Fuse 1のプリントのコツ。デザインガイドはこちら

Fuse 1 SLSレーザー焼結法でプリントするコツとは?

Fuse 1はレーザー焼結(SLS)方式の3Dプリンターです。レーザー焼結法は、粉末状のナイロンパウダーにレーザービームを照射し、1層ずつ焼結(焼き固める)して形にする技術です。材料が非常に細かい点や、サポート材がつかないという利点がありますが、プリントに成功するにはコツがあります。

本稿ではFuse 1で3Dプリントが成功するデザインガイドをご紹介します。

出典:Formalbs「Fuse 1 SLS Design Guide」をもとに作成

注:本ガイドラインは、Formlabs Nylon 12 PowderをFuse 1で110ミクロンで印刷した場合に作成されたものです。

デザイン別:成功しやすいサイズ

まず初めにFuse 1で3Dプリントする際に成功しやすいサイズについてご紹介します。3Dプリンターではさまざまな形状を造形することが可能ですが、形状ごとに成功しやすいサイズがきまっています。

最大造形サイズ 159.2×159.2×295.5(mm)

Fuse 1の造形エリアは165×165×300(mm)ですが、3Dプリントで一体成形できる最大造形サイズは159.2×159.2×295.5(mm)になります。

最小ピン径 0.8mm

最小ピン径とは、最も小さくプリントできる直径のことを指しています。Fuse 1は0.8mmになります。ただ、Fuse Shiftで後処理をする際には、折れないように気を付けてください。

最小穴径1.0mm

最小穴径とは、Fuse 1でプリントできる最も小さい穴の直径のことです。穴の直径が1.0mm未満の場合、プリント中に穴が閉じてしまうことがあります。精密な同心円状の穴を3Dプリントする場合、小さめのパイロットホールを設計し、リーマー(穴あけ)を使って穴をあけてください。

支えなしの最小壁の厚さ 水平0.3mm/垂直0.6mm

Fuse 1では非常に薄い壁も作ることができます。支えなしの最小壁の厚さは水平方向で0.3mm、垂直方向で0.6mmです。ただ形状によって薄すぎる壁は、反ってしまったりモデルから外れてしまうことがあります。

支えありの最小壁の厚さ 水平0.3mm/垂直0.6mm

支えがある支持壁の最小の厚さも水平方向で0.3mm、垂直方向で0.6mmです。ただ形状によって薄すぎる壁は、反ってしまったりモデルから外れてしまうことがあります。

エスケープホール 直径3.5mm以上

3Dプリンターでは中空の形状なども作ることができます。ただレーザー焼結法で密閉された空洞を作る場合、適切な脱出孔がないと未焼結の粉体が内部に残ったままになってしまいます。

造形後に内部の粉を取り出すためには、直径3.5mm以上の脱出孔を2つ以上設ける必要があります。この逃げ穴を大きくすることで、内部の空洞から未焼結粉を除去しやすくなります。

最小限のエンボス加工

レーザー焼結法は表面にエンボス加工も施すことができます。エンボスとは浮き出しという意味で、凸を付けて文字や絵柄を表現する加工方法です。Fuse 1では、下記のサイズでエンボス加工も可能です。彫刻や文字が小さすぎる場合には、見えないことがあります。可能な限り太字のフォントを使用すると表現しやすくなります。

水平面

  • A.1 深さ:0.15 mm
  • A.2 幅:0.35 mm
  • A.3 テキスト・フォントの高さ:4.5 mm
  • A.4 テキスト・フォントの深さ:0.3 mm

垂直方向の面

  • B.1 深さ:0.35 mm
  • B.2 幅:0.4 mm
  • B.3 文字フォントの高さ:4.5 mm
  • B.4 文字フォントの深さ: 0.3 mm

最小限のデボス加工

デボス加工はエンボス加工の反対、凹ませて文字や絵柄を表現する加工方法です。Fuse 1ではデボス加工も施すことができます。彫刻や文字が小さすぎる場合には、見えないことがあります。可能な限り太字のフォントを使用すると表現しやすくなります。

水平面

  • A.1 深さ:0.1 mm
  • A.2 幅:0.3 mm
  • A.3 テキスト・フォントの高さ:3 mm
  • A.4 テキスト・フォントの深さ:0.3 mm

