SLS(レーザー焼結)Fuse1 3Dプリンターの特長と概要

Fuse 1のSLSレーザー焼結法とは?

Fuse 1の核となる造形技術はSLS、レーザー焼結法といわれる技術です。英語では“Selective Laser Sintering”といわれ、その頭文字をとってSLSといわれています。日本語にすると「選択的レーザー焼結」という難しい表現になりますが、原理としてはシンプルです。

パウダー状の材料にレーザービームを照射して1層ずつ積層していく技術です。金属3Dプリンターでもおなじみの造形技術で、材料はFuse 1の材料であるナイロンのほか、金属やセラミックなど幅広い材料に対応しています。

特長としては、材料が低コストでかつ高強度、高精度の造形ができる点です。こうした特長から、ラピッドプロトタイピングやカスタム製造、小ロット生産に最適な3Dプリント技術です。

もともとアメリカで開発された技術で、3Dsystems社のProxシリーズや、ドイツのEOSなどが著名です。2014年に特許が失効し低価格化がすすみ始めています。Fuse 1は従来2,000万円以上もするレーザー焼結法を高品質を保ったまま低価格化に成功した革新的な3Dプリンターといえるでしょう。

これによって、従来一部の企業しか利用することが出来なかったSLS 3Dプリントが多くの企業で利用することができます。

SLS レーザー焼結法の仕組みと流れ

それではSLSレーザー焼結法の仕組みについてご紹介しましょう。基本的にはFuse 1も他のSLSレーザー焼結のメーカーも原理は同じです。

3Dプリントの工程とは

SLSレーザー焼結法の工程は主に3Dプリント、冷却、後処理の3工程に分かれています。

3Dプリント

まずビルドチャンバー内でのプリント工程が行われます。

ビルドチャンバー内を加熱

まず、造形物が作られる部分、ビルドチャンバーといわれる部分に材料であるパウダーを敷き詰めます。ビルドチャンバー内は高温で加熱されレーザービームが照射された際に、しっかりと固まる状態になります。Fuse 1では200℃近くまで温度が上昇し、スライスデータに則ってレーザービームが照射されます。

スライスデータに則ってレーザーで焼結

原料の融点まで粉末が加熱され、これにより粒子が機械的に融合して一つの固体になります。

サポート材が不要

レーザーがあたっていない部分はサポート材として造形モデルを支えます。この粉末で盛っていくという作り方がレーザー焼結ならではで、一般的なサポート材が不要な理由でもあります。

プラットフォームは、通常50~200ミクロンの積層ピッチでビルドチャンバー内を1層ずつ下がっていき完成するまで各層ごとに上記のプロセスを繰り返します。

冷却

レーザー焼結法は、焼き固めて造形物ができた後もすぐに取り出すことはできません。機械的特性を安定させるために十分な冷却時間が必要です。特に機械的特性を保ったまま、反りなどの形状変化を抑えるために少しずつ冷却する必要があります。

十分な冷却時間が反りを抑える

その時間はおよそプリント時間の半分ほどの時間が必要になります。冷却時間は主に二つに分かれており、第一が、3Dプリンターのチャンバー内での冷却時間です。この時間がプリント時間の半分ほどを占めており、第二がチャンバー内から取り出した後の冷却時間です。この十分な冷却時間をもうけることでより精度の高い造形が可能です。

後処理

レーザー焼結法での後処理は主に二つの工程に分かれています。第一が造形物にこびりついている余分なパウダーの除去です。第二が余ったパウダーの再利用です。

余分なパウダーの除去

SLSレーザー焼結法で作られた造形モデルは周囲にパウダーが多数ついている状態です。粉末状の材料は容易に空間中に飛散してしまうため、Fuse Siftのような専用の後処理機が必要です。この後処理機が無いと、空間中のさまざまな部分に粉が入り込んでしまいます。

Fuse SiftはFuse 1のビルドチャンバーをそのまま装填可能で、バキュームや余分なパウダーを吸引してくれる“ふるい”などが機能としてついているため、後処理が各段に楽になります。

材料のリサイクル

レーザー焼結法では、造形物以外のチャンバー内のパウダーは全てそのままだと使用ができません。一度ビルドチャンバー内で加熱されたパウダーは再利用する工程を行う必要があります。Fuse Siftではこのパウダーの再利用を自動設定で行ってくれます。

