3Dプリンターを使えばここまで透明ができる!

3Dプリンターでは、「透明」の造形物を作り出すことができます。これまで透明なモノは量産化されたものが一般的で、アクリル板やアクセサリのレジンなどを除いて作れるものの形状が限定されていました。

しかし、3Dプリンティングの技術が進むことで、3Dデータからさまざまな形の透明な造形物が作れるようになっています。

そこで今回は「3Dプリンターで作る究極の透明レシピ」ということで、3Dプリンターと透明材料を使えば、どのようなことができるのか?その全貌をご紹介します。

本コンテンツでご紹介する内容

3Dプリンターでどこまで透明性を実現できるのか?

3Dプリンターでどのような形の透明な造形物が作り出せるのか?

透明な造形物を作るのに向いている3Dプリンターとは?

3Dプリンターを使った透明な造形物の作り方

3Dプリンターとプラスアルファで透明性を高める方法について

3Dプリンターで作った透明造形物の劣化を防ぐ方法

3Dプリンターを使った透明のケーススタディ集

3Dプリンターで透明な造形物を作るときの値段(初期導入コストやランニングコスト)

3Dプリンターで透明な造形物を作るときのリードタイム、期間

3Dプリンターで透明に色を付ける方法

3Dプリンターで透明を作るためのおススメ商品たち

3Dプリンターを使えばどこまで透明性を実現できるのか?

3Dプリンターを使えば透明、半透明の造形物を作り出すことができます。また造形後に研磨やコーティング材による仕上げ加工を施すことで、成型品に近い高い透明度や、透明のカラーバリエーション、耐UVや防汚防傷といった機能を施すことができます。

3Dプリンターでどのような形の透明な造形物が作り出せるのか?

3Dプリンターでは、いろいろな形の透明な造形物を作り出すことができます。3Dプリンターは積層造形ともいわれ、薄い層を積層しながら形にしていくため、基本的にどのような形でも透明で作り出すことが可能です。ここでは3Dプリンターで作ることができるさまざまな「形」についてご紹介します。

3-1 板状のもの

3Dプリンターではベーシックな板状の透明造形物を作ることができます。板状ではアクリル板などがあるのでそこまでニーズはありませんが、厚さや大きさは自在に変えられます。

3-2 球体のもの

3Dプリンターでは比較的難しいですが球体の透明な造形物も作ることができます。完全球体ではありませんが、後仕上げを施すことで透明性もUPできます。

3-3 細かい造形物

3Dプリンターでは光造形やインクジェットを使用すれば細くて微細な透明な造形物を作ることもできます。

3-4 肉厚なもの

3Dプリンターでは肉厚な造形物でも造形後に後仕上げを施すことで透明性を高めることができます。

3-5 複雑なもの

3Dプリンターを使えば、量産加工や切削などでは難しい複雑な形状のもの透明で作ることができます。

3-6 カップ・ボトル

3Dプリンターでは透明なカップやボトルの形状を作ることもできます。造形後に透明なコーティングを施すことでと高い透明性出すことができます。

透明な造形物を作るのに向いている3Dプリンターとは?

それでは透明な造形物を作るにはどのような3Dプリンターが適しているのでしょうか?

プラスチックの3DプリンターにはFDM方式や光造形方式、インクジェット方式、レーザー焼結方式がありますが、透明な造形物が作れるものは光造形方式とインクジェット方式の2種類になります。

造形方式

透明性

特長

値段

FDM方式

完璧な透明は難しい。材質が半透明なで積層跡が残る

低・デスクトップで利用可能

光造形方式

透明レジンを使い、造形後に研磨・コーティングを施すと透明性UP

低・デスクトップで利用可能

インクジェット方式

透明レジンを使い、造形後に研磨・コーティングを施すと透明性UP

高・ハイエンド機扱い

レーザー焼結法

×

材料に透明がない

高・ハイエンド機扱い

FDM方式と透明

FDM方式の3Dプリンターでは、フィラメントを積層するため積層跡が残ってしまい、透明性を表現することが難しいです。また、FDM方式の材料ではポリカーボネートやPETGが透明よりですが、厳密には半透明なため、完璧な透明性のある造形物は難しいのが現状です。

光造形方式

光造形方式の3Dプリンターでは、透明性のあるレジンがあります。透明レジンを使用すれば高い透明性のある造形物を作ることができます。ただし光造形も積層跡がわずかに残るため完璧な透明に仕上げるには造形後に研磨やコーティングが必要です。