垂直方向の面

  • B.1 深さ:0.15 mm
  • B.2 幅:0.35 mm
  • B.3 文字フォントの高さ:3 mm
  • B.4 文字の深さ: 0.3 mm

最小組立許容差

造形後にアッセンブルすることを想定したパーツ(ジョイントやギアなど)の場合、3Dプリント後のかみ合わせをすることを想定してわずかな隙間を開けてください。

  • 20㎟未満の場合:0.2mm
  • 20㎟を超える部分:0.4mm

一体型アセンブリのクリアランス

一体型のアッセンブリパーツを一緒に3Dプリントする場合には、プリント中に造形モデル同士が融合しないようにクリアランスを確保する必要があります。クリアランスは以下の通りです。

  • 20㎟未満の場合:0.3mm
  • 20㎟を超える部分:0.6mm

反りの影響を受けやすい形状

Fuse 1はパウダー状のナイロン粉末にレーザービームを照射させながら焼き固めていく造形方式なため、サポート材が不要などのメリットがあります。しかしその一方で形によっては反りなどの影響を受けやすい形状があります。ここでは造形法式の影響を受けやすい形状についてご紹介します。

厚みを均一にする

Fuse 1で造形する形状は可能な限り、造形モデルの厚みを一定に保つようにしてください。レーザー焼結法はレーザーで焼き固めるため冷却時に反りが発生する可能性があります。この反りを軽減するために厚みを均一に保つ必要があります。

応力集中の緩和

造形モデルの形状で押し出ている部分には応力が集中しやすく応力によって変形しやすくなります。応力の影響を最小限にとどめるためには、エッジ部分をアールを付けるなど緩やかにする必要があります。

アスペクト比の管理

アスペクト比が高い部品は、反りが発生しやすくなります。薄い形状の場合には、リブやドラフトなどの特徴をつけることで、反りのリスクを軽減することができます。

ラティス(格子)の設計

ラティス(格子)構造を設計する場合、造形後に構造内に付着した粉体を取り除くことを想定してデザインする必要があります。造形後に粉体の除去をしやすくするには、格子と格子の間の隙間を8mm以上にしてください。

デザインにハードウェアを組み込む

Fuse 1では、造形モデルにパーツ類を組み込むことができます。

  • A 位置決め用ピン
  • B 耐久性のあるインサートナット
  • C シャフトやレールと同心円状のブッシング

プリント設定編:プリント方向とチャンバー内の配置

Fuse 1では他の造形法式とは違い、プリント方向やレイアウトなど、造形モデルをいかに配置するかによって、3Dプリントの成功を左右します。ここからは、Fuse 1でパーツをレイアウトするコツをご紹介します。

パーツスペーシング

Fuse 1のビルドチャンバー内にパーツを詰める際には、パーツを5mm以上離すと高品質にプリントすることができます。チャンバー内のパーツを分散させることで、熱の蓄積を低減することができます。

インターフェイスパーツ

インターフェイスとしてデザインされた造形モデルを3Dプリントする場合、同じ方向に配置すると造形後にフィットしやすくなります。

高アスペクト比パーツ

高アスペクト比のパーツは、反りを抑えるために20°程度のわずかな角度をつけて3Dプリントすると綺麗に造形しやすくなります。

スナップフィットなどの曲げ特性パーツ

スナップフィットなどの曲げ特性があるパーツは、可能な限りXY平面内で曲がるように配置してください。

寸法精度

穴やピンなどの形状は、その軸がZ方向に向いているときに最も精度が高くなります。これらの形状は、可能な限りチャンバー内で垂直に配置してください。

表面仕上げ

丸みを帯びた形状や輪郭など、滑らかな表面仕上げが必要な形状の場合は、表面を下向きにしてください。一方、シャープな仕上げが必要な場合は、上向きにしてください。

まとめ 3Dプリント成功にはトライ&エラーを

Fuse 1、3Dプリンターで思った通りの造形を成功させるためには、トライアンドエラーが必要です。小さいサイズでテストプリントをおこなったり、フィットするかどうかの確認では寸法の異なる複数のテストピースなどをプリントして行うのも有効です。