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Formlabs製品ガイド

Form 4レジンタンクの再利用法|違うレジンを入れた時のリプログラミング完全ガイド

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2025.12.17 更新 2026.04.15 読了 約7分

Form 4レジンタンクの再利用法|違うレジンを入れた時のリプログラミング完全ガイド

「新しいレジンタンク(レジンを入れるトレイ)をセットしたのに、うっかり前回と同じレジンカートリッジを挿してしまった……」
「急ぎでテスト造形をしたいけれど、そのレジン専用のタンク在庫がない……」

Form 4Form 4L を運用している現場では、こうしたヒヤリハットや緊急事態が起こり得ます。「タンクを買い直さないといけないのか?」と焦る必要はありません。

実は、Form 4 世代のレジンタンクは、正しい手順を踏めば「再割り当て(リプログラミング)」が可能です。

今回は、弊社の技術部門が実際に行っている、異種レジンの混入(コンタミネーション)を完全に防ぎ、安全にタンク設定を書き換えるための復旧フローを解説します。

準備編:作業に必要な機材と環境

この作業の成否は、再設定前の「完全な洗浄」にかかっています。わずかでも前のレジンが残っていると、新しいレジンと反応してゲル化し、造形失敗やタンク破損を招きます。以下の道具を必ず揃えてから着手してください。

アイテム 必須/推奨 用途・備考
Form 4 / Form 4L レジンタンク 必須 再利用したいタンク本体。
新しいレジンカートリッジ 必須 これから使用したい種類のレジン。
遮光ボトル 必須 タンクに残ったレジンを保管する容器(カートリッジには戻さないこと)。
シリコン製スクレーパー 必須 タンク底面のフィルムを傷つけない柔らかいヘラ。
ペーパーウエス 必須 毛羽立ちの少ない不織布タイプを推奨。
洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ) 推奨 タンクに残ったレジン成分を完全に溶解・除去するために使用。
ニトリル手袋 必須 安全のため必ず着用してください。

実践編:プロが教えるステップ・バイ・ステップ

それでは、実際の作業手順を解説します。最も重要なのは、Step 2の洗浄工程です。

Step 1: レジンの排出と物理除去

まず、タンク内に残っている古いレジンを取り除きます。

  • レジンタンクの四隅(注ぎ口)から、用意した遮光ボトルへゆっくりとレジンを注ぎます。
  • 注意: 一度タンクに出したレジンを、元のカートリッジに戻さないでください。硬化物が混入し、カートリッジのバルブ詰まりの原因になります。
  • シリコン製スクレーパーを使い、タンクの底面(フィルム上)や壁面に残ったレジンを、注ぎ口へ向かって集めます。
  • 集めたレジンを排出し、ウエスで大まかに拭き取ります。
Form 4のレジンタンクの角から、遮光ボトルへレジンを注いでいる様子
遮光容器へレジンを移す際は、こぼさないよう慎重に行います。

Step 2: 「洗浄液 3D Medsupo」での仕上げ拭き上げ(※最重要)

物理的に拭き取っただけでは、目に見えないレジンの被膜が残っています。ここで洗浄力に優れた溶剤を使って完全にリセットします。

  • 新しいウエスに、洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)を適量染み込ませます。
  • タンクの内壁、そして底面のフィルムを優しく拭き上げます。
  • フィルム面は、Form 4 特有の「リリーステクスチャ(微細な凹凸)」があります。ゴシゴシ擦らず、円を描くように優しく撫でてください。
  • ウエスが汚れたら新しい面を出し、ウエス側に汚れがつかなくなるまで、最低でも3回は拭き取りを繰り返してください。
  • タンクの「隅(コーナー)」にレジンが溜まりやすいので、ウエスの角を使って念入りに除去します。

■ プロの視点

一般的なIPA(イソプロピルアルコール)は揮発が早すぎて拭きムラになりやすいですが、3D Medsupo は適度な乾燥速度のため、レジンをしっかり絡め取ることができます。

