クラウド上でパーツの量産が可能に 3Dプリントサービス「Sculpteo」

拡大する3Dプリントサービス

3Dプリント技術を利用したサービスが急速に広がりを見せている。

3Dプリンターの性能はまだまだ限られたものとはいえ、高性能タイプの3Dプリンターは相当な精密さを表現できるレベルになっている。

特に3Dsystemsやストラタシス、EOSといった3Dプリンターのトップメーカーたちはプラスチックや金属、複合素材といった様々なタイプの機種を発表している。

しかし、こうしたハイエンドな3Dプリンターは価格も数百万から数千万単位と高価で、中小の製造業が導入するにはかなりハードルが高いと言わざるおえない。

しかし大量生産からくる在庫処理の問題は中小の製造業には大きく、可能な限り在庫を持たない生産体制に努めたいものだ。

そんな中、新たなサービスとして3Dプリントサービスを開始する企業が増えつつある。

日本でもキンコーズやリスマチックといった二次元プリントサービスを展開していた企業が3Dプリントサービスを開始し始めている。

海外ではキンコーズだけではなくUPSも試験的に3Dプリントサービスを開始し始めており、ウォルマートやテスコといった小売りチェーンまで3Dプリントサービスの導入を検討し始めたりしている状況だ。

こうした3Dプリントサービスの顧客ターゲットは、一部の興味がある個人やギフトなどを対象にしている他、3Dプリントで試作品などを製造したい中小企業をターゲットにしている。

基本的には3Dプリント技術の特長は単品から小ロットまでの製造だが、数量を自由に設定し、ある程度の量産を提供する3Dプリントサービスが登場している。

3Dプリントで量産を目指す「Sculpteo」

3Dプリントでの量産を開始したのは3Dプリントサービスを提供する。「Sculpteo」だ。以前本サイトでも、ご紹介させていただいたが、「Sculpteo」はフランス郵政公社と提携してフランスで3Dプリントサービスを展開している企業だ。

今回新たに開始するサービスはサイト上でより細かく3Dプリントの設定を行なえるというもの。

クラウド上で対象パーツの寸法や材質、印刷する積層精度など細かい設定をすることが可能。また、同時に数量設定を行うことが可能である程度の量産を可能にしている。

数量に応じて価格も変化する仕組みになっている。

下記は英語版だが、印刷設定のキャプチャー画像だ。

使用される3Dプリンターは「Sculpteo」が開発する新機種とのことで、ユーザーはサイト上に3DCADデータをアップロードし、印刷の詳細設定を決め、数量を決定し決済するという仕組み。その後「Sculpteo」からプリントされたパーツ類が納品されるというサービスになっている。

まとめ

現状のところ3Dプリントサービスが増え続けているとはいえ、どの企業もまだ試験的に導入を開始しているに過ぎない。

そうした中「Sculpteo」の取組は他社の3Dプリントサービスに比べて一歩先を行くものだ。フランス郵政公社との3Dプリントサービスでも中小企業を対象に、将来的にはフランス全土で展開する計画を立てている。

このサービスが提供されることで中小の製造業はわざわざ高価な3Dプリンターを導入しなくても、ある程度の数量は受注に応じて生産することが可能になるかもしれない。

その一方で明らかにしなければならないのは、量産の数量がどこまで可能で、数量に応じた納期はどの程度かということだ。

現在の3Dプリンターの造形スピードはまだ非常に遅く、相当数量産するためにはかなりの数量の3Dプリンターを配備する必要があるのではないだろうか。

例えばGEは自社で製造するジェットエンジンの燃料ノズルを3Dプリンター製造に切り替える方向だが、年間85000ユニットの燃料ノズルを製造するために高性能な3Dプリンターを60ユニットから70ユニット配備する必要がある。

GEの例が適切かどうかはわからないが、現段階の3Dプリンターの性能は生産数に比例するということは間違いない。

また常に変化し向上し続ける3Dプリント技術の性能にも機器をどのように対応させていくかという問題もある。

いずれにせよ今後「Sculpteo」がどのような動きをしてサービスを展開するか注目に値する。

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