シンガポールポストは郵便局を3Dプリント対応の次世代型に変更

世界的に高まる郵便物流業界の3Dプリント化

郵便物流事業の3Dプリント対応が世界的な流れになりつつある。つい先日、アメリカの大手国際物流サービスUPSが、店舗での3Dプリントサービスを100店舗に拡大したことを発表した。また、同じくキンコーズが店舗での3Dプリントサービスを展開している。

さらに郵便事業をつかさどるアメリカ郵政公社も3Dプリンターを配備し、事業転換を図ろうとしている状況だ。こうした動きは3Dプリント大国と言われるアメリカだけではない。フランスではフランス郵政公社が大手3DプリントサービスのSclupteoと提携し3Dプリントサービスを展開し始めている。

そして新たに、今度はシンガポールの郵便事業会社、シンガポールポストが、国内の店舗に3Dプリンターを配備し、完全デジタル化にリニューアルする旨を発表した。シンガポールはかねてから3Dプリント技術の導入と開発に熱心な国だ。世界の物流拠点として、また、各国からパーツが集積する一大組立工業で産業が成り立っている。

こうした物流やサプライチェーンの中心地として成り立っていることから、ことさら3Dプリント技術には敏感であった経緯がある。本日はシンガポールポストの3Dプリント化についてご紹介。

シンガポールポスト

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郵便局を企業支援のデジタルハブにする計画

そもそも、こうした郵便や国際物流サービスが3Dプリントサービスに乗り出す原因は、どのような点にあるのだろうか。

それは至ってシンプルな原理に基づいているといっていい。基本的に、郵便も物流サービスも、モノの重さと配達距離に応じて料金が決まっている。例えばネジ1個送るにしてもその分の重量と距離分に応じた料金がかかる。

しかし、3Dプリンターが普及し、デジタルデータで対応できるモノが拡大すればするほど、彼らのビジネスは失われていくことになる。わざわざ郵便局の店舗に行って送り状を書き、料金を支払って、何日間もモノが届くのを待つという手間に比べれば、パソコンのマウスをクリックするだけで済むというこの画期的な技術は、彼らの従来からのビジネスを破壊するといっていい。

こうした現象は必ず起きる時代の流れであり、今各国の郵便会社や物流会社が3Dプリント事業に進出している理由はそこにある。こうした時代の流れを受け、シンガポールポストでもいち早くデジタル化した店舗を展開中だ。

365日24時間対応型の店舗を設置するだけではなく、スマートフォン、タブレット端末からもアクセス可能なデジタルハブとしての機能を持たせている。シンガポールポストは全島内に62の郵便局を持っているが、3Dプリンターを配備し各店舗を起業家や中小企業向のプラットフォームとして機能させていく計画のようだ。

3Dプリンターを配備したデジタルハブのリニューアル店舗

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時代に柔軟に対応するシンガポールポスト

もともとシンガポールポストの成り立ちは、シンガポールを建設したイギリスの創始者スタンフォード・ラッフルズまでさかのぼる。開設当初の1823年は軍部が運営しており、郵便局も1つしかなく、郵便事業自体もそれほどない時代であったが、徐々に時代の変化とともに拡大を続け、1854年に切手と郵便口座の事業を開始。

その後19世紀後半には小包から銀行業務へ進出し、国際的なシンガポールの役割が高まるとともに、国際物流の一躍を担う存在としてシンガポール証券取引所にも上場している。

このような時代の流れに柔軟に対応してきたシンガポールポストだが、今回の3Dプリントサービスへの拡大にあたっても、副社長の発言からその姿勢が見て取れる。

シンガポールポストの副社長エルヴィン氏は、「私たちの顧客ニーズは常に変化し続けています。この3Dプリンターを設置したイノベーションコーナーは、こうした将来の次代に合ったサービスになります。そして、郵便局の中に置いても革新的な新サービスになり、そのテストモデルとして機能するでしょう」と述べている。

具体的には3Dプリンターによる出力サービス以外に、中小企業や起業家の試作製造に始まり、将来的にはエンドユーザーの商品のプリントまで対応していきたいとしている。

まとめ

シンガポールの製造業は、加工組立工業で成り立っている。ヨーロッパやアジアなどの大手家電メーカーのパーツが集積し、シンガポールで組み立てられ出荷されるという仕組みだ。

いわばサプライチェーンの一大集積地である。それと同時に世界の物流拠点としての地位を確立し、多くの物資が流れ込んでいる。このように従来から物流が国の一大産業の一部を占めていることから、シンガポールの3Dプリンターへの関心と投資は他の国の比ではない。

今年の頭に巨額の資金を投じて南洋工科大学において一大3Dプリントセンターを開設し、さらにはセンター開設を上回る追加資金で次世代型の高速3Dプリンターの開発に乗り出している。多くの諸国が3Dプリンターを自国の産業競争力を高めるテクノロジーとしてとらえ投資を行っているが、シンガポールはその急先鋒だろう。

シンガポールポストも郵便事業をつかさどる企業とはいえ、もとはシンガポール通信庁の一部であり、国策に合致した動きをとっている。既にアメリカ、フランス、シンガポールの郵便・物流産業が3Dプリンターへの導入に動き出した。我が国の郵便事業でもそうした動きはみられるのだろうか。今後の展開が気になるところだ。

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2014.10.7 投稿者:i-maker

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