大型の3Dプリンターとは
大型の3Dプリンターにはさまざまな種類が存在します。造形方式ごとに異なっており、大型のサイズも最大で1メートルを超えるサイズの機種も存在します。ここでは大型の工業用3Dプリンターにフォーカスし、価格帯や値段、かかってくる費用の特徴についてご紹介します。
大型3Dプリンターの定義
業務用大型3Dプリンターの定義ですが、造形サイズが500mm以上のもので、さらに高価格な値段の機種に限定します。
大型3Dプリンターの価格帯
業務用の大型3Dプリンターの価格は1,000万円以上します。また材料費や年間保守料などのランニングコストも比較的高額になります。
大型3Dプリンターの造形方式
業務用大型3Dプリンターの造形方式はさまざまです。FDM(熱溶解積層法)から、光造形法、インクジェットのPolyJet方式、さらには新たな方式であるジェル押出方式まで多彩です。
ここでは造形方式別に価格帯や値段、特長をご紹介します。
FDM(熱溶解積層法)の業務用大型3Dプリンターの価格
FDM(熱溶解積層法)の業務用大型3Dプリンターは、以下の機種が大型造形に対応しています。
F900 | Bigrep One | Bigrep Studio | |
メーカー | ストラタシス | Big Rep | Big Rep |
造形サイズ | 914×609×914(mm) | 1005×1005×1005(mm) | 1000×500×500 (mm) |
対応材料 | ABS/ASA/PC/ナイロン/ナイロン-CF/ウルテム | PLA(アンチバクテリア・ライトウェイト)・PLX(PLA高速造形)・PROHT(ABSライク)・HI-TEMP(高耐熱性)・TPU・PVA・BVOH | PLA(アンチバクテリア・ライトウェイト)・PLX(PLA高速造形) ・PROHT(ABSライク)・HI-TEMP(高耐熱性)・HI-TEMP CF(高耐熱性カーボン入り・ASAライク)・ABS・ASA・PET-CF・PA6/66・PETG・TPU・PVA・BVOH |
価格 | 5,000万円~ | 1,000万円~ | 1,000万円~ |
特長 | 大型で高強度で最終品まで造形可能。反らない | 低コストで素早い大型試作 | 低コストで素早い大型試作 |
ストラタシスF900 大型かつ最終品レベルの高強度かつ多彩な材料
もう1機種がFDM(熱溶解積層法)の開発元であるF900です。F900は大型であるだけではなく、反りやすいABSやポリカーボネート、さらにはウルテムといったスーパーエンジニアリングプラスチックまで1台で豊富な材料に対応しています。また反らずに安定して高強度で造形ができることから、大型お最終品や治具などの造形にも最適です。
光造形方式の業務用大型3Dプリンターの価格
光造形方式の業務用大型3Dプリンターは、以下の機種が大型造形に対応しています。
機種名 | ProX™ 800 | ProX™ 950 |
メーカー名 | 3Dsystems | 3Dsystems |
造形サイズ | 650×750×550mm | 1500×750×550mm |
対応材料 | UV硬化性樹脂 (15種類:スタンダードから高強度まで) | UV硬化性樹脂 (15種類:スタンダードから高強度まで) |
価格 | 499,999ドル~ (55,000,000円~) | 499,999ドル~ (55,000,000円~) |
特長 | 高精細&高強度。簡単な後処理。大型造形。 | 高精細&高強度。簡単な後処理。大型造形。 |
ProX™ 800/ ProX™ 950 3Dsystems
光造形方式の業務用大型3Dプリンターでは3Dsystemsの大型造形機であるProX™ 800/ ProX™ 950があります。それぞれ造形サイズがProX800が650×750×550mm、ProX950 が1500×750×550mmの大型を誇り、材料も1台で幅広い材料が使用可能です。大型と高精細を両立した造形を実現しました。その分価格帯も高額になります。
インクジェット方式の業務用大型3Dプリンターの価格
インクジェット方式の業務用3Dプリンターで大型の機種はストラタシスのObjet1000になります。インクジェット方式は光造形の進化版として、同じくUV硬化性樹脂を噴霧しながらUV光を照射して硬化するため、滑らかで高精細な仕上がりが可能です。
機種名 | Objet1000 |
メーカー名 | ストラタシス |
造形サイズ | 1000×800×500(mm) |
材料 | UV硬化性樹脂 (7種類:スタンダードから高耐熱、高強度まで) |
価格 | 45,900,000円~別途保守など |
特長 | 大型&高精細を両立 |
Objet 1000
Objet 1000はストラタシスのPolyJet3Dプリンターの中でも最大サイズを誇る業務用大型のインクジェット3Dプリンターです。最大造形サイズが1000×800×500(mm)を誇っており、大型でありながら滑らかさと高精細さを両立した造形が可能です。
材料は1台で7種類もの材料に対応しており、硬質な材料からゴムライクの柔軟性があるもの、さらには高強度なデジタルABSまで幅広い用途に使用が可能です。・1台でインクジェットならではの高精細なプロトタイプから、治工具、樹脂金型まで使用が可能です。
GDP(ジェル硬化)方式の業務用大型3Dプリンターの価格
大型造形に特化した業務用3Dプリンターではジェル硬化GDP方式の3Dプリンターも存在します。GDP方式とは、インクジェット方式とFDM方式の中間のような方式で、粘りが強いUV硬化性樹脂をノズルから押出ながら、UV光を照射しながら硬化させ高速で大型の造形モデルを3Dプリントする方式です。
Masivitという機種がこの方式を開発し、展示会のブースや大型の建築モデル、サイン・ディスプレイまで幅広い用途で使用されています。
機種名 | Massivit 1500 | Massivit 1800 |
メーカー | Massivit | Massivit |
造形サイズ | 1170×1500×1500 (mm) | 1170×1500×1800 (mm) |
材料 | UV硬化ジェル | UV硬化ジェル |
価格帯 | 5,000万円~ | 5,000万円~ |
特長 | 大型&超高速3Dプリント | 大型&超高速3Dプリント |
Masivit 1500/1800
Masivit1500と1800は、造形サイズの高さが違うだけで、基本的には同じ仕組みの3Dプリンターです。専用に開発された粘りが強いUV硬化性樹脂を押出ノズルから押出、積層しながらUV光を照射して高速で造形することができます。そのスピードは1時間あたり35センチ(直径1メートル)の高さまで造形が可能です。
この高速造形によって、展示会用のブースやサインディスプレイ、パネルといった大型の造作物の造形に最適です。ただし積層跡が表面に残るため、造形後には積層の段差をパテうめし、表面研磨や塗装などが必要です。
まとめ
大型の業務用3Dプリンターは様々な種類がありますが、その特長は最終品レベルの大型の造形物ができたり、大型でかつ高精細な造形ができたり、大型と高速を両立したりとさまざまな用途に特化した機種が多いです。その一方で、最安値でも初期導入コストで1000万円以上で、5,000万円代の価格帯の機種がほとんどになります。用途にあった導入を行うことが必要です。