ボルボトラックスはストラタシスの3Dプリンターで生産コストを94%カット

ボルボトラックスの3Dプリンター利用

ボルボトラックスは自動車で有名なボルボのトラック部門だ。実はあまり知られていないが、ボルボは、自動車やトラックだけではなく航空機関連の事業を手がけるボルボ・エアロや、建設機械を製造するボルボ建設機械など、9つの部門を製造する巨大コングロマリットになる。その分野は乗用車、トラック、航空機、建設機械、船舶まで及ぶ。

ボルボトラックスはその中でもトラック部門を担当する部門で、ルノートラックや日産ディーゼルを傘下に収め世界15カ国で展開するトラックメーカーの最大手だ。そんなボルボだが、自社製品の製造ラインに3Dプリンターを導入している。従来は3Dプリンターは製造現場でプロトタイプの製造が中心であったが、徐々にさまざまな使用方法が普及してきている。

本日はストラタシスの3Dプリンターを導入し、生産時間を94パーセントもカットしたボルボトラックの事例をご紹介。

ボルボトラック 3Dプリンター

30種類の工具を3Dプリントし生産時間を94パーセントカット

ボルボトラックが3Dプリンターを使って製造したのは、製造業ではお馴染みの治具やクランプ、支柱といった部分。3Dプリンターが導入されたのはフランスリヨンの工場では、ストラタシスのFDM 3Dプリンターによって、30種類以上ものパーツ類を製造しているとのことだ。

治具については以前の記事「3Dプリンターの治具製造で多品種少量生産の中小企業の競争力を強化」で詳しく述べたが、製造ラインには必須の工具で、製造するものや組立ラインに合わせた様々な形状の工具。例えばあるパーツとパーツを組み立てるためには、それぞれのパーツを固定しなければならない。

しかし、パーツの形状や設置する場所などはさまざまで、それ専用の固定具が必要になる。治具はこうしたもので、1個1個設計し、カスタマイズして作るのが当たり前だ。ボルボトラックはこうした治具や、クランプ、支柱といった製造ラインに必須の工具をストラタシスの3DプリンターFortus 3Dプロダクションシステムと、ABS樹脂ABSプラスという材料に切り替えることで、従来36日かかっていた設計・製造日数をたった2日に短縮することに成功しているというわけだ。

ボルボ 3Dプリンター 治具
ボルボトラックスが3Dプリンター生産に切り替えた30種類の治具
ボルボ 3Dプリンター 治具
36日の設計・製造期間を2日に短縮

材料コストも90パーセントカット

通常治具をつくる場合は、1個1個設計図を引き、それに合わせて外部に発注するという方法が一般的。金属の場合もあれば樹脂の場合もある。ボルボトラックスの場合は、金属の治具を使っていたため、コスト面でも大幅なカットに成功している。

今回のケースでは、1立方センチメートルあたり、約113ドルのコストが掛かっていたものが、ABSフィラメントによるダイレクト製造で、1.13ドルまでコストカットに成功した。ちなみに治具は、上記で説明下通り、製造ラインや組立ごとに作るため、一度使ってしまうと二度と使うことはあまりない。つまり完全使い捨てというわけだ。

まさに3Dプリンターの最大の強みである、リードタイムの短縮と圧倒的なコストカットという部分が最大限生かされている事例だといえよう。

ボルボ 3Dプリンター 治具
エンジンホースの位置を固定する治具

ABSフィラメントについては「3DプリンターのABSフィラメント完全ガイド」で特長や注意点、更にはおススメ製品もご紹介していますのでそちらをご参照ください。

まとめ 3Dプリンターは企業競争力を強化

治具製造に3Dプリンターを生かしている例ではドイツの自動車メーカーオペルなどでも使用されている。また、治具自体は製造業では頻繁に使用する工具であることから、3Dプリンターが最も威力を発揮する部分だといえよう。例えば、このボルボの事例では治具の製造に36日かかっていたというが、極端なはなし、治具ができてこなければ組み立てることは不可能なため、36日分足止めを食うということもある。

しかし、それが2日で作ることができれば、その分の時間をさらに別のモノに有効利用できるというわけだ。3Dプリンターの有効活用は、製造現場に革命をもたらすだけではなく、同時に企業競争力を大幅に高めることになる。そうした格好の事例だといえよう。