Fuse Siftでは余分な使用済みパウダーをふるいでろ過し、新しい粉末と混合することで、30%の材料リフレッシュレートを実現しました。これにより最大70%のリサイクル粉末で無期限に印刷できることを意味します。

SLSレーザー焼結法の種類

SLSレーザー焼結法は、材料の種類や価格帯、レーザーの種類、造形物の大きさなどによって異なっています。基本的には従来からのレーザー焼結法の3Dプリンターは高価格帯に属し、大企業や3Dプリントサービスビューローなどでしか利用が行われてきませんでした。

従来の産業用SLSレーザー焼結3Dプリンター

特に従来の産業用SLSレーザー焼結3Dプリンターは、単一もしくは複数の高出力レーザーを使用しています。粉末の酸化や劣化を防ぐために、窒素ガスの不活性環境を作り出すため、専用の空気処理設備が必要になります。

さらに防塵、防爆対策のために特別な空調設備と産業用電力が必要で、小型のレーザー焼結3Dプリンターでも10m²以上の専用スペースが必要になります。そのため初期導入コストも3Dプリンター本体に加え周辺の環境設備の工事などが必要となり、2,000万円以上のコストがかかります。

Fuse 1。業界初のベンチトップ型SLSレーザー焼結3Dプリンター

Fuse 1は業界初ともいえるベンチトップ型のSLSレーザー焼結3Dプリンターになります。従来の産業用SLSレーザー焼結法とは違い、専用の設備も複雑な導入ソリューションも必要ありません。

3Dプリンター本体と後処理機であるFuse Siftがあればすぐに高強度&高精度のレーザー焼結法を開始することが可能です。ここではFuse 1ならではの特長をご紹介しましょう。

Fuse 1が大型設備が不要のわけ

Fuse 1は、従来の産業用SLSレーザー焼結3Dプリンターとは違い、大型の設備が必要ありません。その理由の一つが窒素ガスを使用しない技術です。

従来の産業用SLSレーザー焼結3Dプリンターは、材料の酸化による劣化を防止するために窒素ガスを使用していましたがFuse 1は独自の材料開発によって単一のレーザ―による加熱が少なくて済む小型の造形チャンバーを実現しました。

これにより不活性ガスや特殊な空気処理装置は不要で防塵や防爆対策などを施さなくても安全性の高いシステムを実現しました。

この技術は材料開発と連動しており、プリント時に部品周辺を均一に加熱し、美しい表面仕上げを実現する半焼結シェルであるSurface Armorという特許出願中のソリューションを実現しました。これにより表面仕上げ、安定した機械的特性、高い信頼性、高いリフレッシュレートを可能にします。

Fuse Siftで後処理・材料再利用を効率化

Fuse 1は造形後の後処理機であるFuse Siftと連動することで、造形後の後処理を飛躍的に効率化することに成功しています。Fuse 1で造形物が作られるビルドチャンバーをそのままFuse Siftに実装が可能で、バキュームやふるいで効率的なパウダー除去が可能です。

また改修した材料は新しい材料と自動で混合可能で、高い再利用率を誇ります。

Fuse 1と産業用SLSレーザー焼結3Dプリンターの比較

Fuse 1 産業用SLS
価格 500万円~ 2,000万円~5,000万円
造形サイズ 165×165×300 mm 550×550×750 mm
強み 手頃な価格 高品質な部品 ハイスループット シンプルなワークフロー 小さなフットプリント 低メンテナンス 大規模なビルドボリューム 高品質なパーツ 高スループット 複数の材料オプション
弱み 少ない製造量 材料の選択肢が少ない 高価な機械 設置面積が大きい 必要な設備 高いメンテナンス性 専用のオペレーターが必要

SLSレーザー焼結法の材料

SLSレーザー焼結法の材料はナイロンと金属、セラミックに対応してます。ここではSLSの中心的な材料であるナイロンパウダーについてご紹介します。

SLSの場合、FDM(熱溶解積層法)とは違い、ナイロンは粉末状のパウダー材料です。そのナイロンパウダーが200℃近くまで加熱されてレーザーが照射され焼結します。そのためフィラメントで課題となる吸湿などは特に問題となりません。

