Stratasys J55。オフィスでフルカラー3Dプリントを実現

進化するフルカラー3Dプリンターの行方

3Dプリンター開発の目指すものの一つがフルカラーでの造形だ。現在の3Dプリンターの主な用途は試作品、主にモックアップが主流だが、より最終品に近いクオリティが造形できれば、モノづくりの幅は驚くほど広がることになる。

今回ご紹介するStratasys J55(以下、J55)は、3Dプリンターのネクストスタンダードともなる革新的な3Dプリンタ―だ。

PolyJetテクノロジーの進化(画像提供:Stratasys)

J55はPolyJetタイプの3Dプリンターだ。PolyJetとはインクジェット方式のことで液体状のUV硬化性樹脂を噴霧し、そこに紫外線を照射しながら固めて造形していく技術である。

特長としては非常に細かい積層ピッチでプリントができ、高精細と滑らかな仕上がりができる。また、J55のラインナップであるJシリーズ(J850や、J826)などの機種は、さまざまカラーや物性の樹脂を掛け合わせることで、フルカラーや多彩な質感を表現可能だ。

このフルカラー、マルチマテリアルの3Dプリンターはこれまでハイエンドな最上位機種のみであったが、新たに登場したJ55は初めてオフィスでも使用できるコンパクトサイズを実現している。

デザインからすぐにフルカラーのリアルなモデルを作ることでワークフローを合理化し、製品開発をより優れたものにしてくれる。それではJ55の性能をストラタシスジャパンのショールームから余すところなくご紹介しよう。

J55はオフィスでも使用できる

J55の新機能:新たな回転造形プラットフォームとは?

J55の最大の特長の一つが、新たに開発された回転造形プラットフォームだ。従来PolyJet 3Dプリンターは、ノズルヘッドが動きながらインクジェットでUV硬化樹脂を噴霧し硬化していたが、今回のJ55からは、ヘッドが固定されて、造形プラットフォームが回転しながら積層をしていく。

StratasysJ55ヘッド

この新技術のメリットは三つだ。

プリントヘッドのブレがなく品質向上を実現

第一が、高品質の実現である。従来のPolyJet方式とは違い、プリントヘッドそのものを固定し、物理的な移動を最小限に抑えることで、ヘッドのブレを無くし一貫したジェッティングを可能にしている。これにより造形モデルの更なる品質向上を実現した。

特にJ55に搭載されている第四世代のヘッドは側面の荒れを改善し、Connexの仕上がりと比べても滑らかさが向上している。

PolyJetのヘッドの進化

コンパクト&大型造形エリアを実現

第二が、造形サイズの大型化である。J55はオフィスでも導入することができるコンパクトな筐体を持っているが、造形エリアは1,174 ㎠を誇る。

これは中型機のJ826の642㎠を超える。(ただし最大造形サイズはJ826が252×252×200mm、J55は140×200×190mmで2個造形が可能)

静音・無臭・低電力でオフィスにやさしい

第三の特長がオフィスに最適な静音と無臭の実現である。

新たな回転式造形プラットフォームではプリント時に発生する音をエアコン と同じレベル(52デシベル)に抑えることに成功しており、外付けの空気清浄機ProAero™ (オプション品)との組み合わせで造形中に発生した臭いをろ過し、空気の清浄化を行う。

この静音、無臭、なおかつ低電力によりオフィスでの手軽な使用が可能となった。

フルカラーをより深く・美しく実現する仕組み

J55のもう一つの特長がフルカラーをより深く、より美しく再現する仕組みだ。PolyJet 3Dプリンターはもともと、Connexシリーズからマルチマテリアル、すなわち、さまざまな材料の掛け合わせが行われてきたが、J55では、シリーズ最大の5材料同時造形に加え、新たな新材料の使用も可能になった。

5種類の材料を同時に使用可能

J55の最大の特長の一つが最大5種類の材料を同時に使用可能な点にある。これによりフルカラーとクリアの表現が無限大に広がり、最大50万色をこえるバリエーションが可能だ。

主な使用材料として、硬質材料であるVeroPureWhiteに、VeroBlack+、クリアでカラーの材料であるVeroVividCMY、透明材料であるVeroClearにさらに透明性が増したVeroUltraClearだ。

この5つのマテリアルを掛け合わせることで、透明フルカラーのさまざまな表現が可能となった。

約2,000色のPantone カラーも

J55は新たに、約2000色のPantoneカラーも再現可能となった。Pantoneは世界的な色見本であり、グラフィックアーツや二次元印刷、Web、プロダクトデザインなど多彩な分野の色見本として使用されている。

