光造形 3Dプリンターの洗浄液の種類と選び方

光造形3Dプリンターの洗浄液を選ぶにあたり、最初に考慮すべきポイントは、その洗浄液が有機溶剤に該当するかどうかです。今市場で入手できる洗浄液はどの洗浄液も洗浄力や乾燥性はそこまで大きな差はありません。

むしろ、使用する環境や、使用者の安全性など、近年の安全対策の意識や環境性などから、使用する洗浄液を判断するべきです。

こうした状況において、選ぶ際に一つの大きな指標になるのが有機溶剤かどうかになります。

具体的な選ぶポイント

有機溶剤に該当した場合、その毒性から中毒になるのを防ぐための環境構築が必要になります。 具体的には、①局所排気装置の設置、②防毒マスクの着用義務、③年二回の国家資格者による作業環境測定、④作業者の方の年二回の健康診断、⑤作業管理者の選定と運用などです。こうした対策には手間や人手だけではなくコストもかかります。

有機溶剤(IPAなど)非有機溶剤(3DMedSupoなど)
局所排気装置の有無必須不要
防毒マスクの着用必須不要
作業環境測定(年2回)必須不要
健康診断(年2回)必須不要
管理責任者の選定必須不要

光造形3Dプリンターの洗浄液選びにおいて、安全性は特に重要な要素です。特に、有機溶剤を含む洗浄液の使用に際しては、その臭いと毒性に細心の注意を払う必要があります。

有機溶剤かどうか

有機溶剤は、その強力な溶解能力により、効果的な洗浄が可能ですが、同時に強い毒性を持つことが多いです。これらの化学物質は、吸入や皮膚接触により人体に害を及ぼす可能性があります。

3DMedSupo

  • 臭いが少ない。
  • 毒性が低い
  • 有機溶剤中毒予防規則に該当しない

IPA(イソプロピルアルコール)

  • 鼻をつく強い臭いを放つ
  • 毒性が高く、吸引もNG
  • 有機溶剤中毒予防規則にのっとった取り扱い

光造形3Dプリンターの洗浄液を選択する際には、使用環境の違いを考慮することが不可欠です。特に有機溶剤を使用する場合、有機溶剤中毒予防規則(いわゆる有機則)に則った環境構築が求められます。

局所排気装置の設置有無

有機溶剤を使用する場合、揮発性の化学物質が空気中に放出されるリスクがあります。これを防ぐためには、局所排気装置の設置が必須です。この装置は、有害な蒸気やガスを直接作業エリアから排除し、作業環境を安全に保ちます。特に長時間の洗浄作業では、この装置が作業者の健康を守るための重要な役割を果たします。

局所排気装置該当表

洗浄液の種類局所排気装置の有無
3DMedSupo必要ない
IPA(イソプロピルアルコール)必須

局所排気装置の費用

設置費用含め、30万円~100万円以上

作業環境測定の有無

有機溶剤の使用環境では、定期的な作業環境測定が不可欠です。これは年に二回、国家資格者によって行われるべきもので、作業環境内の有害物質の濃度をチェックし、安全基準を満たしているかを確認します。これにより、作業者が健康リスクにさらされることなく作業できる環境が保たれます。

作業環境測定の有無

洗浄液の種類作業環境測定の有無
3DMedSupo必要なし
IPA(イソプロピル
アルコール)
必須。年2回行う

作業環境測定の費用

年間で50,000~100,000円程度かかる。

防毒マスク着用の有無

また、有機溶剤を使用する場合、防毒マスクの着用は必須です。これは、有害な蒸気やガスの吸入を防ぐための基本的な安全対策であり、作業者の健康を守る上で非常に効果的です。防毒マスクは、特に密閉された環境や換気の悪い場所での作業において重要な安全装備となります。

防毒マスク有無の表

洗浄液の種類防毒マスクの有無
3DMedSupo必要なし
IPA(イソプロピルアルコール)必須

防毒マスクの費用

約3,000円程度から、フィルターが消耗品で数百円から必要。

光造形3Dプリンターの洗浄液を選ぶ際、継続的な使用コスト、つまりランニングコストも慮することが重要です。有機溶剤の有無によって、ランニングコストは大きく異なります。

有機溶剤に該当しない場合の使用コスト

内容費用
容器無料(容器がプリンタに付属する場合) 100円~
台やトレイ無料(プリンタに付属する場合)
100円~
ペーパータオル100円~
ニトリル手袋1,000円~

有機溶剤に該当しない洗浄液の場合、ランニングコストは主に消耗品の費用に限られます。

これにはペーパータオル、手袋、洗浄トレイや容器の交換などが含まれ、これらのコストは比較的低く抑えられます。

低い毒性と安全性のため、特別な安全装置や健康診断の費用は発生しません。そのため、これらの洗浄液は、コスト効率が良く、継続的な使用に適しています。

有機溶剤に該当する場合のランニングコスト

追加項目費用
作業環境測定50,000円~100,000円
健康診断(年2回)3,000~5,000円×2回
防毒マスクのフィルター数百円/1枚

一方、有機溶剤を含む洗浄液を使用する場合は、ランニングコストが高くなる傾向があります。これには、

年に二回の国家資格者による作業環境測定の費用

②作業者の健康診断費用

③防毒マスクのフィルター交換費用

などが含まれます。有機溶剤を使用する場合、これらのランニングコストを考慮し、総合的なコスト効率を検討することが重要です。

光造形3Dプリンターの洗浄液選びにおいて、廃棄方法の手間とコストも重要な要素です。洗浄後の廃棄方法は、環境への影響と廃棄のコストに直接関わります。

一般的な廃棄の手順と手間

一般的に、レジンが溶け出している洗浄液は、有機溶剤であろうと非有機溶剤であろうと、産業廃棄物として扱われます。これは、レジン自体が特定の環境基準に従って処理される必要があるためです。そのため、この種の廃棄物は専門の処理施設に依頼する必要があり、その結果として廃棄コストが発生します。廃棄する際は、適切な手続きを踏む必要があり、これには適切な分別や梱包、運搬の手間が伴います。

廃棄コストゼロの洗浄液の選択

特筆すべきは、例えば「3DMedSupo」のような洗浄液の場合、使用済みの廃液を無料で引き取るサービスが付属しており、引き取られた廃液は蒸留されて再利用されます。これは、廃棄コストを削減し、環境への影響も軽減するため、非常に効果的な方法です。

まとめ:洗浄液一覧比較表

3DMedSupoIPA(イソプロピル
アルコール)
TMP(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル)
洗浄力×
乾燥性××
臭気×
有害性×
有規則非該当該当非該当非該当
日本での取り扱い
備考高い洗浄力と取り扱いのしやすさ、廃棄の手間が無い。洗浄力は高いが取り扱いが手間日本ではほとんど取り扱っていない水洗いレジン以外は
使用不可

環境にやさしい洗浄液とお手軽洗浄サービス(オプション)

樹脂製品の洗浄に使用される洗浄液は、環境に配慮されたものや効率的な洗浄が行えるものが用意されています。また、お手軽な洗浄サービスも利用可能です。

3Dメディカルクリーン 17.7L

3Dメディカルクリーン 17.7Lは、エタコール同様毒性が低く、臭いが少なく有機則に該当しない洗浄液です。また廃液の回収もセットで行い産業廃棄物処理の手間をなくします。

3Dメディカルクリーン 4L

3Dメディカルクリーン 4Lは、エタコール同様毒性が低く、臭いが少なく有機則に該当しない洗浄液です。また廃液の回収もセットで行い産業廃棄物処理の手間をなくします。