シンガポールのZecotekは高速3Dプリンタの開発を発表

3Dプリント分野に他業種メーカーが新規参入

シンガポールに本社を置くZecotekディスプレイシステムは、カナダを本社とするZecotekフォトニクス社の完全子会社だ。主に画像処理や精密機器のメーカー。

高解像度医療用画像処理システムの開発や、医療用光学機器に使用されるシンチレーション、光電子増倍管などを作っている。

Zecotekディスプレイシステムは独自の特許取得済みの技術をもって3Dプリント分野に進出し始めている。

1月には新たに独自技術による3Dディスプレイシステムを開発、そして2月に発表されたところによると、高速3Dプリンターの開発を開始する発表を行った。こうした一連の動きにより、Zecotek社の株は上昇している模様だ。

3Dメガネが不要の高性能3Dディスプレイ

Zecotek社が既に設計した新しいディスプレイシステムだが、3Dメガネをかけることなく、高精度な3Dデータを肉眼で確認できるシステムだ。

この高性能3Dディスプレイシステムも利用用途は、3Dプリンターで出力する前に隅々まで、3Dのデザインを確認するためのもの。

3Dプリント技術はまだまだミスプリントが多く、3Dデータがあれば何でもプリントできるわけではない。

特にデスクトップタイプの3Dプリンターは複雑な形状はミスプリントが多く、そのプリンターの解像度を超える精密な解像度は再現することができず、ミスプリントにつながる可能性が高いのだ。

そのため、材料の無駄や時間の無駄をなくすためにも、事前に3Dプリンターで出力する前に確認できることは非常に重要だ。Zecotek社はこの3Dディスプレイシステムに対して以下のように発表している。

我々の3Dディスプレイシステムは、エンドユーザーがプリンタで出力する前に、立体物の最も現実的なビューを提供します。個別または複数のユーザーは、すべての角度から、完全な3Dのオブジェクトを表示する機能を持っており、必要に応じてオブジェクトを編集することができます。これにより、時間、材料、コストの3つを節約することができ、設計と製造プロセスの間に、真の3D画像を提供します。

Zecotek社の高性能3Dディスプレイシステム

高速3Dプリンターの開発

既に発表された3Dディスプレイシステムに連動するかのようにZecotek社は高速3Dプリンターの開発を発表。

アルメニアのレーザー、結晶技術を持つ企業LT-PYRKAL社と提携を結んだ。3Dプリント技術の現在の課題は第一が造形スピードの向上と言われている。

各社3Dプリンターの生成スピードの向上を図っており、大手メーカーの3DsystemsはGoogleとも共同研究を行っているぐらいだ。

しかし、3Dプリンターのスピードが向上させるには、造形精度や正確さを保持したままスピードを向上させるという課題がある。

現在の3Dプリンターは解像度、すなわち積層密度によってスピードも異なるのが通常。

一定の精度を保ちつつ、従来よりも高速で物体を生成することが必須となる。そうした精度を保ち、ミスプリントを防ぐという観点からもZecotek社のもつ3Dディスプレイシステムは3Dプリンターとの連動性はばっちりだ。

3Dプリント技術の高速化の記事はこちら

まとめ -3Dヴァーチャル技術との融合で性能アップ-

アメリカの宇宙航空産業の企業、ロッキード・マーチンでも3D技術の導入は進んでいる。

ロッキード・マーチンでは製造プロセスに3D技術を取り入れる独自の取組を行っている。

デジタル・タペストリーと言われるこの取組は、Zecotek社が開発しているような3Dヴァーチャルディスプレイを利用するものだ。

使い方は同じで、3Dプリントする前や量産に入る前のデザインの確認や、ミスプリントの削減につなげることだ。

また、デザインの修正や変更をデータ上で加え、肉眼で視認できるため、試作コストをかけずに精度の高いパーツの製造ができるという。

そうした点からもZecotek社の3Dディスプレイシステムと高速3Dプリンターは、3Dプリンター本来が持つメリット、コスト削減、リードタイムの減少をより完璧なものにしてくれるシステムだ。

今後の3Dプリント技術の新たな使い方を拡大する開発だと言える。

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