ヘッド交換が簡単にできるマルチ機能搭載の試作特化型3Dプリンター「ZMorph」

ヘッドの付け替えで多機能工作が可能

3Dプリンターに様々な工作機の機能を搭載し、1台でオールインワンの使用ができる機種が続々と登場している。以前にご紹介した、FABtotumは、1台で3Dスキャンからフライス盤、3Dプリンターという三つの機能を有していた。

また、「ZeGo」は3Dプリンターとミリングやスケッチなどの機能を有する機種であった。このようにこれまでご紹介してきたオールインワン機種は、3Dプリンターを基準にして、ミリングやフライス盤といった平面加工を追加する機能が追加されていたといっていい。

しかし今回ご紹介する機種「ZMorph」はこれまで紹介してきた機能をはるかに超えるマルチ機能搭載の3Dプリンターだ。それは3Dプリンターの機能だけ見てみても異なる13種類の素材が使用できることからもうかがえる。

多機能を構成する基本的な仕組みはヘッドを付け替えることによって可能にしているが、そのカバーしている工作機の範囲は3Dプリンター以外にレーザーカッター、ミリング加工、フライス盤、二色3Dプリントなどだ。

多機能ヘッド3Dプリンター「ZMorph」動画

レーザーカッター

ミリング加工

3Dプリンター

3Dプリンター機能で13種類の素材、マルチカラーが可能

まずはじめに3Dプリンターとしての機能だが、既に3Dプリンターとしても13種類の素材が使用できる。全てあげると一般的な3DプリントフィラメントであるABSや、PLAに始まり、PVA、ナイロン、スティックフィラメント、ポリカーボネート、BandLay、LayBrick、LayWoo-D3、ゴム(エラストマー)、セラミック、ケーキ、チョコレートが使用できる。

基本的にはフィラメント形状の素材と、セラミック、ケーキとチョコはヘッドが異なり、付け替えることによって使用が可能。また、2色プリントを可能にするデュアルヘッドに付け替えることでカラーのグラデーションプリントが可能になる。今の低価格3Dプリンターでマルチカラーが可能な機種はほぼないと言っていい。このように3Dプリンターとして見ても多くの試作に利用することができる機種だ。

ABS樹脂の3Dプリント

ケーキやチョコの3Dプリント

デュアルヘッド3Dプリント

 試作に特化することで製品開発を支援

この多機能ヘッドに付け替え可能な3DプリンターZMorphの開発は2年前の2012年から開始されており、もともとオープンソースの3DプリンターRepRapの変形から始まっている。開発目的はプログラミングやエレクトロニクス、メカニクスに慣れていない人でも自社の製品開発の試作に3Dプリンターやレーザーカッターなどが気軽に利用でき、試作に活かせるということを主眼に置いている。

そのためZMorphの使用方法は極めて簡単でヘッドを付け替えればいろいろな機能が使用できる。ちなみに価格は3Dプリンター本体は約20万円ほどで、ヘッドはデュアルヘッドが約4万円程度で、それ以外のヘッドが2万3千円程度。RepRapがベースになっていることからかなり低価格で購入できる。まさに試作にうってつけのモデルだと言えよう。

3Dプリンター用ヘッド1.75㎜

3Dプリンター1.75㎜ヘッドの動画

3Dプリンター用ヘッド3mm

3Dプリンター3㎜ヘッドの動画

デュアルヘッド

デュアルヘッドプリント動画

セラミック3Dプリンター用ヘッド

セラミック3Dプリント動画

チョコ・ケーキ用ヘッド

チョコレートの3Dプリント動画

CNCフライス用ヘッド

CNSフライス動画

レーザーカッター用ヘッド

レーザーカッター動画

ZMorph 3Dプリンタースペック

  • 対応素材と機能:ABSPLA、PVA、ナイロン、スティックフィラメント、policarbonate、BandLay、LayBrick、木材(LayWoo-D3)、ゴム、セラミック、ケーキ、チョコレート、金属彫刻、木材彫刻、フライス加工、ペーパーカッター
  • ノズル型:交換可能タイプ 0.3mm、0.4mm、0.5mm
  • フィラメント直径:3mm、1.75mm
  • 稼働速度:500mm/秒
  • 積層レベル:0.2mm(ABS)、0.1mm(PLA)
  • ナビゲーション:グラフィック付液晶パネル
  • 通信:USB、LAN、無線LAN対応
  • 外形寸法:530mm×555mm×480mm
  • 重量:20kg

 まとめ

現在この多機能ヘッドの3DプリンターZMorphはアメリカ、イギリス、オランダ、スカンジナビアで購入することができる。またフランス、スイス、フィンランド、スウェーデンでも展開を開始し、ロシア、トルコにも正規販売代理店を通して大々的に世界展開する予定だ。世界中の国で新たに製品開発に取り組む人々にむけて提供するのが狙い。

ちなみにこのZMorphがこれまでのオールインワン試作機よりも優れている点は、その多機能にもあるが、ヘッドを簡単に付け替えられるという点にある。他社のオールインワン工作機はヘッド自体を交換するのではなく、ヘッドのノズル部分を変えるパターンが多く、仮にヘッド自体が故障してしまうと全ての機能が使用できなくなってしまうという心配があった。

しかしZMorphの場合はヘッド自体を交換することができるためそのような心配点はない。上記で述べた通りZmorphはもともとはRepRapの改良プロジェクトに端を発している。3Dプリンターのオープンソース化はさまざまな機械を生み出しそうだ。

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