ナイロンはいろいろな種類がありますが、ここではFuse 1の材料であるナイロン12とナイロン11についてご紹介しましょう。

ナイロン12

ナイロン12は高強度で高機能なエンジニアリング熱可塑性プラスチックです。その物性からナイロンは、機能性プロトタイピングと最終製品の両方に適しています。特にレーザー焼結法で作られたナイロンは硬く頑丈で、耐久性があり耐熱性を備えています。

治工具や複雑なアッセンブリーパーツ、組立品など幅広い用途に対応しており、耐衝撃性や耐摩耗性にも優れます。またナイロン12は、耐紫外線性や耐溶剤性、温度、水に耐性があります。さらに3Dプリントされたナイロンパーツは、生体適合性があり、感作性もありません。こうした特長から多くのシーンで活躍します。

ナイロン12のスペック

  • ・引張強度 50MPa
  • ・破断伸度 6~11
  • ・荷重たわみ温度 (HDT)@0.45MPa:171 °C

ナイロン11

Fuse 1では、ナイロン11も使用が可能です。ナイロン11はナイロン12と同様に高強度で高精度な造形が可能ですが、ナイロン12よりもさらに靭性、引張強度が高い材料です。折り曲げが可能なパーツなどに最適でスナップフィットや留め具などに最適です。また折り曲げても壊れない強度が求められる機能性プロトタイプや最終品に適しています。

SLSレーザー焼結を選ぶ理由。FDMや光造形、インクジェットと比べて

それでは数ある3Dプリンターの造形法式の中かからSLSレーザー焼結法を選ぶ理由についてご紹介しましょう。ここでは主にプラスチック3Dプリンターの代表的な造形方式であるFDMや光造形、インクジェットと比べた場合の比較や選ぶ理由についてご紹介します。

SLSが選ばれる理由①:高い設計の自由度

まず、SLSレーザー焼結法を選ぶ最大の理由の一つが高い設計の自由度です。3Dプリンターは造形法式によってできることやできないこと、また得意なこと、不得意なことが挙げられます。

FDM(熱溶解積層法)、光造形、インクジェットと比べた場合、SLSレーザー焼結法は比較的高い自由度があります。その最大の理由がサポート材がつかないためです。

サポート材がつかないメリット

3Dプリンターはどのような造形方式であろうとも共通して言える点が積み上げながら、積層しながら物体を形にしていくという点が挙げられます。ただ、この積み上げて積層するということは、形状によって“支え”が必要になる場合があります。主に二種類の形があります。

第一が、ブリッジといわれる形状です。ブリッジはその名の通り橋のような形状で、この形は支えであるサポート材が無ければ作ることはできません。

第二がオーバーハングといわれる形状です。オーバーハングは崖の突き出ている部分のことを指し、一般的に3Dプリンターでは45度以上の角度になるとサポートがつくといわれています。

それではなぜSLSレーザー焼結法はサポート材がつかないのでしょうか?下記は各製法別でサポート材を表した図になりますが、SLSレーザー焼結法はパウダーで各積層を敷き詰めてしまうため、サポート材をあえて設ける必要が無いのです。

FDM
光造形
SLSレーザー焼結法

サポート材がつくと、インクジェット方式はともかく、光造形やFDM方式はサポートの除去が手間になり、場合によっては表面に跡がついてしまいます。

サポート材がつかないSLSレーザー焼結法はその点でも後処理を気にすることなくさまざまな形を作ることが可能です。

表現できる形はさまざまで、凹凸であるエンボス加工やデボス加工、穴あけ、水平垂直の突起など多彩です。
→詳しくはSLSレーザー焼結法のデザインガイドをご参照ください。

複雑な形状も可能

上記のようなサポート材がつかないのに加え、SLSレーザー焼結法は材料そのものがパウダーであり、これによって非常に複雑な形状も作ることが可能です。

例えば、通常は複数の部品を作り後でアッセンブリしなければならないアッセンブルパーツも、1体成形で作ることが可能です。また、ナイロンによる焼結で作られたパーツは高い強度を持ち、ジェネレーティブ・デザインの可能性を最大限に引き出し、複雑な格子構造などの軽量設計を可能にします。

