3Dプリント展レポート② ストラタシスのGrabCAD Voxel Printとデジタルモールドの新たな試み

GrabCAD Voxel Printが登場

2月14日から16日まで開催された3Dプリント展。お次にご紹介するのはストラタシスだ。

ストラタシスは、いう間でもなく3Dプリンターメーカーのグローバルリーダーだ。FDM®(熱溶解積層法)テクノロジーを開発したメーカーとしても知られ、これまでも数々の先進的な取組を行ってきた。

今回の3Dプリント展においても、次世代技術としてこの3Dプリントの概念を変える新たなテクノロジーを発表している。それがGrabCAD Voxel Printだ。

GrabCAD Voxel Printとは、同社のフルカラー&マルチマテリアル3DプリンターであるStratasys J750の造形を更に拡大してくれる新たなソリューションだ。

ボクセルとは。3Dプリントの根本を変える概念

今回紹介されたGrabCAD Voxel Printとは、ボクセルベースで物体を造形することができる技術だ。現在の3Dプリントのベースとなる3Dデータは、基本的に三次元のデータをスライス状にして、プリンターにデータを送り、材料を積層していく技術である。

そのため基本的には1層1層のレイヤーごとに物体が作られていく。しかしボクセルは、レイヤーベースではなく、一つのボックスごとに物体の構造を決めることができるテクノロジーなのだ。

ボックスごとにカラーや要素を追加できる

ピクセル×ボックスの概念。ボックス単位でカラーや特性を変えられる

もともとボクセルという言葉は、画像の解像度を示すピクセルとボックスを掛け合わせた造語だが、ボックス単位で物体を構成することが可能で、一つ一つのボックスに、カラーや特性を加えることができる。

下記はボクセルの概念を示す図とストラタシスが提供している動画だが、従来の3Dプリントでは再現することが出来ない造形を可能にする。

 表現力は無限大。カラーや物性を自在に組み込める

例えば、GrabCAD Voxel Printを使用すれば、下記のようなサンプルのように物体の内部にカラーを表現することができる。またストラタシスの場合、GrabCAD Voxel PrintとStratasys J750が組み合わさることで、まさに無限大ともいってもいい表現が可能となるのだ。

Stratasys J750は、同社のPolyJetテクノロジーの集大成ともいえる3Dプリンターで36万色のカラー表現に、ゴムライクやデジタルABSなどマルチマテリアルのアウトプットができる3Dプリンターだが、GrabCAD Voxel Printで造形を行うと、フルカラー表現に加え、部位によって柔らかかったり硬かったり、あるいは高耐熱にしたりと、物性や特性を付与することができるのだ。

ボクセルの概念図。アッセンブルすることなく、一体成形で異なる要素を配合可能

“深い表面”のカラー表現が可能に

このGrabCAD Voxel PrintとStratasys J750の組み合わせによる用途は、まさに無限大だと言っても過言ではないだろう。例えば、部位や場所によって物性や特性を変えることができれば、これまでアッセンブルなどによって異なる特性を持つバーツを組み合わせていたものが、Stratasys J750の一体成形で作ることができるかもしれない。また、カラー表現においても、その利用は広がりつつある。

ボクセル
展示されたボクセルのサンプル。内部にカラー表現をつけられたり濃い表面を実現できる

PolyJet向けの開発中の樹脂も参考展示。テールランプのデザインと試作

今回は、GrabCad Voxel Printだけではなく、PolyJet 3Dプリンターで使用できる新たな開発中の樹脂材料も展示された。

PolyJetテクノロジーはストラタシス独自の技術であり、最大36万色のカラーバリエーションに加え、マルチマテリアル機能により1000種類以上の物性再現を可能にする革新的な3Dプリント技術だが、樹脂材料の開発も日々進んでおり、それによって、広がるものづくりの可能性が展示されている。

下記の写真は展示された自動車のテールランプだが、テールランプの設計と試作は自動車のデザインの中でも最も手間と労力がかかる部分の一つでもある。特に自動車全体のデザインに大きく影響を当たるだけではなく、ブレーキ持における点滅や、ウインカーの点滅など、交通にも影響を与えるパーツであり、とりわけ重要となる部分だ。

またプラスチックの形状も複雑なパーツが組み合わさっており、試作コストにかかる費用は金型も含め数千万円に上るとされている。

特に、テールランプでは複数のプラスチックを組み合わせることで、独特の“赤”や“オレンジ”などのカラーが表現されており、一つ一つのパーツとその組み合わせ、更にはライトを搭載した際の“発光”具合まで、非常な手間がかかる部分だ。

しかし、ストラタシスのPolyJetテクノロジーと独自開発材料を活用することで、こうした複数のパーツから構成される複雑なテールランプも内部からカラー表現ができ更には一体成形することが可能なのだ。

既にアウディなどの自動車メーカーでは、このテールランプの試作にStratasysJ750が使用され始めており、表現力とリードタイム、試作コストの面で、革新的な取組を始めている。

こちらは展示されたテールランプのサンプル。本物さながらの質感、カラー表現ができる。

デジタルモールド®も進化。切削加工との組み合わせで広がる表現力

GrabCAD Voxel Print以外にもストラタシスが取り組む画期的なテクノロジーがデジタルモールドだ。

デジタルモールドは、たびたびご紹介してきたが、ストラタシスと有限会社スワニーが取り組む、樹脂型のことである。その特長は、膨大なコストがかかる金型を樹脂で作ることで、試作の効率化を図るとともに、小ロット生産を可能にする。

このデジタルモールドは、Stratasys J750などで使用できるABS樹脂の特性を再現したデジタルABSを使うことで型を作ることができるが、アルミ型などと組み合わせることで、量産性を高めたり、中子のように使用することでバリエーションやカスタマイズ性を出すことが可能だ。

このデジタルモールドだが、新たに切削加工と組み合わせることで、より表現の幅が増えている。

今回展示されたのは、デジタルモールドで作り出された樹脂型の表面を切削加工機で削り出すという使用方法。従来のデジタルモールドよりも表面が滑らかになり、よりツルツルとした本来の金型に近い質感をアウトプットすることができる。

もともとデジタルモールドは、シボなどの表面加工には優れていたが、この切削加工による滑らかさの実現により、更に表現の幅が広がった。

このデジタルモールドの新たな取組は、切削性の高いストラタシスならではの樹脂だからこそ実現が可能となったもの。下記は今回展示されたサンプル品。金型で作られたようなツルツルした質感が再現された。

進化するデジタルモールド。切削加工ができるのはデジタルABSならでは。

デジタルモールドの記事はこちらもどうぞ

まとめ 従来の3Dプリントでな不可能な表現が可能に

GrabCAD Voxel PrintとStratasys J750の組み合わせは、ものづくりの在り方を更に変革する力を秘めている一大テクノロジーだ。3Dプリンターの登場は、従来の加工技術では不可能であった造形を可能にしたが、ボクセルベースのこのテクノロジーは、既存の3Dプリンターの表現では実現不可能であったアウトプットを可能にする。

例えば、自動車のテールランプの例などは、これまでの自動車の試作では実現不可能であった価値(迅速性、コスト効率、再現のクオリティ)などをもたらしつつある。そして、この新たな価値は、デザイナーや、エンジニアなどものづくりに関わるさまざまな人々によって、更に広がり、革新を巻き起こすだろう。

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。