J55では、よりリアルな色合わせ、最終品に近いプロトタイピングを実現することができる。

VeroUltraClearで86%の光透過性

J55では新たにVeroUltraClearの使用が可能になったVeroUltraClear (2020年Q4対応予定)はVeroClearの透明性をさらに向上させた材料で、アクリルに匹敵する86%の光透過性を実現(アクリルは91%、VeroClearは75%)。より透明性が求められる造形に最適な結果をだす。

VeroUltraClear

DraftGreyで高速・低コストの造形も

J55では新マテリアルであるドラフトグレイも使用可能だ。DraftGreyはPolyJetマテリアルの中でも最も低コストで、高速3Dプリントが実現できる材料で、コンセプトモデリングや形状確認のみをスピーディに行いたい際に重宝する材料である。

ドラフトグレイ

GrabCADプリントとは?フルカラー設定が驚くほど簡単

ストラタシスの二大3DプリンターFDM方式とPolyJet方式はいずれもGrabCADというクラウド対応ソフトウェア (オフラインでも使用可能)でプリント設定を行う。

一般的な3Dプリンター用のスライスソフトは、いったんCADソフトでSTLに 書き出して読み込で使用するのが普通だが、GrabCAD Printでは、実はCADソフトからそのままCADデータを読み込むことができる。またデータ状のちょっとしたエラーならソフトウェアが自動修正してくれて、簡単にプリント設定を行うことができる。

とりわけ、未来の3Dプリンターの根幹ともいえる“フルカラー化”の設定もGrabCADPrintを使用すれば驚くほど簡単に設定ができる。GrabCADについては別途、その使い方などを詳細にご紹介するとして、ここではそのさわりをご紹介しよう。

6通りの方法でカラーを簡単に選択可能

GrabCAD Printでは単純なカラーであれば簡単に選択して選ぶことができる。その方法も6通りから可能だ。

第一が装置に充填されている材料のカラーボタンを押せば選択ができる。また挿入しているデジタルマテリアルの掛け合わせの場合、組み合わせから選択する方法や、カラーチャートから選択して設定することもできる

また、RGBやCMYKWTの数値を入力することで、自在に色を変えることができる。さらにJ55からはPantoneの番号を入力しても色を決めることができる。

GrabCADPrint

テクスチャーの張り付け

お次にCADソフトで設定したカラーテクスチャーデータをそのままGrabCADで読み込むこともできる。

GrabCAD Printは他のスライスソフトとは違い、CADデータがそのまま読み込みができるのが最大の特長だが、ライノセラスやMAYA、ZBrushなどの芸術系のCADではデザインされたテクスチャーがそのままプリントができる。OBJ, VRML, 3MFの3種で入力可能となっており、GrabCADPrintでは簡単にフルカラーのプリントが実現できるのだ。

豊富な材料の組み合わせ

J55では材料の組み合わせ方法も3パターンが選ぶことができる。カラーとクリアを併用して組み合わせう パターンやカラー重視の組み合わせパターン、またDraftGreyを中心にCMYとクリアを組み合わせるコスト重視のパターンとフルカラーを実現するための方法論が選択できるようになっており、用途に合わせて選択ができる。

GrabCAD

研磨のソリューションでフルカラーの真価が発揮される

PolyJet 3Dプリンターによって造形された造形モデルは水で飛ばすウォータージェットによってサポート材の除去も簡単だ。

また、造形後に研磨を施すことで、表面のザラザラがとれて、PolyJetマテリアル本来の美しさが登場する。

今回取材したストラタシスジャパンのショールームでは新たに研磨加工をほどこすソリューションも登場しており、造形後の研磨によってより最終品に近いクオリティを実現している。研磨ソリューションとの組み合わせで、塗装工程なしでもよりリアルな3Dプリントが可能となった。

左から(研磨無から研磨後の変化)

まとめ:次世代3Dプリンターのスタンダードに

J55は、これまでハイエンドで上位機種であったフルカラー3Dプリントを、オフィスでより手軽に実現することができる革新的な3Dプリンターだ。

プロダクトデザインの過程においてデザイナーが3D CADでデザインしたものが、その場で、すぐさま形にすることができる。

特にPantoneカラーやUltraClearなどの追加によってより複雑で奥深いカラー表現が可能となった。また、形状確認を行いたい場合には、安価で高速なDraftGreyを使用すれば、よりワークフローを効率化することができる。

プラスチックの3Dプリンターの目指す方向の一つに最終品に近づけるという点があるとすれば、J55はまさにネクストスタンダードともいえる3Dプリンターだ。

2020.6.25 投稿者:i-maker

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