Form 4 開発者インタビュー
小ロット量産とプロトタイピングの革新

「ほぼすべての造形物を2時間以内に3Dプリント」という新たなコンセプトで登場した光造形3DプリンターForm 4。デスクトップ型でありながら、超高速で高品質な造形が可能です。
この新機能により、これまで試作中心であった3Dプリンターのアプリケーションを“小ロット量産”へと拡大する可能性を秘めています。そんな“次世代”の3DプリンティングともいえるForm 4について、FormlabsのChief Product Officer(CPO最高製品責任者)David Lakatos氏と、Chief Revenue Officer(CRO最高収益責任者)のNick Graham氏にお話をうかがいました。
13万台以上3億点以上のパーツ実績が生み出す
次世代3Dプリンター
Formlabsは創業以来これまでForm2とForm 3と、光造形3Dプリンターの概念を超える、革新的なデスクトップ型3Dプリンターを開発してきました。複雑なパラメーター設定が不要なインターフェースや、造形をコントロールする自動化技術など、同社の3Dプリンターは、ものづくりにおけるワークフローを大きく進化させてきました
。滑らかさや高精細さといった造形品質はもちろんのこと、誰でもかんたんに使えて、失敗しない安定したプリントが実現できる3Dプリンターは、全世界13万台以上の導入実績と、3億点以上の3Dプリントを実現してきました。
超高速3Dプリントがもたらすもの
今回登場したForm 4は、これまでの高精細さや安定性に加え、新たに「高速性」も実現しています。
「Form 4の最大の特長は、超高速性です。ほとんどの3Dプリントが2時間で終了します。小さいものであればより短く、たとえば、歯の造形モデルは9分という記録的なスピードで造形が完了します」(David Lakatos氏)。
この新たなForm 4の特長である高速性はどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

プロトタイピングを超高速化し製品開発に
イノベーションを
従来、3Dプリンターはプロトタイピングの領域が中心でしたが、これまで1個のプロトタイプを作るにも数時間から数日の時間がかかっていました。しかしForm4を使えば、より高速でアイデアの検証が実現できます。
「早いということがどういうことかというと、プロトタイピング、試作が1日に何度も実現できるということです。例えば、2時間程度で造形が完了すればデザインの検証が1日になども検証ができます」(David Lakatos氏)。
プロトタイピングの高速化は、製品化に至るスピードをさらに高速化し、製品開発にイノベーションをもたらすことにつながります。
ランニングコストを40%削減
このプロトタイピングで見た場合、Form4はスピードに加えてもう一つのメリットをもたらしています。それがコストの削減です。
「プロトタイピングという側面を見た場合、Form4のもう一つのメリットがコストダウンです。例えば、グレイレジンやブラックレジンなどスタンダードレジンでは、40%以上のコストダウンを実現しました。何度も繰り返し使い続けることで、従来にはないランニングコストの削減が可能です」(David Lakatos氏)。

例えばForm 3で使用するスタンダードレジンは1リットル当たり、24,000円だが、Form 4では12,000円になります。またレジンタンクもForm 4では新たに改良され、レジンによる摩耗を防ぎ、純粋に積層回数のみで寿命が決まっています。
既に米国においては、製品開発の現場でForm 4が導入されており、試作開発の領域でも高い評価を得ているとのことだ。
「マイクロソフトからのフィードバックでは、試作品の3Dプリントの分野で高速化が実現できています。造形品質、強度UP、高速造形と、プロトタイピング全体のパフォーマンスで高い評価をいただいています」(David Lakatos氏)。
新たなアプリケーション。小ロット量産を実現する
Form 4の可能性はプロトタイピングの革新だけではありません。新たにこれまで3Dプリンターの利用が期待されてきた小ロット量産、マスカスタマイゼーションへの利用の可能性ももたらします。特に従来にはない高速性、量産性はForm 4の新たな特長の一つです。
「Form 4の高速性とランニングコストの削減は、量産の可能性を実現します。特にプロダクションの現場ではコストが非常に重要な指標でもあるからです」(David Lakatos氏)。

