未来のメーカーを育てるワークショップコレクション11 in シブヤが開催予定

「何を作るか」を育むイベントワークショップコレクション

これからの時代のものづくりにおいて、デジタル技術はこれまで以上に大きな役割を占めることになる。とりわけ中心的な存在となるのが3Dプリントとプログラミングだ。3Dプリントは、三次元のデータからダイレクトに物体が製造できる技術として、今後のものづくりや製品開発において中心的な役割を担うもの。

一方でプログラミングはIOT、ものがインターネット化される時代においては必須の技術だ。今後は多くのモノがアプリケーションやソフトウェアを通じて操作されるようになるため、製品のさまざまな機能を具現化し、コントロールするためにプログラミング技術がより重要になる。この二つのテクノロジーは、まさにこれからの時代のものづくりに必須のものだが、この二つの技術を十分に使いこなすためには、もっと根本的な部分が確立されていなければならない。

すなわち「何を作るか」「人に価値を与えるどんなモノを作ることができるか」という製品開発の核に関わる部分だ。この部分がなければ、せっかくのテクノロジーも本来の力を発揮することはできないし、宝の持ち腐れで終わってしまう。たとえば、欧米諸国では3Dプリントやプログラミングに関する教育を小中学校から導入し始めているが、それは、頭が柔軟でさまざまな発想ができる年齢から、「何を作るか」という創造力を育むことを目的としているに違いない。

日本の公式な教育機関ではカリキュラムとしてこの二つのテクノロジーを教える取組は開始されていないが、本日ご紹介するワークショップコレクションは、そんな新たなテクノロジーに触れながら、子供たちの創る力を育む取組の一つだといえるだろう。ことしで11回目になるこのプロジェクトは、子供達がプログラミングや3Dプリント技術に触れることで、それを使って自由な発想を形にするイベントとして注目を集めている。子供達の創る力を育む画期的な取り組みをご紹介しよう。

世界最大のこどもたちの創作イベント

ワークショップコレクションは今年でなんと11回目の開催になるイベントだ。2004年に開始されて以来、参加者は毎年増加しつづけ、今では2日間の開催でのべ10万人を超えるほどまで成長している。その分野は多岐に渡っており、造形、絵画、サイエンス、映像、環境、デジタル、音楽などさまざま。あらゆる分野で未来のクリエイターたちを育てるイベントとして、国内外から注目をされているプロジェクトだ。

ちなみに昨年2014年度は青山学院大学のシブヤキャンパスを会場として行われ、約100以上ものワークショップが集結した。その内容をいくつかご紹介すると、以前もご紹介したことがある電子工作キットlittleBitsや、ロボットを動かせる子供むけプログラミング言語Scratch、電子回路を導電性インクペンで描けるAgiC、3Dプリントペンの3Doodlerなど、デジタル技術をつかった、ものづくりに親しめるこども向けの体験が盛りだくさんだ。

もちろん、100種類ものワークショップイベントは、デジタルを使用するのみだけではなく、手作り工作や体をつかったイベントなども充実している。そんなワークショップコレクションだが、今年も昨年同様8月29日(土)と、30日(日)に開催が決定した。それでは次に今回の第11回についてご紹介しよう。

第11回は渋谷の街全体が子供の創造力を刺激するイベント会場に変身

今回、8月29日(土)と30日(日)に開催するワークショップコレクションは、なんと、取り壊し前の渋谷のビル2棟を使っての一大イベントだ。また、メイン会場の2棟だけではなく、渋谷のさまざまなビルがサテライト会場として参画。各スポットで体験型のイベントを行うことができる。

ちなみにその一例をご紹介すると、ものづくりのカフェであるFabCafe Tokyoや、こども科学センター・ハチラボ、NHKスタジオパークなど、合計11箇所のスポットが体験ゾーンとして利用できる。まさに渋谷の街全体が、子供達のためのワークショップコレクション会場になっているといっても過言ではない。

