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Formlabs製品ガイド

Form 4の異音「カチッ」は故障?プロが教える3つの診断と対処法

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2025.12.22 更新 2026.04.15 読了 約6分

Form 4の異音「カチッ」は故障?プロが教える3つの診断と対処法

Form 4を導入し、高速造形を運用し始めたユーザーからよくいただく相談の一つに、「造形スタート時や動作中に、本体から『カチッ、カチッ』という聞き慣れない音がする」というものがあります。

「もしかして初期不良?」「故障の前兆?」と不安になるかと思いますが、実はその異音、故障ではないケースが大半です。

今回は、私たちが現場で行っている「3つのチェックポイント(ソフトウェア・物理干渉・消耗品)」を公開します。これらを順にクリアすることで、ダウンタイムなしに安心して造形を継続できる状態に戻すことができます。

【準備編】異音の種類の聞き分けとメカニズム

解決策に移る前に、LFD(Low Force Display)技術におけるミキサーの役割を理解しておきましょう。ミキサーは、レジンタンクの底部にある「摩耗ストリップ(Wear Strip)」と物理的に接触しながら動作します。

まずは、その音が「安全な音」か「警告の音」かを聞き分けます。

音の種類 音の特徴 状態 対応
共鳴音 ブーン、ウーという低い振動音 正常 プレプリント(準備動作)中の仕様です。故障ではありません。
クリック音 カチッ、パチッという乾いた音 要確認 何かが引っかかっています。放置するとタンク破損のリスクがあります。

「カチッ」という音が聞こえた場合、ミキサーがスムーズに動いていないサインです。これから解説する手順に従って解消していきましょう。

【実践編】異音解消ステップ・バイ・ステップ

それでは、具体的な診断と解消手順を解説します。工具を使わない簡単な確認から順に進めてください。

Step 1
ソフトウェアとファームウェアの更新

まず最初に疑うべきは「制御プログラム」です。古いバージョンではモーター制御が最適化されておらず、動作音が大きくなるケースがあります。

  • 1.PC上でFormlabs専用ソフトウェア PreFormを起動します。
  • 2.上部メニューの「ヘルプ」または「ファイル」から「アップデートを確認」をクリックします。
  • 3.PreFormのバージョンが「3.46.1」以降であることを確認し、古い場合は更新します。
  • 4.PCとプリンターを接続した状態で「プリンター」メニューを開き、ファームウェアの更新ボタンが表示されている場合はクリックして実行します。
作業完了後、一度テスト動作を行い、音が消えたか確認してください。

Step 2
ミキサーの「浮き」と異物チェック

ソフトウェアが最新でも音がする場合は、物理的な取り付け状態を確認します。特にタンク交換直後は「片浮き」が発生しやすくなります。

  • 1.Form 4のカバーを開けます。
  • 2.ミキサーの両端が、レジンタンクのフレームにある溝(保持アーム)に「カチッ」と音がするまで確実に押し込まれているか確認します。
  • 3.一度ミキサーを取り外し、タンク内に硬化したレジンの破片やゴミが落ちていないか目視で確認します。
  • 4.異物がないことを確認し、再度ミキサーを水平に取り付けます。

Step 3
摩耗ストリップの清掃と点検

Step 1, 2でも解消しない場合、タンク底部のパーツ「摩耗ストリップ」を直接点検します。

  • 1.レジンタンク内のレジンを、フィルター(こし紙)を通してボトルまたは別容器に移します。
  • 2.タンクが空になったら、底面にあるプラスチックのレール(摩耗ストリップ)を露出させます。
  • 3.ストリップに「途中で折れ曲がっていないか」「タンクフィルムから浮き上がっていないか」といった症状がないか確認します。
  • 4.ミキサーの接触面に、硬化したレジンが付着していないか確認します。
Form 4 レジンタンク底部の摩耗ストリップ点検箇所
摩耗ストリップの折れや浮きを指差し確認します

清掃のアドバイス
汚れや微細な硬化レジンが付着している場合は、洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)を含ませたペーパータオルで丁寧に拭き取ってください。洗浄力が高く、固着しかけたレジンもスムーズに除去できるため、パーツを傷つけるリスクを低減できます。

【技術パート】失敗しないためのプロの「運用のコツ」

ここでは、トラブルを未然に防ぐための現場のノウハウを共有します。

よくある失敗
「少し音がするけれど、造形はできているから」と放置して使い続けるケースです。これは非常に危険です。引っかかりによって摩耗ストリップが破損し、鋭利なパーツがタンクフィルムを突き破ると、大量のレジンがプリンター内部(LEDパネルやセンサー類)に漏れ出し、修理不可能な重大事故につながります。

■ 成功のポイント

1. ミキサーは消耗品です

タンクが無事でも、ミキサーの足(接触部)だけが摩耗している場合があります。「タンクを交換する前に、まず予備のミキサーに変えてみる」のが、コストを抑える賢い運用です。

2. 清掃の徹底

メンテナンス時の清掃には、IPAではなく洗浄液 3D Medsupoの使用を推奨しています。揮発性と洗浄力のバランスが良く、拭き取り後の「白残り」や「ベタつき」を防げるため、再セットアップ後のミキサー動作が非常にスムーズになります。

【応用編】さらなる効率化へ

Form 4の最大の特徴である「従来の数倍の造形スピード」を維持するためには、LFDシステムの要であるミキサーの円滑な動作が不可欠です。

抵抗のないスムーズな撹拌は、高速剥離を安定させ、造形品質を向上させます。 私たちのラボでは、週に一度のメンテナンスとして、ミキサーとタンクの接触部を洗浄液 3D Medsupoで軽く拭き上げることを標準ワークフローとしています。この「Form 4 × 適切なケミカルメンテナンス」の組み合わせこそが、失敗のない高速造形を続けるための正解と言えます。

まとめ

本日のチェックリストです。異音が発生した際は、以下の順で対応してください。

  • 異音(カチッ音)がしたら、まずはFormlabs専用ソフトウェア PreFormとファームウェアを最新にする。
  • ミキサーの取り付け(浮きがないか)と、タンク内の異物除去を行う。
  • 摩耗ストリップが破損している場合は直ちにタンクを交換し、汚れの場合は洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)で清掃する。

ご自身での判断が難しい場合や、対策を行っても異音が消えない場合は、動画を撮影していただき、以下のフォームよりご相談ください。弊社の技術スタッフが音を聞き分け、適切なアドバイスをさせていただきます。

出典:Mixer clicking (Form 4 generation)

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i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

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