リコーが3Dプリンターに参入、日本企業の3Dプリント市場への参入状況

日本のプリンター大手が続々と参入を発表

3Dプリンター市場の拡大を見据え、日本国内の大手精密機器メーカーたちが続々と参入を発表している。今年の3月にはキヤノンが新規事業として3Dプリンターの独自開発を発表。既に3Dsystemsの3Dプリンターを販売しているが、キヤノン独自の3Dプリンターを開発するという。

6月にはセイコーエプソンも3Dプリンター事業への参入を発表した。今後5年以内に製品化をめざし10年以内にフルラインナップをそろえるという意気込みだ。さらにここにきてリコーが新たに3Dプリンター市場への参入を発表した。既にアメリカの大手ヒューレット・パッカードが3Dプリンター事業への参入を発表しているが、日本企業の参入も盛んになりそうだ。

強力な販売網と最先端技術を持つリコー

リコーはもともと理化学研究所で開発された感光紙の製造販売を目的に1936年に設立された企業だ。今ではプリンター、コピー機、ファックス、プロジェクター、カメラなどのオフィス用品やデジタル機器の製造販売で国内でトップクラスのメーカー。

特にコピー機では日本国内でトップの市場シェアを持つ。かねてから強力な販売ネットワークと最先端技術の活用を武器に、世界中で多くの技術顧客調査グループを持っている。中でもITの最先端と言われるアメリカシリコンバレーにも新規事業開拓のための拠点リコーイノベーションズを持ち、クラウド技術、モバイル、ビジュアルコミュニケーション、画像処理などの

技術開発を行なっている。今回の3Dプリンター事業への参入でリコーは28億ドルの売上を目指す方向だ。その核となる拠点として、新横浜にRICOH Rapid Fab 新横浜 を設け、ショールームと3Dプリントサービスの提供を行なう。また9月中には厚木にも同様のRICOH Rapid Fabを開設する予定だ。

3Dプリントのトータルコンサルティング

リコーの発表を見ると、当面の所は3Dプリンターのトータルコンサルティングサービスを行なうとのことだ。自社の20年以上の経験を活かし、対製造業向けに対して3Dプリンターの活用方法をコンサルティングしながら機器自体の導入を行なうというビジネスだ。RICOH Rapid Fabはそのためのショールームの役割を果たすことになる。

扱う3Dプリンターは3Dsystemsやストラタシスの高性能モデル。両社の3Dプリンターは既に試作品製造から最終品の製造までカバーできるほどレベルが向上しており、素材も多角化していることから、製造業での導入促進を図りたい考え。現段階では大手2社の販売代理店としての役割が中心だが、自社の独自3Dプリンターの開発も進めていく方向だ。

異業種も参入して激化する3Dプリンター開発

ヒューレット・パッカードはじめ、プリンターメーカー3社が3Dプリンターの自社製品の開発を発表しているが、今後の参入状況はどのようになるのだろうか。

現状3Dプリンターの市場シェアは何と言っても3Dsystems、ストラタシスが圧倒的シェアを持ち、レーザー焼結による金属加工の3DプリンターはEOSをはじめとするドイツ企業が世界シェアの大半を占めている。

ここから日本企業の巻き返しを期待したいが、現状での大手三社リコー、キヤノン、セイコーエプソンの参入方法は、3Dsystemsとストラタシスの販売代理という形態が主流の状況だ。

ちなみに3Dプリンターは特許切れもあり、今後は製造開発が激化することが予測される。例えば3Dソフトウェア最大手のAUTODESKも3Dプリンターの汎用OSの発表とともにフラッグシップモデルの3Dプリンターを発表している。また、最近はクラウドファンディングで莫大な金額の資金を調達して資金に参入するスタートアップ企業も多い。さらに現状のトップ企業3Dsystemsやストラタシスの動きもますます盛んだ。

両社は関連企業の買収や、研究開発の設備投資で自社の地位をより強固なものにしようという動きがますます盛んになってきている。とりわけ3Dsystemsはゼロックスの研究開発部門を買収したり、Googleと新たな形態の高速量産が可能な3Dプリンターの開発など、1歩も2歩も先を進んでいる状況にある。

こうした状況の中、果たして二次元プリンターメーカーのトップ企業たちがどのような強みを持つ新商品を投入してくるかが気になるところだ。

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まとめ

インターネットが発達する以前の製品開発に比べ、クラウド技術が世界的に普及しハードウェアのオープンソース化が進む現代においては製品開発のスピードや手法も大いに異なってくる。ここ最近新規に市場に参入してくる欧米企業は、この手法を使いクラウド上から多くのアイデアと巨大な資金を調達してくる。

つまり市場に製品を投下されるスピードが飛躍的に早まっていることが言える。また、市場に投下してからもオンラインから多くのフィードバックを集め更なる改良を行なうという方向だ。一方で火がついた時の日本企業の開発スピードと、日本市場のガラパゴス化ということも挙げられる。

かつて日本企業からオリジナルなモノが生まれたケースはほぼなく、多くが欧米諸国が最初に開発し、日本企業はすさまじいスピードでそれを模倣し改良し、オリジナルよりもはるかに品質がよいものに仕上げてきた経緯がある。

また同時にその改良は日本市場における圧倒的適応力という形であらわれてきた。こうしたこと過去の流れを見ると、日本の国内市場に限って言えば市場獲得のチャンスが大いにあるのではないかと思われる。今後の製品開発に期待したい。

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