急成長する3Dプリント市場
昨年以降3Dプリント市場は急速に拡大し、2021年までの予測でも急成長し続けると予測されている。
その影響は非常に大きいもので、単純な3Dプリンター本体の販売数の増加だけではなく、材料市場、小売り、物流等、あらゆる段階に及ぶ。
原料調達に始まり、一連の製造工程、最終品になってから消費者の手に届くまで、全てのフェーズにおいて影響を与えると言われている。
3Dプリンターと関連サービスに関する市場規模は2017年までに60億ドル近くまで上昇し、2021年には110億ドル近い金額まで達するとも言われている。
また、3Dプリント技術自体が影響を及ぼす金額はマッキンゼーの予測だと2025年に全世界で、5500億ドルという莫大な影響があるとされている。
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プリンター大手の参入可能性
こうしたうなぎ上りの3Dプリント市場だが、3Dプリンターメーカーは大手2社がほぼ独占状態と言っていい。
大手2社はアメリカのストラタシス社と3Dsystems社だ。両社は3Dプリント技術の研究開発で20年近い実績と経験を持っており、二次元プリンターメーカーは現在参入していない状態。
しかしこの巨大な市場を前にして二次元プリンターメーカーの最大手たちも指をくわえていることは無く当然参入機会を狙っている。
現にプリンターも製造しているコンピューター関連製品のメーカーヒューレット・パッカードが3Dプリンター市場へのアクセスを発表している。
昨年度のヒューレット・パッカードの発表では、自社で製品開発することを発表しているが、一部専門家によると自社で製造開発するのではなく、既存の3Dプリンターメーカーを買収する方向も考えられるという分析も存在する。
また、日本のセイコーエプソンも3Dプリンター市場への参入を画策しているが、こちらも買収案が取りざたされている。この買収対象として名前が挙がっているのがストラタシス社だ。
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10億ドルに達するストラタシス
買収対象として名前が挙がっているストラタシス社は元はイスラエルの企業Objet社との合併によって現在のストラタシスができている。
既に2013年の業績では4億8200万ドルの売り上げを上げ、2年後の2016年度には10ドルに達する見通しだ。
製品ラインナップは工業用のハイエンドタイプから、デスクトップタイプで市場シェア第一位のMakerBotを参加にもつ。
今年の初めには世界で初となるフルカラー複合材料の3Dプリンターを発表を行った。
また3Dプリンターだけではなく柔軟なナイロン素材などの材料開発も行っている。各研究機関や外資系投資銀行が市場予測を行っているがストラタシス自体も市場予測を発表している。
ちなみにストラタシスの予測では2025年に84億ドルのグローバル市場になると考えているようだ。
ストラタシスが発表した世界初となるフルカラー複合プリンター
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まとめ
3Dプリンター市場が拡大していく過程において、その背景になっているのがデスクトップタイプの普及だ。
現在の3Dプリンターはまだ工業用での試作品製造が主で、デスクトップタイプの3Dプリンターは性能はまだまだ低いのが現状。
しかし、より低価格で品質が高い製品が登場すれば、一気に普及する可能性を秘めている。
ここ数年の3Dプリント技術の向上は目覚ましいものがあり、造形スピードも倍にする技術や、デスクトップタイプでのフルカラープラスチックプリントなど、機能面、材料面での技術的向上が見て取れる。
今はまだ性能も悪く、造形精度も模型の域を出ない状態であるが、将来的には改善されより使用範囲が拡大するのではないだろうか。
こうした拡大する市場を見据えて、二次元プリンターメーカーやその他の企業が買収によって参入してくる可能性は大いにあると考えられる。
その根拠として第一に、3Dプリント技術の研究開発は到底蓄積もなくできるものではなく、現在市場で主導的地位を占めているメーカーはみな20年近い経験に裏打ちされた製品力を持っているためだ。
また、二次元プリンターと三次元プリンターは基本的には全く異なる技術で、生成する技術も異なるものだ。そのため、いくら二次元プリンターで主導的な地位を占めていたとしても、買収でもしない限り、市場シェアを大きく塗り替えることは難しいのではないだろうか。
既に3Dプリンターのもう一つの雄3Dsystemsは大手二次元プリンターメーカーのゼロックスと提携し、R&D部門を丸ごと買収した。ストラタシスも買収か、それ以外の提携の可能性はあると言える。
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