レジンの強度と耐久性も向上。射出成形に匹敵
小ロット量産への適合には、高速性とコスト以外にも3Dプリント自体の品質向上も欠かすことができません。
「射出成型と比べた場合、スピードとクオリティの部分で、かなり近いレベルまでForm 4で実現できるようになっています。ただすべての造形物やすべてのロットが射出成形に置き換えるわけではなく、特定のニーズに合う、小型パーツなどの領域で、小ロット量産をForm 4の3Dプリンターで実現できるかと思います」(David Lakatos氏)。
スタンダードレジンの強度と耐久性を大幅に強化
スタンダードレジンはグレイ、ブラック、ホワイト、クリアと4種類のラインナップがあります。これまでのバージョン4までは、強度の面で欠けやすく、最終品では使用が難しかったという経緯があります。今回スタンダードレジンもバージョンが5になることで、強度や耐久性が強化され、タフ2000やタフ1500、デュラブルなどと同じ、タフ系のグループに分類されています。
「スタンダードレジンは長期の信頼性や対候性など、今後もユーザーニーズに応じた改善はしなければなりませんが、従来のバージョンに比べて強度が大幅に強化されています。今後も材料開発では、さまざまなプロダクトラインをそろえてニーズにこたえることを考えています。」(David Lakatos氏)。


プロダクションレベルへの挑戦
Form 4の高速性と、レジンの品質向上は、日本でも更なるマーケット拡大をもたらすと、CRO最高収益責任者)のNick Graham氏も語っています。
「日本のものづくりにマッチさせるためには、品質が凄く重要だと考えています。またプロダクションレベルで使用する場合にはコストの意識も欠かすことができません。この二つの視点からもForm 4は、小ロット量産へのニーズにこたえられるものと考えています。ぜひ新しいアプリケーションとして、プロダクションレベル、小ロット量産や治具といった生産プロセスへの導入や最終品レベルへの拡大を目指していきたいです。」
Form 4開発のポイント秘話。ビッグデータ分析も活かす

今回のForm 4のインタビューでは、開発のポイントなども話を伺いました。特に、従来のForm 3とは違い、レーザー方式から、LCF方式をベースにしたLFS方式に変更したのがポイントです。開発に関する苦心した点や、造形スピード以外のポイントなどについてもDavid Lakatos氏が語ってくれました。
「精度や高精細などは、Form 3からある程度確立できていましたが、従来の課題であったスピードをいかに実現させるかがポイントでした。特に既存のテクノロジーを組み合わせて新しいものを作る際に、課題となるのが、多くのユーザーの声をくみ取りつつもどこでバランスをとることが難しかったです」。
Form 4は造形スピード以外に改良された部分として、ビルドプラットフォームのサイズと比率が大きく変更になりました。従来Form 3では145×145×185mmという正方形の形状でしたが、Form 4では、200 × 125 × 210 mmと長方形の比率に変更になり、造形サイズ全体では30%も拡大しています。
「高速性のつぎに大きな変更ポイントがビルドプラットフォームの大きさと比率です。この比率の変更にはユーザーからの膨大なフィードバックデータをビッグデータとして分析し、最も効率がよいサイズに変更を行いました。」(David Lakatos氏)。
確かにForm 4の造形サイズである200 × 125 × 210 mmの大きさは、大型の造形物を作る際にも斜めに角度をつけることが可能になり、面で積層していくLFD方式ではより高速で造形が可能となります。
小ロット量産とプロトタイピングの革新を目指す
Form4ではスタンダードレジンがForm4専用でバージョンアップされているが、それ以外の材料も今後改良がおこなわれる。「Form4ではプロダクションレベルに向けて、今後もユーザーニーズに合わせた改良、開発を行い市場を拡大していくことを考えています。また、新たな材料開発によってラインナップの強化も図っていきたいです」(David Lakatos氏)。
また今後のForm4の目指す市場についても語ってくれました。「100個、200個など、従来の3Dプリンターでは実現できなかった小ロットにForm4は最適な機種となるでしょう。また、プロトタイピングの領域においてもスピードが上がり、品質が向上しているのでイノベーションが加速できます。プロトタイピングの高速化と小ロット量産といった、この二つでのアプリケーションが広がれば、さらに生産性が向上し、競争力も向上するでしょう」(Nick Graham氏)。
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