先進国の郵便局が続々と3Dプリントサービスを開始
各国の郵便局が3Dプリントサービスに参入を開始している。フランス郵政公社のラポスト、シンガポールの郵便事業を担うシンガポールポスト、そしてアメリカ郵政公社など、先進国の郵便局が一斉に3Dプリントサービスを開始している。また、郵便局ではないが、国際物流サービスを担うUPSやFedexなども既に3Dプリントサービスを開始して久しい。
そして新たに、イギリスの郵便事業を営む企業、ロイヤルメールも3Dプリントサービスを開始した。こうした郵便・物流関連の業界が3Dプリントサービスに乗り出す理由は明白である。3Dプリンターの普及により、これまで郵送で送られていた多くのパーツ類が、データでやり取りされ、現地の3Dプリンターで生産されるようになるためである。
いうなれば郵便・物流業界が、3Dプリント事業に参入することは自明の理と言ってもいい。このまま何もせず手をこまねいていれば、必然的に売上は減少し続けるしかない。かつてアメリカ郵政公社が、インターネットと電子メールの普及という時代の波に対応しきれず膨大な赤字を積み上げたが、3Dプリント技術の普及は一つの時代の波としてとらえ、新たにその流れに適応する事業展開が必要だ。
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3Dプリントの専門企業と提携
こうした異業種、ある意味3Dプリンターが専門ではない企業が3Dプリントサービスに参入するには二つの方法がある。第一は自ら3Dプリンターと3Dデータに精通した人材を整える方法。この方法をとっているのはUPSやFedexだ。第二は、既に存在する3Dプリントサービスの企業と提携する方法だ。
イギリス郵便局のロイヤルメールはこの後者の方法を採用している。ロイヤルメールが提携したのは3Dプリンターの専門企業iMakrだ。iMakrは、ロンドンとニューヨークに拠点を持つ3Dプリンターの専門企業。3Dプリンターや材料の小売りだけではなく、高い専門知識を活かしてオンデマンドプリントサービスや、レンタルなどのコンサルティングサービスも行っている。
今回のイギリス郵便局ロイヤルメールとの提携では、iMakrがコンサルタントとして入り、イギリス全国の郵便局の配達オフィスに3Dプリンターを配備し、ローカル3Dプリントサービスとして機能させるというものだ。ちなみに、ロイヤルメール独自の3Dプリント製品もオンラインショップで購入可能。この方法はフランス郵政公社のラポストも似たような手法を用いており、3Dプリントサービスとして有名なSculpteoと提携して参入している。

まとめ
郵便局は半分国営の要素が強い。アメリカもシンガポールもフランスも国営企業である公社である。日本の印象では公的機関は民間企業に比べて動きが遅く、保守的なイメージも強いが海外諸国は別である。むしろ積極的に民間企業と提携し、経済体制やシステムを時代に対応させていく動きをとる。こうした海外諸国の行政機関や公社などの3Dプリンターへの柔軟な対応は、国の原動力がどういう要素で構成されているかを熟知し、必要な対策としてとっているのみに他ならない。
一面的に海外の対応のみを見て、日本の郵政公社の対応を判断することは危険だが、それにしても海外に比べて遅れている感は否めない。過度な平等の観点から動きが鈍いのが日本の行政機関の特長だが、競争のスピードが速い現代においては、もう少し柔軟な対応があってしかるべきだ。
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