歯科矯正の最前線から見る
3Dプリンター洗浄の課題と革新
― 白金高輪矯正歯科・間所睦先生インタビュー

歯科業界でも進むデジタル化。その中心にあるのが、3Dプリンターの活用です。
患者一人ひとりに合わせたオーダーメイドの装置やサージカルガイドを、短時間で作成できるこの技術は、診療の質・スピード・精度を大きく向上させてきました。
しかしその裏側には、「洗浄」や「安全性」に関する見落とされがちな課題が存在しています。特に、一般的に使われる洗浄液IPA(イソプロピルアルコール)は、その扱いに厳しい規制とリスクを伴います。
今回は、矯正歯科の現場でデジタル技術を先進的に取り入れ、さらに「安全な3Dプリント」に取り組む白金高輪矯正歯科の院長・間所 睦先生に、現場のリアルな声を伺いました。
デジタルで変わる歯科診療と3Dプリンターの役割




間所先生の医院では、3Dスキャナで取得した歯列データを活用し、模型や装置、仮歯、サージカルガイドなど、様々な治療用ツールを3Dプリントで製作しています。
「最近のデジタル化により、精密な診断や治療が可能となってきました。しかしそれらは、あくまでバーチャル上での話ですので、リアル、つまり実際の臨床に落とし込む必要があります」。
「そこで役に立つのが3Dプリンターです。デジタルで設計したものを実際に出力することでより理解が深まり、デジタル上で見落とされやすいエラーやずれを見つけることができます」。
「デジタルがどれだけ進んでも、実体化された造形物には敵わないというのが私の考えです(笑)」 。

造形だけでは語れない、洗浄と安全性の重要性
一方で、間所先生が強く問題視しているのが造形後の「洗浄工程」です。
光造形3Dプリンターで使われるレジン(光硬化性樹脂)は、造形後にしっかり洗浄・二次硬化を行わないと、人体に影響を与える残留物が表面に残ってしまいます。
一般的には洗浄液としてIPA(イソプロピルアルコール)が使われますが、その取り扱いには厳しい労働安全基準が定められています。
「IPAを使うと、有機溶剤中毒予防規則の対象になります。年2回の健康診断や、国家資格者による環境測定が必要です。しかも、レジンを含んだIPAは産業廃棄物として処理しないといけない」。 現場では、多くの人がそのリスクを十分に理解しないまま使用していると指摘します。

見過ごされがちな「残留レジン」問題と、そのリスクとは?

デジタル化が進む一方で、課題となっているのが、レジンの「残留」による安全性の問題です。
「口腔内に直接装着するマウスピースを直接プリントする「ダイレクトプリント」が世界的に注目されていますが、正しく処理されていないレジン製品にはアレルギーや炎症のリスクがあります」。
新たな「安全基準の必要性」と、未来への提言
間所先生は現在、大学と連携して「安全なレジン素材」の開発や、「適切な洗浄・重合手順の研究」にも取り組んでいます。
「私の研究結果では正しい手順で、一個一個の手順を確実にしっかりやればすごく安全性が高いということがわかりました」。
「例えば、重合時間が長すぎても短すぎてもダメ。温度や室温、機械の状態次第で残留量が大きく変わります。また洗浄液の状態なども影響を与えます」。
さらに、洗浄作業時の手袋選びも重要だと指摘します。
「あまり知られていませんが、モノマーを扱う際には、対ケミカル用のちゃんとしたグローブが必要になります。ニトリル手袋でもIPAは3分で浸透してしまいします。ラテックスだと30秒程度、より安全性の高い洗浄液が必要だし、しっかりした環境を作る意識が必要です」。 3Dプリントは便利で可能性に満ちた技術ですが、それと同時に「安全性への責任」も強く求められています。

3DMedSupoがもたらす、洗浄工程の革新

こうした課題に対する新しい解決策として注目されているのが、非有機溶剤系洗浄液「3DMedSupo(スリーディーメドサポ)」です。
「3DMedSupoはIPAと同等の洗浄力がありながら、非有機溶剤なのでIPAよりも安心です。健康診断も環境測定もいらない。しかも、廃液の回収がセットな点も便利です」。
実際に間所先生は、IPAの代替として3DMedSupoを導入。自身の医院だけでなく、他院への普及も推進しています。
手軽さだけでなく、安全面や管理のしやすさが、現場の信頼を得ている理由です。
まとめ ― 安全で持続可能な3Dプリントの未来へ
医療や製造業における3Dプリンティングの利便性は、今後ますます広がっていくでしょう。しかし、その一方で「洗浄」や「素材の安全性」についての理解や対応が追いついていない現実もあります。
間所先生のように、現場から安全性を問い直し、代替ソリューションである3DMedSupoのような製品を活用することで、「安心して活用できる3Dプリント」が現実のものとなっていきます。
「デジタルが進めば進むほど、新しい安全工程の確立が必要だと実感しています。安全性をしっかり担保しないと、患者さんにとっても、現場のスタッフにとってもリスクになります。だからこそ、正しい洗浄工程と洗浄液の普及はより推し進めていきたいですね」。


環境にやさしい洗浄液とお手軽洗浄サービス(オプション)
樹脂製品の洗浄に使用される洗浄液は、環境に配慮されたものや効率的な洗浄が行えるものが用意されています。また、お手軽な洗浄サービスも利用可能です。



