聴診器のデジタル化
聴診器は医者が診察する際に必ず使用する医療器具のうちの一つだ。昔ながらの聴診器は患者の心拍数を聞くだけであったが、最近の聴診器はデジタル化が進んでいる。通常のアナログ聴診器の24倍の音響増幅機能が搭載されているものもあり、患者の心拍データをパソコンにBluetoothなどの無線で飛ばし管理するという方法だ。
パソコン上では専用の心音解析ソフトで音声データとして保存することが可能で、医療現場のデジタル化が進んでいる状況だ。最新のデジタル化が進む聴診器の市場に、スマートフォンを精密な聴診器に変換してしまう取り組みが行われている。
今回ご紹介する商品は、スマートフォンを聴診器に変化させ、心音データをスマートフォンに保存できるというスマホ用ケースSteth IOだ。なんとこの商品、15歳の少年が開発し、製品化されているという。
従来の聴診器 データが保存できない
MakerBotの3Dプリンターで試作製造
この聴診器機能を備えたスマートフォン用ケースSteth IOは、アップルのiPhoneに取り付けるだけで、iPhoneを低周波音を感知できる聴診器にしてしまうもの。開発したのは15歳のスーマン君だが、きっかけは彼の父親から聴診器の悩みを聞いていたことだ。スーマン君の父親は循環器専門医で、日常的に医療の現場で聴診器を使用していた。
しかし伝統的な従来の聴診器は心雑音が入ってしまったり、心音をデータとして記録することができない。こうした医療現場の医師としての悩みを夕食中の会話から聞いたスーマン君は、循環器専門医の持つ課題や悩みを解決したいと考えて開発に取り組んだという。
現在Steth IOは特許出願中だが、当初の試作はMakerBotの3DプリンターReplicator 2で作られたという。このデスクトップタイプの3Dプリンターはスーマン君の父親が彼に買い与えたもの。ちなみになんと製作に要した時間は約2週間程度だという。
聴診器機能を備えたスマートフォン用ケースSteth IO
Steth IO特長
- 聴診器にスマートフォンにする機能
- 正確、低コスト
- 心臓の音を視覚化
- クリアな音声と視覚的なデータがで、自信を持った診断を可能にする
- 電子医療記録のためのデータ保存
- 往診の間の録音を比較する
- 訪問することなく、ネットワークを介してデータを送信可能(遠隔医療)
まとめ -昼は学生、夜はスタートアップの起業家-
現在、スーマン君はこの聴診器になるスマホケースを販売するために本格的にベンチャー企業を立ち上げている。現在は拡大するグローバル聴診器市場を見据えて、特許出願と、量産のためのベンチャーキャピタルからの出資を模索している状況だ。
主な販路として、従来からの循環器医師向け以外に、健康志向が高い消費者や発展途上国の遠隔医療、救急医療での現場などを想定しているという。iPhoneに取り付けるだけという使い勝手の良さから、様々な医療分野での利用が可能。
また、最新のデジタル化された聴診器は相当高額だが、そうした超高性能高額品との差別化もできる。2017年度には世界の聴診器市場は3.4億ドルともいわれており、今後の拡大が期待できそうだ。
スーマン君は自分の父親が持つ仕事の悩みから、多くの循環器内科が持っている共通の課題を見つけ出し、それを解決するために製品開発を開始した。
誰かのために、社会的な意義をもったビジネスの本来の姿をなすものだ。今では3Dプリンターやインターネットといったデジタル技術が一昔とは比べ物にならないほど進んでいるため、15歳の少年でも理想と努力があれば、社会の課題や人の持つ悩みを解決するビジネスを立ち上げることができる。
昼は学生・夜はスタートアップの起業家15歳のスーマン君の動画
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