3Dプリンターの展示会TCT JAPANレポート

3Dプリンター専門の見本市

TCT JAPANは、3Dプリンター専門の一大見本市だ。日本の3Dプリンターやデジタルものづくりに関する展示会は、今回ご紹介するTCT JAPANと、次世代3Dプリンタ展、MakerFairなどが存在する。

中でもTCTは、過去5年間の開催で、出展企業、来場者数共に増加し続けている3Dプリンター、アディティブマニュファクチャリングの一大展示会だ。今回は2017年から2019年に開催された過去3回のレポートをもとに、TCTJAPANの傾向と特長をご紹介しよう。

5年で出展者が2倍。規模は約3倍に拡大

TCTとは、Time Compression Technologyの略で、3DプリンティングやAM(アディティブマニュファクチャリング)などの応用によって、あらゆる産業における新製品・技術開発/製造プロセスの加速化・最適化を図る技術のことを指す。

出展企業も3Dプリンターメーカーや販売代理店だけではなく、材料・ソフトウエア・サービスビューロー・表面処理・計測・アカデミアなど多彩な出展者がそろう。

その規模は、過去5年間で出展社数が2倍(50社から100社)、展示館全体の規模である小間数は3倍に拡大している。

この成長から、例年約40%が新規出展で占められており3Dプリンティング市場の成長に伴い、新規参入・事業拡大に向けたマーケティング機会として利用する傾向が高い。

多彩な業界が注目する3Dプリンター

TCT JAPAN 2019は43,622名の来場者が訪れ、2020年度は更に5万人の来場者を見込んでいる。来場者の業界別データを見てみると、さまざまな分野の人が3Dプリンターやアディティブマニュファクチャリングに興味を持っていることがうかがえる。

下記はTCT JAPANが発表しているデータだが、3Dプリンターに関心を持っている業界がさまざまな分野に分かれていることがうかがえる。

例えば、精密機器産業・機械が17.7%で最も多く、次いで自動車・運輸機が13.5%、材料・化学が10.0%で、電気・電子機器・総合電器が7%である。後はほぼ3%~5%のシェアで医療や印刷、アパレル・一般消費財、建設・不動産など、多岐にわたっている。

こうした点から、3Dプリント市場が多くの人にとって関心の高い分野であり、材料や印刷など、新たに新規参入をしようという分野もうかがえる。

製品開発&製造技術の来場者が50%を占める

次に、職種だが、来場者の半分が製品開発や製造に関する分野で占められている。内訳では製品開発・設計・デザインが22.7%、生産管理・製造技術が9.2%、研究開発(応用研究)が10.8%、研究開発(基礎研究)が5.9%となっている。合わせて48.6%が製品開発に関する職種になる。

製造&量産への関心が高まる

それでは来場者は3Dプリンターやアディティブマニュファクチャリングについて、どのような分野の利用に興味があるのだろうか。

第一が、製造と量産である。製造と量産は全体の4分の1、26.2%を占めている。3Dプリンターの最終品製造への利用は、ストラタシスのハイエンドFDM 3Dプリンターや、金属3Dプリンターなどが利用を開始している。

造形テクノロジーの進化で徐々に最終品の製造や量産への利用が広がりつつある。

次に多いのが試作や評価で25.6%を占める。試作や評価は3Dプリンターの従来からの役割だが、ストラタシスのPolyJetテクノロジーのように、造形技術の進化によって、試作&検証も最終品さながらのレベルまで検証することができる。

以下、研究開発が20%でこちらは新たな製品開発のテストモデルや機能試験などを目的としたものではないだろうか。

興味深いのが生産設計・型製作で5.5%の比率を占めており、デジタルモールド®など3Dプリンターをベースにした金型開発や量産への利用の一部として注目が集まっている。

樹脂から金属材料への関心が高まる

次に3Dプリンターの方式別の関心では、光造形法(13.6%)、粉末焼結法(12.9%)、熱溶解積層法(11.5%)、インクジェット法(10.8%)、の順番となっている。

ほぼどの製法の比率も同程度だが、関心がある材料では樹脂が31.1%、金属材料が33.1%となっており、樹脂材料同様に金属への関心が日本においても高まってきている結果となっている。

同時に最終品製造や生産への関心の高さが反映されていると言えるだろう。その一方で、金属3Dプリンターは粉末焼結法以外はあまり認知されていないようだ。

MIM(金属射出成形)を応用したデスクトップメタルや、ニコンの小型&高性能金属3Dプリンター「Lasermeister 100A」など、小型でありながら最終品レベルが作れる金属3Dプリンターはこれから注目度が高いと言えるだろう。

まとめ

3Dプリンターは、各方式や造形を安定させる特許技術が失効することで、続々と進化を遂げつつある。

また、金属3Dプリンターなども従来よりも小型で安価、扱いやすい機種が登場し始めており、来場者の関心の主要テーマである“製造と生産”にも対応できる機種がこれから更に登場してくる可能性が高い。

3Dプリンターはアディティブマニュファクチャリングはインダストリー4.0の中の自動化を担うキーファクターとして、いかに自社の生産体制や開発体制に取り入れるかがカギとなる。そうした点から、今後3Dプリンターの展示会は注目度が高いと言えるだろう。

TCT Japan 2020

主催 :JTBコミュニケーションデザイン
Rapid News Publications
日時 :2020年1月29日(水)~1月31日(金)
会場 :東京ビッグサイト
来場予定者数:50,000名(*同時開催展含む)
WEB:https://www.tctjapan.jp/

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