SOL PRO 3Dスキャナーの特長とは?
3Dスキャナーにはさまざまな種類が登場していますが、SOL PRO 3Dスキャナーはデスクトップ型でありながらフルカラーで3Dスキャンが可能で、スキャンするオブジェクトによっては比較的精度を出すことができる3Dスキャナーです。
そこで今回はSOL PRO 3Dスキャナーの特長や概要、できることなど、そのすべての機能や用途についてご紹介します。1台のデスクトップ型3Dスキャナーを使えば、驚くほど用途が広がります。
SOL PRO 3Dスキャナーでできることとは?
まずはSOL PRO 3Dスキャナーでできることをご紹介します。SOL PRO 3Dスキャナーはデスクトップ型の3Dスキャナーですが、1台でさまざまなスキャンを行うことができます。
3つのスキャンモード
SOL PRO 3Dスキャナーは3種類のスキャンモードを搭載しています。通常の100ミクロンのスキャンモード以外に、50ミクロンの高精度スキャンが可能な高精度モード、また高速でスキャンできるターボモードがあります。
選択するスキャンモードによってスキャン解像度とスキャンスピードが異なります。
対象物に合わせたスキャンサイズ
SOL PRO 3Dスキャナーはヘッドの位置が近距離と遠距離の2つに動かすことができます。10センチ以下の小さいオブジェクトは近距離モードで、10センチ以上17センチまでの大きさは遠距離モードで3Dスキャンが可能です。遠距離、近距離でそれぞれ通常、ターボ、高精度の3種類が使用できます。
暗い対象物をスキャンするモード
SOL PRO 3Dスキャナーは表面が暗めのオブジェクトもスキャンすることができます。ダークモードを使用すれば、対象物のテクスチャをリアルに再現することが可能です。
不安定な対象物をスキャンするモード
SOL PRO 3Dスキャナーでは立てることが不安定なオブジェクトもスキャンすることができます。不安定な対象物のモードではスキャンごとにターンテーブルが停止し、オブジェクトの位置などをチェックすることが可能です。
複数方向スキャンとマージ
SOL PRO 3Dスキャナーは1方向から最大5方向までスキャンすることができます。また自動でマージ機能もあります。ただしマージ機能を使いこなすにはコツがあるため、複数方向をスキャンし、サードパーティー製のフリーソフトや有償ソフトなどを使いマージする法が簡単です。
SOL PRO 3Dスキャンの得意なもの
SOL PRO 3Dスキャナーはいろいろなオブジェクトのスキャンに適しています。特長の一つがフルカラーのテクスチャーがきれいにスキャンできるため、カラフルな物体などが得意です。また暗めの物体も比較的綺麗にスキャンできます。さらにワンショットでのスキャンが得意なため、ボトル上のものなども得意です。
カラフルなモノ
ボトル状のもの
ワンショットで撮れるもの
食品
自然なもの
など
SOL PRO 3Dスキャナーでスキャンしたデータは何に使えるの?
SOL PRO 3Dスキャナーはほぼワンクリックで3Dスキャンが可能です。3Dスキャンしたデータも使い方によってさまざまな用途に使用ができ、データの編集なども容易です。
データ形式
SOL PRO 3Dスキャナーでスキャンしたデータは3つのデータに分かれています。形状のメッシュデータであるOBJ形式、表面のテクスチャであるPNG形式、またその2つをつなぐmtl形式です。基本的にこの3点を合わせて一つのスキャンデータですが3Dプリントなどで使用できるSTL形式にも変換できます。
データサイズ
SOL PROでスキャンした3Dデータのサイズは数十メガから1ギガ近くの容量に達します。高精細になればなるほど、また物体のサイズが大きければ大きいほどスキャンデータの容量は大きくなります。また多方向からスキャンしたデータをマージした場合にもメッシュの網の目が多くなりデータサイズが大きくなります。
データの軽量化
3Dスキャンデータは数十メガから1ギガ近くの大きさだとデータ自体として転用が難しいです。特に3DCGとして使用したりARやVRで展開する場合には1メガ以下の容量まで軽量化しなければなりません。SOL PROのビューアーソフトでは10分の1にサイズを縮小できます。またMeshLabなどのフリーソフトを使用すれば表面解像度をたもったままより軽量化が可能です。
データの編集 マージ、形状変更、色の補正
SOL PROでスキャンされた3Dデータはさらにデータの編集が可能です。フリーソフトであるMeshLabや有償ソフトであるFreeform、Artechstudioなどと組み合わせることで、形状の編集や複数方向のマージ、色の補正や編集なども思いのままに可能です。
SOL PRO 3Dスキャナーの多彩な用途
SOL PRO 3Dスキャナーでスキャンしたデータはさまざまな用途に使用することが可能です。ここではその代表的な使い方や事例についてもご紹介します。
ラピッドプロトタイピング
SOL PRO 3Dスキャナーでスキャンしたデータはすぐに3Dプリンターで出力が可能です。特に大まかな形状などをスキャンしてSTLデータとしてプリンターに送れば試作が1日で実現します。ラピッドプロトタイピング(高速試作)にはとても適しています。
