1台で3つの機能を持つオールインワン試作機
現代では、多くの人が欲しいと望む製品であれば、10年前に比べてはるかに具現化しやすい状況が整っている。試作品の開発も従来に比べればはるかに低コストで行うことも可能だし、量産化にむけた資金調達ではクラウドファンディングという手法がある。とりわけ海外のスタートアップ企業は、製品企画と試作品開発を自分たちで行い、資金調達と量産をクラウドファンディングで調達し事業化するケースが主流だ。
キックスターターやIndiegogoなどを使えば、100万ドル約、1億円以上もの資金を調達することもできる。こうして生まれた3Dプリンターメーカーも少なくない。低価格な光造形3Dプリンターで一躍注目を集めたFormlabs社のForm2がなどは圧倒的人気を誇っている。 超小型な3DプリンターM3Dは、340万ドルを調達している。
多くの人に価値を与えるものであれば、資金調達も容易になってきている。そんな中、新たにわずか10日間で目標金額の10倍、100万ドル(約1億円)以上もの資金調達に成功した新たな3Dプリンターが登場した。本日は、低価格なオールインワン試作機FLUXをご紹介。
499ドルで初心者でも使いこなせる徹底した製品設計
FLUXというこの3Dプリンターは、一言でいうと、3Dプリンターと3Dスキャナー、レーザー彫刻が1台でできるオールインワイン試作機だ。しかも驚くほど低価格でこの3機能を実現しているという点にある。価格は何と驚きの499ドルから699ドルという安さ。日本円にして1台6万円から8万円程度という安さだ。
しかも組みたて簡単で3Dプリンターの性能もこれまでの低価格3Dプリンターを超える精度を出している。その最大の特長、製品コンセプトは徹底したユーザーフレンドリーにあると言えるだろう。3Dプリンター、3Dスキャナー、レーザー彫刻、そしてソフトウェア、すべての面において、初心者でも使買いこなせるような徹底した製品設計になっている。それではその機能を順を追ってご紹介しよう。
FLUX動画
3Dプリンターの性能:高解像と交換可能な押出機
3Dプリンターとしての性能は低価格モデルとしてはかなり高い方で、0.02mmのXY解像度を誇っている。プリントスピードも100mm/秒と高速で、PLA樹脂のフィラメントに対応している。FDMの押出しノズルには、高解像度のステッピングモーターを使用し、加熱による誤動作の危険性を最小限に抑えるための冷却ファンも取り付けてある。この押出機によって、低価格でも高解像度な造形モデルを作ることが可能になるのだ。
また、この押出機は取り替え可能で、現在開発中のその他の押出機に交換することでさまざまな素材を使用することが可能だ。開発中のノズルは、二色グラデーションを可能にするデュアルヘッド押出機と、セラミックス押出機。チョコやジャム対応のペストリー押出機だ。
3Dスキャナーの性能:MakerBotのDigitizerとほぼ同性能
このFLUXのもう一つの特長が簡単に3Dスキャナーに変換することができる点だ。使い方は非常に簡単で、底部のトレイを取り外し、スキャニング用の3Dカメラを引き上げるだけ。そこにスキャンしたい物を置けば、360度回転してスキャンしてくれるというもの。スキャニングの時間は10分から15分程度で、これはMakerBotが販売している小型3DスキャンDigitizerの12分とほぼ同等だ。スキャンサイズは直径5.5インチ(13.97センチ)、高さ3.3インチ(8.3センチ)とMakerBotの機種の8インチ×8インチよりも若干小さめ。MakerBotのDigitizerが799ドルからすると、ほぼ遜色ないといってもいいだろう。
レーザー彫刻の性能:紙から木材まで7種の素材に対応
第三の機能がレーザー彫刻の機能だ。レーザー彫刻の機能を発揮するのは、押出機をレーザーヘッドに交換することで可能になる。対応サイズは直径15cmまで対応可能で、200mWのパワーがある。ファイルはJPG、PNG、DXF、PDF、AIとほぼすべての主流なグラフィックデータには対応している。使える素材は、カッティングとしては、紙、金属箔、カーボネート2.0mm、フォームラバー3mm、発砲スチロール5mm、革1mmが対応可能だ。彫刻では、上記の素材に加え木材が可能。金属はどちらも対応していない。
操作が簡単な対応ソフトウェアアプリの開発
このFLUXはソフトウェアの面でも徹底してユーザーフレンドリーにこだわっている。タブレットやスマートフォンでも使用できるような、3Dモデリングの初心者でも迷わず使いこなせる非常に直観的に操作できるソフトウェアアプリケーションを開発している。
FLUXスペック
- プリンターサイズ:305mm×265mm×550mm
- 重量:5.4kg
- 電圧:100-240V
- 対応:USB/SD Card/Bluetoot4.0
- OS:MacOSX/ Windows/ LINUX
3Dプリンタースペック
- ワークエリア:17cm×18cm
- 最大移動速度:200mm/秒
- 最大プリントスピード:100mm/秒
- XY解像度:0.02mm
- レイヤー高さ:0.05mm-0.3mm
- ノズルサイズ:0.4mm
- ファイルフィーマット:STL/OBJ
- フィラメントサイズ:1.75mm
- 素材:PLA樹脂・その他開発中
3Dスキャナースペック
- 対応サイズ:14cm×8.5cm
- 最大パワー:5mW
- 波長:650nm
- Point Accurancy:2-3mm
- Triangles/モデル:60k-100k
- ファイルフォーマット:STL/PCD/XYZ
- センサー:1.3M PIXELS CMOS
レーザーカッタースペック
- 稼働エリア:直径15cm
- 最大パワー:200nW
- 波長:405nm InGaN
- ファイルフォーマット:JPG/PNG/DXF/PDF/AI
- 対応素材(カット):紙、金属箔、カーボネート2.0mm、ラバー3mm、発砲スチロール5mm、革1mm
- 対応素材(彫刻):紙、金属箔、カーボネート、ラバー、発砲スチロール、革、木材
まとめ 続々と登場するメイカーズ向けの低価格機種
このFLUXは既に499ドルのモデルは完売となっており、679ドルのモデルも完売している。出荷自体は2015年の7月予定で、その目的はより多くの人々に3Dプリンターの世界をもたらすことで、今回の資金調達では射出成形による大量生産モデルを可能にする。このFLUXは台湾出身の非常に若いエンジニアたちで構成されるベンチャーだが、3Dプリンターの特許切れによって、この技術を使った若くて優秀な起業家が続々と排出し始めている。低価格な3Dプリンターの競争はますます激化しそうだ。
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