100以上のワークショップが集結。3Dプリントやプログラミングなど最新のデジタル技術が体験できる

もちろん今回参加するワークショップも日本全国から100以上に登り、最新のデジタル技術を使ったものづくりや、イラスト、サイエンス、電子工作、絵画、音楽、自然など、さまざまな分野において子供達の興味を喚起し、創造力を引き出すための体験ができる。

そこではデジタルモノづくりの中心でもある3Dプリンターや電子工作、プログラミングを使ったワークショップが行われ、デジタルツールを使った絵本なども作ることが可能だ。今後の教育にとって、3Dプリントやプログラミングといったデジタル技術は必須のスキル。こうしたテクノロジーを学ぶきっかけとしても最適なワークショップが勢ぞろいだ。

100以上ものワークショップが集結

昨年度の第10回は、たった2日間の開催で述べ10万人の子供たちが参加するほどの巨大イベントになった。子供の創作イベントとしてはまさに世界一であり、今回もこれまでとは全く異なるコンセプトで非常に期待が集まるところだ。

最近では3Dプリント技術やプログラミングなどのデジタル技術の教育に力を入れる傾向が強いが、テクノロジー自体の習得以前に、「何を作るのか」という創造力をカタチにするための根源的な部分を引き出してあげる取り組みが必要なのではないだろうか。そうした点からもこのワークショップコレクションの意義は大きいといえる。

最新のデジタル技術を使った体験が
子供の自由な発想を伸ばす

プログラミング教育を普及させるプロジェクトPEG

この子供たちの創造力を伸ばす取組を主催しているのは、NPO法人CANVASだ。ワークショップコレクションは1年に1回の子供たちのものづくりイベントだが、CANVASは独自にPEGというプログラミング学習プロジェクトを運営している。PEGはProgramming Education Gatheringの略で、日本語訳するとプログラミング学習普及プロジェクトという意味がある。

冒頭で述べたように、今後のものづくりや製品開発において、プログラミングがより重要性をましてくることから、いち早く、それに対応する動きだと言えるだろう。このPEGではIT業界の雄Googleからも後援を受けており、驚異的な実績としてなんと1年間で5000個にものぼるラズベリーパイを全国の小中学校に提供したとのことだ。

ラズベリーパイはイギリスでうまれた教育用のコンピューター。全世界で累計500万台以上も販売されたいわば、プログラミングやハードウェアを学習するためのキットだ。弊サイトでも度々プログラミング学習キットとしてラズベリーパイはご紹介してきたが、CANVASはPEGを通して全国の子供たちにこのキットを配布、子供たちに、次の時代のデジタルものづくりの楽しさを伝えている。

面白いのが、単純にデバイスを配布するというだけではなく、学校などの教育機関や、自治体、地元企業など、地域コミュニティを巻き込む形でプログラミング教育に結びつけており、このような形で時代の最先端を担うテクノロジーが子供たちに普及してくことは実に意義深いことだといえる。

既にラズベリーパイを5000台以上導入
柔軟な発想ができる年齢から教育が必要

まとめ 未来のメーカーの卵を育成する取組

プログラミング教育は一見すると、無味乾燥な勉強になりかねない危険性を帯びている。プログラミングコードと呼ばれる数字や記号の羅列で構成されていることから、実際にコードだけ眺めても実感が沸かない。とくに感受性豊かな子供たちには、教え方や方法を間違えると、一発で興味をなくしてしまう危険性を帯びている。

また3Dプリンターなどの3Dデザインも、実際に具体的な形状を作る前に、発想やアイデアがなければならない。このように見てみると、プログラミングと3Dプリントという二つのテクノロジーを活かす力は、大人よりもむしろ、先入観がなく柔軟な頭脳を持つ子供たちのほうが適していると言えるだろう。そして、その子供の豊かな発想を活かし、次代を担う人材を育成するためには、単なる機械的な説明やハードウェアの操作ではなく、より楽しみながら自由に創造力を伸ばす取組が必要だ。

こうしたことからも、ワークショップコレクションは未来のメーカーの卵を育成する画期的な動きだといえよう。

ワークショップコレクション11 in シブヤ

CANVAS

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