炭素繊維の3Dプリント材料
3Dプリンター用材料の研究開発は、最も注目を集める分野だ。
材料の拡大と、3Dデータによる設計によって、これまで全く作ることができなかった製品が可能になるかもしれない。
そのため、今や3Dプリント技術と材料技術の研究は一体といってもいい。 目下、素材の研究は材料メーカーだけではなく、3Dプリンターメーカーや、3Dプリントサービスなど3Dプリント製造に関する企業も目下取り組んでいる状況。
その中でもとりわけ注目を集めているのが次世代素材として期待されている炭素繊維だ。炭素繊維は、鉄の4分の1の重さで、強度が10倍あることから、さまざまな分野での利用が行われている状況にある。
炭素繊維は我が国の東レ社を筆頭に世界シェアは日本が圧倒的な状況だが、海外企業でも3Dプリント材料として利用しようという試みが登場しつつある。 本日は炭素繊維を含有した強化プラスチックの3Dプリント事例をご紹介。
3Dプリント炭素繊維強化材で10%重量削減に成功
この炭素繊維強化プラスチックを3Dプリントする試みを行ったのは、炭素繊維強化材の3Dプリント用材料メーカーのGraphite Additive Manufacturingと、ラジコンメーカーのシューマッハレーシングカーだ。
既存のラジコンのボディは射出成型によるプラスチックで作られているが、全てのプラスチック部分、すなわちボディやパーツ類は炭素繊維強化プラスチックに置き換えている。製造にあたっては、レーザー焼結法の3Dプリンターが利用された。
このプロジェクトを率いたのは、Graphite社のマネージングディレクター、ケビンランボーンで、レッドブル・レーシングにおいて7年間イギリス最大と言われるラピッドプロトタイピング部門を管理し、従事してきた経験がある。
言うまでもなくレーシング分野における試作開発は最先端技術が結集される。ちなみに、この炭素繊維強化プラスチックの3Dプリント製造によって、全体の重量を10%削減することに成功した。
一般的な射出成型によるプラスチックのラジコンボディ
炭素繊維強化プラスチックによって3Dプリントされたラジコンボディ 重量を10%軽減
炭素繊維の3Dプリントに挑むGraphite Additive Manufacturing
今回のプロジェクトで中心的な役割を果たしたGraphite Additive Manufacturing社は、レーザー焼結で生成する高精度な炭素繊維強化プラスチックを開発している。
主なサービスは名前が示す通り、3Dプリント用の特殊材料の製造販売、CAD、3Dプリント、3Dスキャンなどだ。手掛ける素材は、炭素繊維強化プラスチック以外にセラミック、ゴム状など。
炭素繊維強化プラスチックでプリントされたiPhoneケース
Graphite Additive Manufacturing社の炭素繊維強化プラスチック
まとめ
炭素繊維は既にゴルフのシャフトや釣竿などスポーツ用品で利用されていたり、航空機や一部の自動車での利用が行われているが、これからますます使用が拡大することが期待されている。特に自動車分野での利用や風力発電、建築部材など我々の身の回りのあらゆるものへの使用が広がりそうだ。
こうした利用範囲の拡大は、既存の量産品以外に、個別のカスタマイズに対応した3Dプリンターでも利用ができるようになれば更なる拡大が見込まれるだろう。
炭素繊維は、何と言っても東レ社を代表するように日本が圧倒的な世界シェアを誇っている。日本の3Dプリント技術が向上し、炭素繊維での利用も日本が中心となって進められれば更なる市場拡大が見込まれる可能性を秘めている。
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