その後セラミックでレプリカを作るという方法が用いられている。

この取り組みはオランダのロッテルダムにあるボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館でまず行われ、来場者たちが実際に触れることができるようにされている。

ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館は中世ヨーロッパ美術から近代美術まで約12万6千点の美術品を所蔵しているオランダでも有名な美術館。はじめに行われたのはガラスのティーカップセットなどのアイテムだ。

3Dスキャニングされデータ化されたガラスのティーカップセット

モバイルアプリでの展示も計画

まとめ 歴史的芸術品のレプリカが手に入る時代

この芸術品の3Dプリンターによるレプリカ製造は、オランダのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館を皮切りに、美術品で有名な都市ハーグや、イギリスの国立芸術学校ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツとパートナーシップを締結しているという。

ちなみにハーグはオランダ内の自治都市で、世界的に有名なアートや文化が数多く存在する都市だ。歴史的な芸術品の3Dプリントでは、ブルガリアの博物館が展示している古代からの歴史的遺物を3Dプリントサービスと提携し販売を開始するなど、密かにこの最先端技術の利用が開始されている。

現在このスマートレプリカプロジェクトは、スマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイスに対応するアプリケーションを開発中で、仮想空間上で提携している博物館や美術館のデジタル展示を行い、多くのエンドユーザーに見てもらえるような取り組みが始まっているという。

将来的にはブルガリアの博物館のように3Dプリントサービスと提携するなど行って、レプリカをプリントし手に入れることができるかも知れない。このことはそれを提供する美術館や博物館にとって二つのメリットをもたらすだろう。第一は、レプリカの販売による収益化に結びつけられること。

第二は、多くの展示物がレプリカとインターネットを通じて不特定多数の人々に広く告知ができることから、来場促進につなげられることなどだ。ブルガリアの博物館もこの二つのメリットが見込めるとして3Dプリントサービスを開始している。まさに最新のデジタル技術が古代からのプロダクトを再生させ、新たな価値を生み出す面白い取り組みだといえよう。

ブルガリア博物館の3Dプリントサービスの記事はこちらをどうぞ

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