SOL PRO 3Dスキャナーを使いこなすために
3Dスキャナーは物体の形状をレーザーやLEDによってスキャニングし、三次元のデータにするための機械です。ただしすべての物体が完璧にスキャンできるものではなく、3Dスキャナー単体でできることは限られており、あとソリューションを組み合わせることで、驚くほどできることの幅が広がります。
そのため、3Dスキャナーを導入する際には、「何を3Dスキャンし、どこまでデータ化したいのか?」という点を明確にするとともに、それに合わせたハードとソフトを用意する必要があります。
そこで今回はSOL PRO 3Dスキャナーでできることを中心にどのようなものが必要なのか、できることで初期導入コストやランニングコストがどの程度かかるのかをご紹介します。
ソリューション別 SOL PRO 3Dスキャナー導入コスト
SOL PRO 3Dスキャナーはソリューションごとによって導入コストやランニングコストが変わります。今回ご紹介するソリューション別の価格一覧をまとめました。
3Dスキャン∔3Dデータ編集のソリューション別価格表
セット内容 | できること | 価格(税別) |
---|---|---|
SOL PRO 3Dスキャナー単体 ※すでにPCをお持ちの場合 |
フルカラー3Dスキャン |
SOL PRO:278,000円 |
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコン |
フルカラー3Dスキャン |
SOL PRO:278,000円 PC:14万~30万円 |
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコン∔Meshlab |
フルカラー3Dスキャン データ軽量化(制限なし) 3点マージ |
SOL PRO:278,000円 PC:14万~30万円 MeshLab:0円 |
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコン∔Photoshop |
フルカラー3Dスキャン データ軽量化(制限なし) カラー画像編集 |
SOL PRO:278,000円 PC:14万~30万円 Photoshop:2,728 円/月 |
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコン∔MeshLab∔AdobeAero |
フルカラー3Dスキャン データ軽量化(制限なし) AR化 |
SOL PRO:278,000円 PC:14万~30万円 AdobeAero:0円 MeshLab:0円 |
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコン ∔Aertech studio |
フルカラー3Dスキャン データ軽量化(制限なし) 3点マージ カラー画像編集 |
SOL PRO:278,000円 PC:14万~30万円 Aertech studio:40万円 |
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコン ∔OPT Cloud Survey |
フルカラー3Dスキャン データ軽量化(制限なし) 3点マージ カラー画像編集 |
SOL PRO:278,000円 PC:14万~30万円 OPT Cloud Survey:30万円 |
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコン∔ FreeForm |
フルカラー3Dスキャン データ軽量化(制限なし) 3点マージ カラー画像編集 |
SOL PRO:278,000円 PC:14万~30万円 FreeForm:74万4千円~ ※別途保守料 |
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコンのみのコスト
まず初めにSOL PRO 3Dスキャナーを導入する際の基本的な初期導入コストについてご紹介します。SOL PRO 3Dスキャナーはスキャナーをコントロールするためのパソコンのみがあればスキャンスタートが可能です。
SOL PRO 3Dスキャナー
商品名 | できること | 価格(税別) |
---|---|---|
SOL PRO 3Dスキャナー |
デスクトップでフルカラー3Dスキャンが可能 |
278,000円 |
パソコン
商品名 | ギガ数 | 価格(税別) |
---|---|---|
ノートPC |
32ギガ |
13万円~ |
デスクトップPC |
64ギガ |
25万円~ |
パソコンの選び方
SOL PRO 3Dスキャナーに限らず、3Dスキャナーを使用する場合、パソコンの選択が重要になります。3Dスキャナーは三次元のデータを使用することから、メモリ、CPU、ハードディスク容量、グラフィックボードなどの要件が決められています。上記でご紹介したパソコンは概要ですが、具体的には以下のPCになります。
ノートPC mouse K5-H #2112K5-i7CMLABW11-H [ Windows 11 ]
- OS;Windows 11 Home 64ビット
- CPU:インテル(R) Core(TM) i7-10750H プロセッサー
- メモリ:32GB メモリ [ 16GB×2 ( DDR4-2666 ) / デュアルチャネル ]
- SSD:512GB NVM Express SSD ( M.2 PCI Express 接続 )
- グラフィックス:NVIDIA GeForce MX350 / 2GB
- 商品単価:\141,900(税込)
デスクトップPC G-GEAR GA7J-H214/ZB
- OS;Windows 11 Home 64ビット
- CPU:インテル® Core™ i7-12700KF プロセッサー
- メモリ:64GB (32GB x2枚) DDR4-3200
- SSD:2TB WD BLUE SN570
- グラフィックス:NVIDIA GeForce RTX 3060 / 12GB /
- 商品単価:287,549(税込み)
- モニター別売り:19,780円(税込)
上記2機種はあくまでも一例ですが、メモリの違いや、グラフィックボードの違いはスキャンスピードや処理速度などに影響を与えます。
3Dスキャナー∔PCでできること
上記の要件を満たすパソコンとSOL PRO 3Dスキャナーを使用すれば、基本的な3Dスキャンは可能です。またSOL PROのマージ機能と、Viewerソフトの軽量化機能を使用すれば、フルカラーのスキャンデータを10分の1程度まで軽くすることも可能です。
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコン∔MeshLab(フリーソフト)のコスト