インクジェット方式

インクジェット方式の3Dプリンターも基本的に光造形と同じ材料を使用するため、高い透明性を発揮することができます。ただしインクジェット方式の3Dプリンターは高い点や、高い透明性を出すためには造形後に研磨が必要になります。

レーザー焼結方式

レーザー焼結方式では使用できる材料がナイロンが中心であり、透明性のある造形物を作るのは難しいです。

3Dプリンターを使った透明な造形物の作り方

3Dプリンターを使った透明な造形物の作り方についてご紹介します。透明造形物を作るには以下の流れで作ります。

1.3DSTLデータを用意する

3Dプリンターで出力するためにはSTLOBJ形式の3Dデータが必要です。CADソフトなどで設計後、STLデータで書き出し、3Dプリンターに送ります。

2.スライスソフトでプリント設定

STLデータを3Dプリンター専用のスライスソフトでプリント設定を行います。スライスソフトとは、プリント方向、積層ピッチ、サポート材の設定などを行います。

3.3Dプリント

スライスソフトから3DプリンターでSTLデータを送ればプリントスタートです。3Dプリンターの設定は基本的に自動か、手動で行います。

3.後仕上げ

3Dプリント後には、後加工を行います。サポートの除去や洗浄(光造形・インクジェット)を行います。

4.後加工

3Dプリンターで作られた透明な造形物はそのままだと積層跡が残ったりしているため、透明性を発揮するには研磨やコーティングといった後加工が必要です。

3Dプリンターとプラスアルファで透明性を高める方法について

3Dプリンターで作られた透明な造形物はそれだけでは完全な透明ではありません。後仕上げを加えるだけで驚くほど高い透明性を表現することができます。

研磨 

透明性を高める第一の方法が研磨です。3Dプリンターの造形物がそのままの状態だと透明性が低い理由の一つが積層跡です。積層跡によって光の透過性が落ち半透明に見えます。研磨を施すことで積層跡が消えます。研磨は自動のブラストだけではなくやすりを使って進めます。

コーティング

3Dプリンターの造形物の透明性を高める方法として、コーティングも有効です。コーティングはクリアコートやレジンコートなどがありますが、表面の透明性を上げるだけではなく、耐候性などをUPさせるクリアコーティングや有効です。またコーティングの方法は塗ったり、つけたりなどがいろいろな方法が有効です。

研磨+コーティング

研磨とコーティングの2種類を施すことでさらに透明性を高めることができます。

3Dプリンター造形物の透明の劣化を防ぐ方法

3Dプリンターで作られた透明の造形物の劣化を防ぐ方法としてコーティング材の使用が有効です。UVコーティングや防汚、防傷コーティングを施すことでより長く造形物を使用できます。

UVコーティング

UVレジンなどUV硬化性樹脂を使用した造形物は、一般的に紫外線で劣化するといわれています。劣化の度合いは一概には言えませんが、少なくとも透明な造形物は紫外線で黄色くなります。こうしたUVの劣化を防ぐにはUVコーティング材の塗布がお勧めです。UVコーティングを施すことで、造形物の紫外線による黄ばみ、劣化を防ぎ長持ちさせます。

防汚・防傷 

耐候性を防ぐだけではなく、傷や汚れが付くのを防ぐのもコーティング材の優れたところです。特に防汚、防傷では、自動車で使用されているコーティングなどが有効です。例えばナノメタルコーティングはレアメタル配合のコーティング材で優れた防汚・防傷硬化を発揮します。

3Dプリンターを使った透明のケーススタディ

ここでは実際に3Dプリンターを使った透明のケーススタディをご紹介しましょう。

球体

球体の透明造形物の3Dプリント事例です。球体は形状によっては積層が難しく跡が残るケースもあります。なるべく細かい積層ピッチで造形し、コーティング材を手で塗ったり、つけたりすると透明性を出しやすくなります。

四角

四角い形状の透明造形物の3Dプリント事例です。四角い形状は研磨なども施しやすく、造形後に研磨&コーティングを施すことで、より高い透明性を出すことができます。

複雑なモノ

複雑な形状の造形物は後加工が難しい傾向にあります。特に手での研磨は難しくブラストやコーティング材での透明性UPが効果的です。

カバー

カバーなどの造形物も形状によっては後加工が難しい場合があります。その場合もブラストやコーティング材での透明性UPが効果的です。

やすりの違い

やすりの効果を示す例です。紙やすりで透明性を向上させるこつは番手を細かく刻んで仕上げる方法です。番手を細かく刻むことで1回あたりのやすり掛けの回数は少なくてすみ、かつきれいに仕上げることができます。仕上げにはコンパウンドなどを使用すれば成型品に使い仕上がりを実現できます。

