低価格3Dプリンターで金属プリントが可能に、ブロンズのフィラメント登場

低価格のFDM3Dプリンターで使える金属材料

金属材料の3Dプリンターは、主に工業用パーツなどの製造に使用されることから、一般的に流通していない状況だ。

その製法も金属粉末からレーザー焼結させる方法であることから、一般の人が手軽に使用できるものではない。

また、一般に広く広まる3DプリンターもABSPLAによるFDM方式が通常で、金属を使用して印刷することはできなかった。

そんな中、オランダの3Dプリント用フィラメントのメーカーが、一般的なFDM3Dプリンターで使用できる金属材料を発表した。本日は特殊なフィラメントを提供するオランダのメーカーColorFabbと、新たにリリースされたブロンズ素材をご紹介。

研磨することでFDMの積層を消し、光沢が出せる

ColorFabbが今回リリースした金属性のフィラメントはブロンズ製のフィラメント「bronzeFill」だ。

ブロンズと言えば青銅だが、スズと銅を配合した金属で、10円硬貨や、オリンピックなどの銅メダルに使用される素材。

なんと今回発表されたフィラメントはこの青銅粉末が80%も配合された特殊フィラメントで、一般的なPLA樹脂よりも4倍も重い重量になる。

「bronzeFill」の最大の特長だが、FDM3Dプリンターで生成した後、研磨することでより金属の輝きを出すことができる点にある。

通常一般的なFDMタイプの3Dプリンターは樹脂を溶かして積み重ねることから、積層の段が残ってしまうことがデメリットの一つとして挙げられる。

しかしこの「bronzeFill」では、生成後、サンドペーパーやグリッドペーパーで研磨することで、金属さながらの美しい輝きを表現できるという。ちなみに値段はちょっと高めで49.95ユーロ約7,000円ほど。

青銅粉末が80%含有されたフィラメント「bronzeFill」

そのままでもマット仕上げの銅の質感が楽しめる

研磨することで金属の光沢を出せる

画像出典:ColorFabb

アクセサリーやジュエリーの創作に最適

青銅は金属材料の中でも最も歴史が古い金属のうちの一つだ。

鉄器時代になる以前の青銅器時代は全盛を誇り、研磨や鋳造加工、圧延加工などに適していることから、かつては剣や壺などの材料として使用されていた歴史がある。

工具類では製鉄技術から鉄に譲り、装飾具では金、銀などにその地位を譲ってきたが、今ではジュエリーやアクセサリー、工芸品などでも幅広く使用されていることから、多くの需要に応えることができるのではないだろうか。

これまで金属類のアクセサリーやジュエリーなどを3Dプリンターで製造する場合は、Shapewaysなどの3Dプリントサービスで金属プリントを利用するしか方法が無かったが、この「bronzeFill」を使うことで、一般的な低価格のデスクトップ3Dプリンターでも製作が可能だ。

また、研磨することで、積層の粗をけし、光沢を出せるという特長からも、低価格でも十分担保できる性能を出せるかもしれない。

まとめ

3Dプリンターの材料開発は、3Dプリント産業の中に置いても最も多くの可能性を秘めている分野だ。

素材はまさに世界を変えるほどの力があると言ってもいい。今回のColorFabbが発表した「bronzeFill」なども、今まで手軽に利用することができなかったブロンズの3Dプリントを広く普及させることになる。

レーザー焼結製法の特許が切れたとはいえ、FDM製法の3Dプリンターと同じように、安価な廉価版が流通することは流通することは難しい。

というのも、レーザー技術の取り扱いレーザー機器取扱の資格が必要だからだ。そのため、今回の「bronzeFill」のように特に資格を持たない一般の人々が手軽に利用できる材料は多くの可能性を拡大してくれる。

ColorFabbは他にも木材をフィラメント化したものや、蛍光の光沢のフィラメントなどもリリースしている。

また他社では炭素繊維の3Dプリントの研究なども行っており、こうした3Dプリンターで利用できる材料が拡大すれば、更なる商品開発とデザインの幅が広がることになるだろう。

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