本文へ飛ぶ
ニュース

金型や鋳造と3Dプリンターの決定的違い「クオリティと仕上げの幅」

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2014.09.05 更新 2026.04.15 読了 約6分

射出成形やブロー成形と3Dプリンターの組み合わせ

3Dプリンターはデータがあれば1個単位から製造することができるため、その効率性からさまざまな業界での利用が始まっている。昨年度までは試作品としての用途が大半であったが、仕上がりの精度が向上していることから徐々に最終品の製造に使用が拡大してきている状況だ。

それではこれまでの代表的な製造方法であった金型を使った製法と比べてどのような違いがあるのであろうか。もちろん、作る商品や製品によって加工方法や完成度は異なるが、全体的な比較は可能だ。

例えば、樹脂を例にとってみてもそれは明白だろう。3Dプリンターの材料として最も代表的な素材にABS樹脂があるが、3Dプリンターで作ることができる商品と、従来の金型で作ることができる完成度の幅は決定的に違う。ABSフィラメントは不透明性が多く、耐衝撃性に優れた素材であるが、3Dプリンターで使う場合にはフィラメント状のものを溶かして積み上げるという製法になる。そのため、どんなに解像度が高くても積層の粗が目立ってしまう。

しかし金型を使った射出成形方式で成形した場合は、ドロドロに溶かしたABS樹脂を高圧力で金型に押し込むことができるため、樹脂を構成する分子が均一にいきわたり、仕上がりがとても滑らかで綺麗になるのだ。このようにプラスチックは分子と分子の結合で成り立っているが、その分子の配置状況をコントロールし、仕上がりを変えるのが金型の技術だと言える。こうしたことを見ると、3Dプリンターでは熱を溶かす温度などは全て自動で行われるためプラスチックを構成する分子をコントロールはできない。

一方で射出成形であれば、細かく樹脂を溶かす温度がコントロールすることができ、塗装することなく高級感のある光沢仕上げなどもできる。このように、素材本来の力を引出すことができるのは圧倒的に金型なのである。

ここまで長々と金型と3Dプリンターの話をしてきたのは、作る商品によっては現段階では金型の方が圧倒的に適しているということを言いたかったためである。

また、どの製法を選択するのかは単純に製品の仕上がりのみで選ぶことはない。その成形方法がコスト面、生産性からどちらが適しているかということも重要な判断基準になってくる。やや話が脇道にそれたが、要するに3Dプリンターが登場したからといって金型がなくなるわけではないし、むしろ金型と3Dプリンターを組み合わせることで、これまでの美しい成形方法を保ちながら、生産性を効率的に進める新たな方法も登場してきている。例えば射出成形やブロー成形のための簡易金型を3Dプリンターで作る方法が実際に導入されている。

射出成形でしか出せないピアノブラックの質感

金型と3Dプリント技術の融合の記事はこちらをどうぞ

 3Dプリンターとロストワックス鋳造の組み合わせ

一方で金型を使った射出成形以外の伝統的製法、鋳造製法でも3Dプリンターとの融合が進んでいる。以前もご紹介したが、一般的にジュエリー、特に貴金属で構成されているジュエリーを作る方法はロストワックス製法という方法だ。

この製法はいうなれば、ロウを使って商品の模型を作り、そのロウ型を砂で固めてそこに溶かした金属を流し込むという製法。ロウは高熱で熱することで溶けて空洞になり、そこに金属が流し込まれることで成形するという方法だ。

その特長は複雑な形状のものを成形することができるという点にあり、仕上がりも美しい。ちなみにジュエリー製造の鋳造と射出成形などの金型は全く別の技術だが同じ型を作り流し込むという伝統的製法では共通している。

それにジュエリーなどでとられるロストワックスの鋳型製法は金型以上に精密な形状が再現可能だ。この方法は商品の原型となるロウ型を作る作業が大変で、一つ一つ職人が手作業で加工する。

このロウ型を新たに3Dプリンターで作る取組を開始したのはアメリカのジュエリーデザイナージェニー呉氏。ロストワックス鋳造、インベストメント鋳造、金型製造用途のためのワックス模型を作る用途で開発された3DプリンターSolidscape MAX2を使用し、精巧なデザインのロウ型を作っている。

Solidscape® MAX² 3Dプリンターで作られたロウ型とロストワックス鋳造で作られたジュエリー

精巧なデザインと美しい仕上がりのジュエリー

Solidscapeの鋳造用ワックス製造の高解像度3Dプリンター

このロウ型を作るために使用されたSolidscapeの鋳造用ワックス製造の高解像度3Dプリンターは積層するレイヤーの薄さが00625mmから0762mmという超極薄のレベル。仕上がりにこだわりが必要なジュエリーのロウ型としてはこれ以上ないぐらい最適なマシーンだ。また最大の特長はこのロウ型の3Dプリントにより、作る形状にもよるが25%も1時間当たりの処理能力がアップすることにつながっている。

ロストワックス鋳造と3Dプリント技術の融合の記事はこちら

まとめ 使う人に価値を与える機械以外の技

昔からある製法である鋳造や射出成形、押出成形などの伝統的な成形方法と3Dプリンターが比較される場合、多くの焦点はコスト効率に目が行きやすい。例えば射出成形は金型を作るのに高額なコストが発生することから、一定量の販売が確保されている必要がある。

そのため少量生産をしたい場合は3Dプリンターの方がはるかにコストを安く抑えることができるためだ。しかしこうしたコスト効率以外に決定的な差が存在する。それは機械以外の技術力が反映できるかできないかという違いだ。上記でも述べたが3Dプリンターであれば、全てデータと機械の特性によって作られるモノの精度は決まってしまう。そこに機械以外の技術力が介在する場がないのだ。

そのため、作られるものの質感や完成度、精密さといった仕上がりは機械の性能が変わらない限り変えることは不可能だ。一方で、伝統的な製法である射出成形や鋳造、鍛造などは、熱をコントロールすることで物質を変化させることから、熱量を調節することで仕上がりをさまざまなカタチに変えることができる。

そのため一言で射出成形といってもそこには機械以外の諸条件をコントロールする技が介在し、技によって製品の品質や精度が高めることが可能だ。

そのため我々の生活で存在する多くの製品、例えば高級感の仕上がりがあるデジタルカメラの質感や、プリンターのRの曲線などは現在の3Dプリンターでは表現できない物である。このように見てみると、それぞれでそれぞれの強み・弱みがあり、必要に応じて使い分け、または融合させ適材適所に使用することが必要になってくるだろう。

肝心なのはいかに人に手に取ってもらい価値を与えるモノづくりができるかどうかにかかっている。そこを忘れて技術のみだけが立脚することはありえない。

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。

この記事をシェア
ご相談・無料サンプル
光造形の導入・運用、3DMedSupoのご相談

洗浄液の選定、レジンの相談、お見積りなど、お気軽にご相談ください。無料サンプルもご用意しています。

AUTHOR
i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

3DMedSupo 無料サンプル

光造形の導入・運用でお困りですか?

洗浄液の選定、レジンの相談、お見積りなど、お気軽にご相談ください。

お電話: 042-444-7220(平日 9:00-17:00)