Step 3: データ転送とカートリッジセット

タンクが新品同様にきれいになったら、プリンター側の準備を行います。

  • PC上で Formlabs専用ソフトウェア PreForm を開きます。
  • プリント設定画面(Job Setup)を開き、「Resin」の項目で、これから使用したい新しいレジン(例: グレーレジン V5 から ブラックレジン V5 へ変更する場合、ブラックを選択)を指定します。
  • その設定でプリントデータを Form 4 本体へ送信(Upload)します。
  • Form 4 本体に、先ほど洗浄したレジンタンクと、データと同じ種類の新しいレジンカートリッジを挿入します。

Step 4: エラー解除と再プログラミング実行

いよいよ設定の書き換え(再プログラミング)です。

  • Form 4 のタッチスクリーンで、送信したジョブを選択し「Print」をタップします。
  • 画面に「エラー 1.6.10: 間違ったタンクが挿入されました(Wrong Tank Inserted)」という赤い警告が表示されます。
  • 警告画面の下部にある「無視(Ignore)」ボタンをタップします。
  • 確認画面が表示されるので、「再プログラミング(Reprogram Tank)」を実行(承認)します。

■ 正常な反応です

エラーメッセージは「以前のレジン情報」と「今回の指定レジン」が食い違っているために表示されます。再プログラミングによって、タンク内のRFIDタグ情報が書き換わり、新しいレジン用として認識されるようになります。

Form 4のタッチパネル画面。赤字で表示されたエラーメッセージと、その下にある「無視」ボタンを指でタップしようとしている写真
赤字のエラーが出ても焦らず「無視」を選択してください。

技術パート:失敗しないためのプロの「コツ」

作業自体はシンプルですが、以下のポイントを守らないとトラブルに繋がります。

よくある失敗と対策

  • 四隅の拭き残し: タンクのコーナー部分に前のレジンが残っていると、新しいレジンと反応してゲル状の塊が発生します。これが造形エリアに流れ込むと、造形物が欠けたり、最悪の場合はフィルムに穴が開く原因になります。
  • 生体適合性レジンへの転用はNG: BioMed Amber などの生体適合性レジンを使用する場合は、安全性の観点から必ず新品のタンクを使用してください。どれほど丁寧に洗浄しても、以前の工業用レジン成分が微量に残存するリスクをゼロにはできません。再プログラミング機能は、あくまで一般的なモデル用レジン間での使用に留めてください。

成功のための運用テクニック

  • 洗浄液選びが命: タンクのフィルム(特にForm 4の二層フィルム)はデリケートです。攻撃性の強すぎる溶剤や、逆に洗浄力の弱い溶剤は向きません。洗浄液 3D Medsupo は、レジン溶解力と部材への安全性のバランスが良く、タンクメンテナンスにおいても非常に優秀なツールです。
  • フィルム保護の鉄則: 拭き上げ時は、指輪や爪、鋭利な工具を絶対に当てないでください。Form 4 の高速造形を支えるリリーステクスチャを保護するため、常に「柔らかいもの」で触れる意識を持ちましょう。

応用編:さらなる効率化へ

緊急時は今回の「再割り当て」が非常に有効ですが、恒常的に多品種を扱うのであれば、基本的には「レジンごとに専用タンクを用意する」のがベストプラクティスです。入れ替えの手間とリスクを完全に排除できるからです。

しかし、開発段階での一時的な材料変更や、予期せぬタンク切れにおいて、このリプログラミング技術と洗浄液 3D Medsupoによる確実なリセット術を知っておくと、ダウンタイム(停止時間)を劇的に減らすことができます。

Form 4 の圧倒的な造形スピードを止めないためにも、正しいメンテナンス知識を武器に、柔軟な運用を行ってください。

まとめ

本日の作業のチェックリストです。

  • 再プログラミング前は、物理除去+洗浄液 3D Medsupo で「完全洗浄」を行いましたか?
  • エラー画面が出ても焦らず「無視」→「再割り当て」を選択できましたか?
  • 医療用・生体適合性レジンへの転用ではないことを確認しましたか?

技術相談・サンプルについて
「洗浄の程度がこれで合っているか不安」「エラー解除が怖い」という方は、弊社の実機を用いてレクチャーすることも可能です。また、確実な洗浄に欠かせない「洗浄液 3D Medsupo」のサンプルや詳細についても、お気軽にご相談ください。

出典:Reprogramming a resin tank (Form 4 and Form 4L generation)

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i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

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