上記のSOL PRO 3Dスキャナーとパソコンに加え、MeshLabというフリーソフトを使用することでさらにできることが広がります。MeshLabは3Dデータのメッシュの編集や加工ができるソフトウェアで無料で利用することができます。
MeshLabでできること
Sol PRO 3DスキャナーでスキャンしたデータをMeshLab(https://www.meshlab.net/)で開くことで、主に二つの拡張性があります。第一がデータの軽量化で、次に3点マージの利用です。
データの軽量化
フルカラーで3Dスキャンされたデータはデータ容量が重く、マージ回数などによっては1ギガ近くに達する場合もあります。SOL PROの標準ソフトであるSOL PRO Viewerでも軽量化は可能ですが、10分の1までという限界があります。しかしMeshLabを使用すれば、制限なく軽量化が可能で、100kb以下まで容量を落とすことが可能です。
3点マージ機能
MeshLabでは3点マージ機能を利用することができます。マージ機能とは、いろいろな方向でスキャンしたスキャンデータの位置を3つのポイントをつけることで合わせる機能です。SOL PRO 3Dスキャナーにもマージ機能は標準で搭載していますが、対象物の形状によって位置合わせが異なる場合があります。その際、MeshLabを利用すれば3点を指定して位置を合わせることが可能です。
MeshLabの費用
MeshLabはフリーソフトなため費用はかかりません。
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコン∔Photoshop
SOL PRO 3Dスキャナーの特長の一つがフルカラーでの3Dスキャンです。レーザーで形状をメッシュ化し、LEDで画像のカラーやテクスチャをキャプチャします。キャプチャされた画像はPNG形式で保存され、メッシュであるSTLと合わさってフルカラーの3Dデータになります。
SOL PROでは、表面のテクスチャであるPNGデータを、Photoshop(https://www.adobe.com/jp/products/photoshop.html)などの画像編集ソフトで開いて補正や編集を行い、同一のファイル名で保存することで、色を変えたり、要素を追加した3Dデータ化が可能です。
PhotoShopの費用
PhotoShopはAdobeが提供する画像編集ソフトで、サブスクリプション契約です。PhotoShop単体では月額2,728円、イラストレーターなど他のデザインソフトと合わせたクリエイティブクラウドのプランでは月額6,480円で利用が可能です。
SOL PRO 3Dスキャナー∔パソコン∔MeshLab∔AdobeAero
SOL PROでは食品や自然なものなど、3Dデータ化が難しい形状のものを3D化するのが得意です。こうしたデータをAR(拡張現実)の世界で展開することも可能です。
Adobe社のAero (https://www.adobe.com/jp/products/aero.html)はAR拡張現実を簡単に実装できる無料アプリです。スキャンした3Dデータを取り込めばスマートフォンやタブレットなどで簡単に現実世界に3Dデータを表示させることができます。また3Dデータに動きを実装することもできます。
MeshLabのデータ軽量化と拡張子変更が必要
Adobe AeroでAR実装をする場合には、スキャンデータの軽量化と拡張子変が必要です。そのためフリーソフトのMeshLabで3Dデータの軽量化を行い、DAI形式に変換を行った後、AdobeAeroで開きます。 3Dスキャンされたデータはカラーとメッシュにより容量がとても重くなります。MeshLabを使用すれば、画像の解像度を落とすことなく、データ容量をARなどで使用できる100KB近くまで軽量化が可能です。
Adobe Aeroの費用
Adobe Aeroはフリーソフトなため費用はかかりません。
MeshLabの費用
MeshLabはフリーソフトなため費用はかかりません。
SOL PRO 3Dスキャナー∔Freeform
これまでご紹介してきたように、3Dスキャンしたデータのマージや色の補正、形状の編集などを行うためにはフリーのソフトウェアの使用が必要でしたが、MeshLabやPhotoShopでもすべてが自在に編集できるわけではありません。そこで有償の3D編集ソフトを使用することで、より幅広い事由なデータ編集が可能になります。
特にFreeformは、直感的に3Dオブジェクトの形状やカラーを編集することができるソフトで、SOL PROでスキャンを行い、Freeformで加工することで、より再現度の高い3Dデータが手軽に作ることができます。
3DsystemsのGeomagic Freeformとは?
Freeformは、3Dsystemsが提供する3Dソフトです。最大の特長がペン型のツールを使用しながら3Dモデルの設計や編集ができる点です。特殊な形状から細かい高精細な設計まで可能です。3Dスキャンしたデータもペン型のツールを使い、粘土のように形状を変えたり、色を塗ることができます。
Geomagic Freeformの費用
Geomagic Freeformは導入費用が744,100円(税別)から導入可能で、年間保守料金が174,000円かかります。システムによって価格が異なりますの。
SOL PRO 3Dスキャナー∔Artech Studio
3Dスキャン後の有償ソフトとしてもう一つのおススメがArtech Studioです。Artech Studioは、ハイエンド3DスキャナーのArtechの有償ソフトですが、ソフトウェアだけでも使用が可能です。機能としてはポイントを設定してマージできる点や、3Dデータの形状変更や部分削除、マージなどが簡単にできます。
Artech Studioの費用
Artech Studioは導入費用が400,000円(税別)からになります。
SOL PRO 3Dスキャナー∔OPT Cloud Survey
3Dスキャン後の有償ソフトとしてOPT Cloud Surveyもあります。OPT Cloud Surveyも機能としてはマージができる点や、3Dデータの形状変更や部分削除などもできます。
OPT Cloud Surveyの費用
Artech Studioは導入費用が300,000円(税別)からになります。
ソリューションで導入コストも変わる
SOL PRO 3Dスキャナーはパソコンとスキャナーだけでも高品質でフルカラーのスキャンが可能ですが、フリーソフトや、有償のソフトと組み合わせることで、3Dの活用方法が驚くほど広がります。また3Dプリンターなどと組み合わせればリバースエンジニアリングやフィギュア作成などさまざまなソリューションも展開可能です。
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