アート作品例 

3Dプリンターと透明材料を使用したアート作品も登場しています。Form3+とクリアレジンを使った3Dプリントネイルアートをご紹介します。

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3Dプリンターで透明な造形物を作るときの値段

3Dプリンターを使って透明な造形物を作るときの値段についてご紹介します。初期導入コストやランニングコストがどの程度かかるのか、どの機種がおすすめかを合わせてご紹介します。

光造形3Dプリンターを使用する場合

光造形3Dプリンターを使って透明な造形物を作る場合、Form3+が高い透明性と安定性を発揮します。Form3LFS方式という密度が高いレーザービームの照射によって、透明な造形が可能です。

必要項目

価格

Form3+本体

767,000円(税別)

クリアレジン

22,000円(税別)

3Dプリンターで透明な造形物を作るときのリードタイム

3Dプリンターで透明な造形物を作るときのリードタイムについてご紹介します。基本的に造形物の形状の複雑さやパーツの数、造形サイズなどによって異なりますが、プリントを開始してから数日間になります。

項目

リードタイム

3Dプリント

1日~2日程度

研磨

1日~3日程度

コーティング

1日~2日程度

3Dプリンターで透明に色を付ける方法

3Dプリンターの透明な造形物に色を付ける方法はいくつかの手法があります。ここではカラーの透明な造形物を作る手法についてご紹介します。

塗装する方法

透明な造形物に塗装するためには、色付きの透明材料でしか塗装できません。色付きの透明塗料を用意するか、もしくは染料などで透明なコーティング剤を染めるという方法もあります。

ViVid Color キャンディカラーが作れる染料

Vivid Colorは透明なコーティング材や塗料に調色することができる染料です。造形後にVivid Colorで調色したカラーでコーティングすると透明材料に色を付けることができます。

ガラスペイント

ガラスペイントはガラスなどの透明な造形物に塗装できる塗料です。アクリルペースの3Dプリンターの透明造形物にも使用することが可能です。

レジンに混ぜる方法

光造形3Dプリンターの場合、レジン自体に染料を混ぜる方法があります。ただしこの場合はメーカーが推奨していないケースが多く、造形の失敗などの場合には保証が受けられません。

Formlabsカラーキット∔クリアレジン

Formlabsではカラーキットといわれるカラーインクを使用した調色キットが登場しています。このカラーインクをクリアレジンに使用することは可能です。ただしメーカーの保証対象外となります。

3Dプリンターで透明を作るためのおススメ商品たち

3Dプリンターで透明材料を作る際のおススメ商品をご紹介します。

1)Form3

Form3は透明な造形物が作れる光造形3Dプリンターです。LFS方式によって高精細で滑らかな造形が可能で、透明性も高いです。また安定性にすぐれほぼ失敗しない高品質なデスクトップ3Dプリンターです。

クリアレジン

クリアレジンForm3 3Dプリンターで使える透明材料です。アクリルベースの材料で、中空から複雑な造形物まで作ることができます。造形後に研磨やコーティングとも相性が高いです。

UVカットクリア

UVカットクリアは透明な造形物の表面に施すコーティング材です。紫外線を遮蔽するため、透明度を高めるだけではなく、紫外線からの劣化を防止します。

ナノメタルコーティング

ナノメタルコーティングは防汚、防傷のコーティング材です。レアメタルを配合したコーティング材で、造形後に塗布することで造形物が長持ちします。

5)ビビットカラー

ビビットカラーはキャンディカラーが作れる調色染料です。透明なコーティング材や塗料に混ぜることでより光沢のある多彩な色調を表現することが可能です。

6)ガラスペイント

ガラスペイントはガラスなどの透明な素材の上に塗装できる塗料です。独特の質感を表現することができます。

7)KOVAX

KOVAXはサンドペーパーです。豊富な番手を誇っており、番手を細かく刻むことでより研磨を簡単にします。

8)似我蜂

似我蜂は研磨専用のコンパウンド材です。研磨の仕上げにこのコーティング材を施すことでより美しい成型品に近い仕上がりを実現できます。