SLSが選ばれる理由②:高いプリント精度

SLSレーザー焼結法が選ばれる第二の理由が高いプリント精度です。一般的に3Dプリンターは物体を1層ずつ積層して形にしていきますが、積層を物体の化学変化によって固体にしてきます。

FDMや光造形など、物体の化学変化による収縮や反りの影響

FDMであれば、糸状のフィラメント材料を溶かして積み上げ、自然に冷却して固体にします。

光造形法では、液体状のレジンに紫外線を照射して硬化して積層します。

また同じくインクジェット方式も液体状のUV硬化性樹脂に紫外線を照射して固めていきます。

このようにFDMや光造形、インクジェットといった3Dプリンターの造形法式では化学変化を起こすことによって形にします。

しかしプラスチック材料は熱可塑性樹脂も、UV硬化性樹脂も化学変化の過程において、形状変化が起きてしまいます。一番わかりやすいのがFDM方式の材料であるフィラメントで、フィラメント材料は溶けて固まる際に熱収縮がおきて反ってしまいます。

積層が1層ずつ重なるごとに化学変化がおきており、その積み重ねによって大きい造形物だと反りなどが起きてしまいます。

しかしレーザー焼結法では、非常に微細な粒子であるナイロンパウダーにレーザービームを照射して焼き固める手法であることから、化学変化がそこまで起きていない、いわば完全に溶けてくっつくわけではないため、高いプリント精度を誇っています。

Fuse 1などのレーザー焼結法はその点で、非常に高いプリント精度を誇っており、最終品や高品質なプロトタイプなどに求められる高精度を実現します。

SLSが選ばれる理由③:高強度

SLSレーザー焼結法が選ばれる三つ目の理由が高強度です。Fuse 1ではナイロン12とナイロン11という二種類の代表に対応していますが、非常に高強度なプリントが可能です。

FDMや光造形法では、高強度な材料がありますが、パウダーを粒子レベルで焼結していくSLSレーザー焼結法はより高い強度を実現します。ナイロン12は非常に硬く頑丈な造形が可能で、耐久性と耐熱性を備え、耐衝撃性や耐摩耗性にも優れています。これにより最終品から治工具、複雑なアッセンブリーパーツ、組立品などに使用が可能です。

ナイロン11もナイロン12同様強度に優れ、かつより高い靭性や抗張力を持っています。折り曲げ可能なパーツから、耐衝撃性が求められるパーツ、スナップフィットや篏合など、非常に多彩な用途に対応します。

SLSが選ばれる理由④:高い生産性

SLSレーザー焼結法はさらに、他の造形法式に比べて高い生産性と低コストが魅力です。特に生産性に関して言うと、他の3Dプリンターとは違い、チャンバー内で造形が行われるため、プリントされる範囲が三次元の空間目いっぱいに使用することが可能です。

下記はFDM、光造形、インクジェット方式の3Dプリントの概念図とSLSレーザー焼結法の概念図ですが、FDM~インクジェット方式までが面でのプリントしかできないのに対して、SLSレーザー焼結法は空間を使ってプリントすることが可能です。

FDM、光造形、インクジェットのプリント概念と生産性
SLSレーザー焼結法のプリント概念と生産性

金型量産よりもはるかにスピーディに生産可能

これによって、数十~数百の小ロットのパーツなどであればSLSレーザー焼結法は、金型などに比べてはるかにスピーディで低コストなプリントを実現します。金型では金型設計から金型の製作、量産加工と最低でも1カ月以上はかかります。しかしFuse 1のようなSLSレーザー焼結法であれば、1日~1週間程度で小ロットの量産が可能です。

カスタムの多品種少量もオンデマンドで

またカスタマイズされた多品種少量の生産も形状ごとに金型を起こす必要がなく、非常に効率的な生産を可能にします。まだ大量生産までできるかどうかわからない、販売数がそこまで見えていない新商品などを小さいリスクでトライすることができ、ビジネスの可能性を大きく広げることができます。

SLSが選ばれる理由⑤:低い材料費とランニングコスト

SLSレーザー焼結法が選ばれる理由の一つが他の造形方式に比べて安い材料費とランニングコストです。

例えば材料費に関して言うと、ほかの製法と比較した場合、以下のような比較ができます。

 

材料の種類

形状

単価の目安(1㎏あたり)