精度検証
SOL PRO 3Dスキャナーでスキャンしたデータは形状によっては精度検証にも使うことができます。精度検証の競合比較記事でもご紹介しましたがSOL PROはデスクトップタイプの3Dスキャナーの中では高い精度を誇ります(サンプルでは最小0.1mm~0.2mm程度)。試作した形状をスキャニングして実際のデータとの照合などにも利用ができます。
リバースエンジニアリング
SOL PRO 3Dスキャナーでスキャンしたデータは形状や編集方法によってはリバースエンジニアリングに使用もできます。各パーツごとに3Dスキャンを行い3Dプリントすることで製品開発にも利用ができます。
フルカラー3Dプリント
SOL PRO 3Dスキャナーの最大の特長がフルカラーでの3Dデータのスキャンです。OBJ形式でテクスチャが付いた形式でスキャンできるため、そのままフルカラー3Dプリンターで出力が可能です。ストラタシスのPolyJet方式の3DプリンターJシリーズや、ミマキエンジニアリングのフルカラー3Dプリンター、XYZ3DプリンティングのフルカラーFDM 3Dプリンターなど幅広い機種で利用ができます。
VR/ARでの展開
SOL PRO 3DスキャナーでスキャンしたフルカラーデータはARやVRといったバーチャル上でもそのまま展開が可能です。MeshLabでデータを軽量化すれば、表面の解像度は変えずに容量を小さくできます。キロバイトレベルまで軽量化ができるのでVRやARの展開に最適です。
SOL PRO 3Dスキャナーの拡張性
SOL PRO 3Dスキャナーではスキャンした後、さまざまな有償無償のソフトウェアと組み合わせることで拡張性が広がります。ここでは各ソフトウェア別のできることをご紹介します。
MeshLab:データ軽量化&3点マージ
MeshLabはフリーの3Dデータ編集ソフトです。無料でインストール可能で、データ編集もさまざまな機能が搭載しています。SOL PROでスキャンした後は、データの軽量化だけではなく3点マージなどデータの正確性のUPにも利用できます。
Phtoshop:カラーテクスチャ編集
SOL PROではスキャンしたカラーのテクスチャはPNG形式で保存されます。このPNG画像をPhotoshopで開けばカラーの色情報を変えたり、他のロゴデータなどを張り付けたりできます。同名のファイル名で保存して3Dで開けば3Dデータそのものを変更できます。Photoshopは月額2,728円から利用可能です。
AdobeAero:無料でAR展開
AdobeAeroはAdobeが提供するARを展開するための無料ソフトです。SOL PROでスキャンしたデータを.dae形式に変更してAdobeAeroで取り込むことでARで簡単に展開が可能です。
Freeform:カラー&形状を直感的にデザインできる
Freeformは3Dsystemsが提供する3Dデータ変種ソフトです。ペン型タイプのデバイスを使い、3Dの表面を直感的に操作して編集できるのが最大の特長です。初期導入で70万円以上の費用がかかりますが、カラーだけではなくスキャンデータの形状なども自在に変更できます。
Aetechstudio:マージ機能&形状編集が簡単
Artechstudioは、3DスキャナーメーカーのArtechが提供する有償の3Dスキャンソフトです。ですがAetech以外のスキャンデータも使用可能で、SOL PROのスキャンデータも編集できます。3点マージ機能や形状の編集などが簡単です。
SOL PRO 3Dスキャナーと他のデスクトップ3Dスキャナーとの違い
SOL PRO 3Dスキャナーは他のデスクトップタイプの3Dスキャナーとどのような点が異なるのでしょうか?SOL PROの最大の特長は精度とカラー表現です。この2点での比較検証を行いました。
SOL PRO 3Dスキャナーの精度とは? 競合他社比較
SOL PRO 3Dスキャナーはデスクトップの3Dスキャナーでありながら、高い精度を持っています。高精度モードでは50ミクロンのスキャン精度で、実測値でも±0.02mm~0.2mmの誤差範囲でスキャンが可能です(スキャンする形状などによって異なる)。他のデスクトップタイプの3Dスキャナーとの比較でも詳しくデータを公開しています。
SOL PRO 3Dスキャナーのカラーのレベルとは? 競合他社比較
SOL PRO 3Dスキャナーの最大の特長の一つがきれいなカラーキャプチャーです。フルカラーのテクスチャだけではなくパッケージなどの文字情報も正確にキャプチャーします。また黒などの暗めのカラーも比較的綺麗に3Dスキャンが可能です。こちらも他のデスクトップ3Dスキャナーとの比較データを公開しています。
まとめ
SOL PRO 3Dスキャナーの特長や概要をご紹介してまいりましたが、SOL PRO単体だけではなく他のソリューションなどとも組み合わせることで、できることや用途が驚くほど広がります。テストスキャンやデモなどをご希望の場合にはぜひお問合せください。
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