地球にいながら誰でも正確に宇宙が見れる
ISS、国際宇宙ステーションは、地球から400km上空に位置する宇宙ステーションである。400km上空に位置するといっても停止しているわけではなく、秒速7.7kmという途方もないスピードで地球の周りを周回している。そのスピードは、なんとたった90分で地球を一周してしまうほどの速度だ。
その目的は地球や天体の観測や、宇宙といった特殊空間におけるさまざまな研究や実験を行なうことにある。2011年7月に開始して以来、3年近くたつが、最も資金を多く提供しているアメリカの計画では、少なくとも2024年まではその運用が行われる見通しだ。
この国際宇宙ステーションの運用と開発に参加する国は、合計で15ヵ国にも登り、アメリカを筆頭に、日本、イギリス、EU諸国、ロシアと、先進国の最先端技術が詰まったプロジェクトと言えるだろう。人類にとって未知の分野である宇宙の解明と追及は、世界各国のトップや、先端技術者だけではなく、多くの人々にとっても興味深い分野だ。
とりわけ学生や子供たちにとって、宇宙という人類の理解の範囲を超える分野は興味の対象と言っていい。宇宙の観察を行なう際に最も頻繁に使用されるのが天体望遠鏡だろう。特に子供や学生、一般人が宇宙を観測しようと思えば天体望遠鏡を使用するしかない。
その一方で天体望遠鏡は地球から宇宙を見上げるため、地球を覆う大気の影響を受けることになり、あくまでも地球からの宇宙しか見ることができないのだ。
もし大気の影響を受けずに、正確に宇宙の映像を見ようとするならば、宇宙望遠鏡を使用するしか方法はない。宇宙望遠鏡とは地球の衛生軌道上に打ち上げられた、いわば宇宙空間にある天体望遠鏡のことで、地球を覆う大気に邪魔されず宇宙空間の観測ができる設備だ。
しかしこの宇宙望遠鏡は非常に多額の費用がかかるため、到底、一個人では持つことは不可能なしろもの。まだまだ多くの人類にとって宇宙は地球から眺めるものに他ならないのである。
そのような中、新たにスマートフォンと3Dプリンターを使って、宇宙望遠鏡を作ることができるプロジェクトが登場している。本日ご紹介する宇宙望遠鏡はスマートフォンと3Dプリンターで作ることができるオープンソースのもので、宇宙の正確な観測ができる。
3Dプリントできる宇宙望遠鏡UltraScope

国際宇宙ステーションと連動した自動ロボット宇宙観測所
今回ご紹介するUltraScopeは、マイクロソフトとOpen Space Agency (OSA)が提供する新たなプロジェクトだ。この宇宙望遠鏡UltraScopeを使えば、ユーザーはスマートフォンを使って地球に居ながらにして宇宙空間の正確な画像をキャプチャーすることができる。
しかもこのUltraScopeはデータが配布されており、3Dプリンターやレーザーカッターで作ることができるというもの。一言でいうと、高性能な宇宙望遠鏡を3Dプリンターで簡単に作ることができるといわけだ。
しかし、地球から観測するのであれば一般的な天体望遠鏡とどのように異なるのだろうか。実は、このUltraScopeはウィンドウズのノートパソコンを中継基地として経由させることで、国際宇宙ステーションから正確な位置情報をキャッチし、位置や方向を自動調節することができるという機能を持っている。
この機能により、これまで入手することが不可能であったプロレベルの宇宙画像を地球に居ながらにして入手することが可能だ。まさにオープンソースの自動ロボット観測所と言えよう。
国際宇宙ステーションから位置情報を入手し、ウィンドウズノートパソコンからUltraScopeのAruduinoに情報が転送、自動でUltraScopeの位置を修正。その後、クラウドを介してNokiaのスマートフォンから画像を入手できる。

パーツを3Dプリンターで作り組み立てる

オープンソースと3Dプリンターで改良が加速
このUltraScopeは、多くの3Dプリントできるデバイスと同様オープンソースなのが特徴だ。そのためデータを自分の好きなようにカスタマイズすることができるし、独自にバージョンアップしたデータを再度アップロードして公開することができる。実は現在公開されているUltraScopeも過去1年半にわたって改良されてきたモデルだ。
宇宙空間の観測に情熱を持つ、世界中の多くのアマチュアのデザイナーや、エンジニア、科学者たちによって、オープンに改良がされてきた結果になる。マイクロソフトとOpen Space Agency (OSA)は、今後数年間で、一般消費者が誰でも完璧に使用できるモデルに改良していくことを計画中だ。そのためこのUltraScopeは、まだまだ開発の途上にあるといえる。現在使用することができるスマートフォンはノキアの41万画素CCDを搭載したLumiaの1020スマートフォンになる。
オープンソースで常に改良される


UltraScope動画
まとめ
このUltraScopeはオープンソースと3Dプリンターを上手く利用した画期的な開発だと言えよう。地球に居ながらにして、地球を覆う大気に邪魔されることなく、正確に宇宙を観測することができるという理想を、クラウドを介した多くの人々のアイデアを結集することで具現化しつつある。
世界中からその分野に関心のあるデザイナーやエンジニアを集め、クラウド上で自由にその考えやアイデアを上書きし続けることで、一企業では到底なしえない製品改良を可能にするのがオープンソースの力だとすればUltraScopeはその典型だ。
今や一部の欧米の先進企業(GEやローカルモーターズなど)が製品開発にオープンソースを積極的に取り入れているが、3Dプリンターが真の力を発揮するのは、オープンソースと組み合わさったときなのかもしれない。
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