FDM(熱溶解積層法)

フィラメント材料(熱可塑性樹脂)

糸状

約2,000円~50,000円

光造形

UVレジン

液体

約2,000円~50,000円

インクジェット

UV硬化性樹脂

液体

約50,000円~150,000円

SLSレーザー焼結(Fuse 1)

ナイロンパウダー

粉末状

約12,000円

Fuse 1の場合、材料が6㎏あたり71,000円(税別)となっており、1グラム当たりの材料コストや約11円になり、Form 3やForm 2のレジンよりも安価です。(スタンダードレジンは1リットル18,800円、1グラムあたり@18.8円)

金型量産よりもはるかに低コスト

例えば、下記のようなパーツであれば、金型量産で作ろうとすると金型代だけで最低200万円程度はかかりますが、Fuse 1などのSLSレーザー焼結3Dプリンターであれば、純粋に材料費のみしかかかりません。下記のような大きさの製品を小ロットで100個作る場合の試算イメージですが、金型量産とFuse 1では以下のようになります。

金型量産の場合
金型製作費用 100万~200万 材料コスト @200円程度

このようにFuse 1のようなレーザー焼結法で小ロットを量産する場合、純粋にプリントごとの材料費のみしかかかりません。またカスタマイズ品のような多品種少量を作る場合には、カスタム品ごとの金型が必要になりますが、Fuse 1のようなレーザー焼結法では、プリントごとの材料費のみですみます。

産業用SLSレーザー焼結法とFuse 1での内製化の比較

それでは、次に産業用のSLSレーザー焼結法とFuse 1でパーツ製造を内製化した場合の違いについてご紹介しましょう。

コスト比較

  • ・3Dプリントサービス:512.45USD(約55,000円)
  • ・産業用SLSレーザー焼結3Dプリンター:57.92USD(約6,300円)
  • ・Fuse 1:31.38USD(約3,400円)
  • ・材料使用量:0.28㎏/1パーツ

1部品あたりのコストを計算するためには、機器の所有権、材料費、人件費を計上する必要があります。

機器の所有とコストの関係

3Dプリンターなどの製造機械が誰が持っているのかで、コストが変わります。当然外注する場合と所有して内製化する場合とではコストが変わります。また、機械の寿命までに生産できる部品数が多ければ多いほど、個々の造形にかかるコストは低くなります。

材料費

材料費はSLSレーザー焼結法で使用されるナイロン粉末になりますが、産業用SLSレーザー焼結3Dプリンターとベンチトップ型のFuse 1では材料コストが異なります。

後処理にかかる工賃

3Dプリンターでは、造形後の後処理が必要になるケースが多く、そこは自動化が難しい分野であることから工賃が発生します。シンプルに造形したものの形だけ確認したいというニーズであれば、後処理も手まではありませんが、最終品レベルや高クオリティに仕上げる場合、研磨や塗装といった後工程が必要です。

例えばFDM方式ではサポート材の除去に加え、表面に積層ピッチが残ります。また光造形方式は表面はなめらかですが、サポート材の跡がのこってしまいます。

一方、SLSレーザー焼結法は他の造形方式に比べてサポート材がつかず、焼結による高強度なことから、後処理はパウダーの除去のみですみます。

初期投資と回収

SLS方式の3Dプリンターは初期投資が大きいですが、他の光造形機やFDM方式の小型機よりも早く初期投資を回収できます。特にFuse 1のようなベンチトップ型のSLS3Dプリンターでは、初期投資や設備投資も不要で、参入障壁を大幅に軽減し、ほとんどの用途で1台あたりのコストを削減します。

産業用のSLSレーザー焼結法ですと、前述しましたが、初期投資に機械本体で2,000万円以上、使用環境の整備や人員の手配でより多くのコストがかかります。一方Fuse 1では、初期投資に500万円程度、導入後は低い材料費と年間保守料ですみます。

まとめ

SLSレーザー焼結法は、これまで産業用として一部の企業でしか利用することが難しい機種でしたが、Fuse 1のようなベンチトップ型の3Dプリンターが登場することで、より幅広い企業での利用が可能になります。また何よりも、高強度、高精度に加え、低いランニングコストから、これまで金型を作らなければ難しかった小ロット、世界が大きく広がることでしょう。