はじめに:光造形3Dプリンター洗浄に必要なもの
光造形3Dプリンターは、微細で精密なオブジェクトを造形するのに最適な3Dプリンターです。この技術では、紫外線を液体のUVレジンにあてて硬化させますが、プリント後の未硬化レジンを適切に除去することが、製品の造形品質に影響を与えます。 そのため、洗浄を行うための適切なツールの用意、特に洗浄液の選択が重要です。また、効果的な洗浄のためには、適切な容器や安全装備も不可欠です。この安全配慮は洗浄液の種類によって異なりますので注意が必要です。適切な洗浄環境の構築が、3Dプリントの品質を向上させるだけではなく、作業者の方々の健康管理に大きな影響を与えます。今回は光造形3Dプリンターの洗浄に必要なものという切り口から、疑問にお答えします。
洗浄液の選び方とポイント
洗浄液とは?
光造形3Dプリンターの洗浄で最も重要なのが洗浄液です。未効果のレジンは一般的には水で落とすことができません。専用の洗浄液が不可欠です。この液体は、未硬化のレジンを効果的に溶かし、取り除くために使用されます。一般的にIPA(イソプロピルアルコール)が推奨されてきましたが、IPAは使用するためには安全性、環境コスト、廃棄コストの3点からハードルが高いといえます。
安全な洗浄液の推奨
光造形の洗浄液は、現在はIPAに代わり安全性は洗浄液が推奨されます。特にIPAとは違い、有機溶剤に該当しないということが重要です。有機溶剤は安全性が懸念されるだけではなく、有規則の規則に合致した環境構築やコストが発生します。毒性、臭いなどの健康面での影響が少なく、かつ産業廃棄物処理など、運用全体で洗浄液を選択することが求められます。
IPA(イソプロピルアルコール)のハードル
有機溶剤中毒予防規則に該当
イソプロピルアルコール(IPA)は、最も一般的な洗浄液です。価格が一見安価なため、洗浄で使用されていますが、有機溶剤であることから、有規則にのっとった使い方が必要です。局所排気装置の設置や年2回の作業環境測定や、健康診断の実施などが必要です。また産業廃棄物処理の費用がかかります。
洗浄環境に必要なツールと安全環境について
3DMedSupo(メドサポ)の場合
基本的な保護装備
ニトリル手袋、キッチンペーパー、保護エプロンなどの基本的な安全装備が必要です。これらのアイテムは、洗浄液に直接触れることを避け、皮膚や衣服を保護するために重要です。
換気の良い
作業スペースの確保
洗浄作業には、良好な換気が必要です。窓や扉を開けて空気の流れを確保するか、適切な換気システムを設置することが望ましいです。
安全な作業環境の準備
作業スペースは清潔かつ整理整頓されている必要があります。すべての安全装備と洗浄道具を手の届く場所に配置します。
IPA(イソプロピルアルコール)の場合
防毒マスクの必要性
(IPAのみ必要)
IPAを使用する場合のみ、防毒マスクの着用が義務付けられます。これは、有機溶剤中毒予防規則に
のっとった決まりです。
局所排気装置の設置
(IPAのみ必要)
IPAを使用する場合のみ、局所排気装置の設置が義務付けられます。これは、有機溶剤中毒予防規則にのっとった決まりです。
作業環境測定
(IPAのみ必要)
年2回、国家資格取得者による作業環境測定を有機溶剤中毒予防規則にのっとって行う必要があります。
洗浄プロセスをサポートする補助アイテム
乾燥ラックやエアブロワー
乾燥ラックは、洗浄されたオブジェクトを均一に乾燥させるために必要です。また、エアブロワーは、小さな溝や穴に残った水分を迅速かつ効果的に取り除くのに役立ちます。
※エアブロワーで吹きすぎると造形物が柔らかいと崩れる可能性があります。慎重に使用しましょう。
残留物を取り除くための
ペーパータオルやクロス
洗浄プロセス中には、特に未硬化のレジンがプリントオブジェクトの表面に残ることがあります。残留物は、ペーパータオルやクロスを使って慎重に拭き取ることが必要です。
産業廃棄物処理の疑問
光造形3Dプリンターの洗浄プロセスでは、使用済みの洗浄液の適切な処理が環境保護の観点から非常に重要です。特に、イソプロピルアルコール(IPA)のような有機溶剤ではなくてもレジンを使用している場合、そのまま下水に流すことはできません。
所定の行政機関に問い合わせをし、地元の産業廃棄物処理サービスにて引き取り処理を行う必要があります。引き取り処理には1回あたりや容量当たりの費用がかかります。
3D MedSupoでは、廃液をそのまま無料で引き取り処理を行うため、産業廃棄物処理のコストと手間がかかりません。
環境にやさしい洗浄液とお手軽洗浄サービス(オプション)
樹脂製品の洗浄に使用される洗浄液は、環境に配慮されたものや効率的な洗浄が行えるものが用意されています。また、お手軽な洗浄サービスも利用可能です。
3Dメディカルクリーン 17.7L
3Dメディカルクリーン 17.7Lは、エタコール同様毒性が低く、臭いが少なく有機則に該当しない洗浄液です。また廃液の回収もセットで行い産業廃棄物処理の手間をなくします。
3Dメディカルクリーン 4L
3Dメディカルクリーン 4Lは、エタコール同様毒性が低く、臭いが少なく有機則に該当しない洗浄液です。また廃液の回収もセットで行い産業廃棄物処理の手間をなくします。
まとめ:正しい洗浄のために
光造形の洗浄に関して、用意するものがさまざまあります。また使用する洗浄液の種類によっても異なってきます。正しい洗浄環境の用意は、洗浄工程自体をより効率化し、造形物の品質にも影響を与えると同時に、作業者の健康、さらにはランニングコストなどにも影響を与えます。そのため洗浄液の選択から正しい判断が求められます。