オートデスクの3Dプリント教育プラットフォームPROJECT IGNITE

官民一体でメーカー国家創設を目指すアメリカ

アメリカはオバマ大統領が中心となりメーカー国家の創設を国の政策の一つに押し出しているが、その一環として教育分野での注力が目覚しい。その取り組みは行政機関単独での動きではなく、企業や各団体、地域と連動しており、まさに官民一体という言葉がこれほどふさわしい動きは無い状況だ。

とりわけ新たな時代のメーカー振興政策にとって欠かすことができないのが、3Dプリンターメーカーや3Dソフトウェアメーカーだ。かれらの持つ技術が、製造業の能力を大幅に向上させ、優れた起業家を生み出す環境を整えるためだ。例えば3DプリンターメーカーのストラタシスやMakerBotは3Dプリンター専用のカリキュラムを作成し、小中学生から学ばせることで、子供達が革新的な製品を作り出すための下ごしらえをしているといってもいい。

またこうしたカリキュラムの作成と導入は、同時にデバイス本体の販売にも繋がる相乗効果をもたらす。このような状況の中で、3Dデザインソフトのグローバルリーダーとも言えるオートデスクが新たなメーカー育成教育における新たなプラットフォームの始動に動き出している。これはホワイトハウスが進めるメーカー振興のためのイベントだけではなく、子供や若者たちの創造力を育成する教育プラットフォームだといよう。

本日はオートデスクの3Dプリント教育プラットフォームPROJECT IGNITEをご紹介。

3Dプリントとハードウェア設計の教員向けプラットフォーム

このオートデスクが立ち上げたPROJECT IGNITEとは、創造的で実践的な技術動向に焦点を当て、学生たちに3Dプリントや電子回路などの設計技術を習得させるためのオープンプラットフォームだ。このプロジェクトは誰でも利用することが可能で、個人でも教育機関でも利用ができる。

等級は全部で12クラスに分類されており、ステップバイステップで利用することで、ハードウェアの設計から製造まで一環して学ぶことができるものだ。その過程では3Dデザインの方法から3Dプリンターの取り扱い、さらには電子回路の基板設計まで及ぶことになる。

各プロジェクトは3Dデザインと3Dプリント、あるいは電子回路などのハードウェア設計の2種類に分類されており、それぞれ各項目ごとに所要時間が記されているほど。また教師専用のインストラクションも完備されており、教育機関はこのプロジェクトに登録するだけで、専用インストラクションを使用し、学生立ちに3Dプリントやハードウェア設計の実地学習を提供することが可能だ。

その過程において必要となる設備、3Dプリンターや3Dソフトウェア、電子回路などのパーツ類は別途このプロジェクトに参加する企業から購入する必要がある。例えば、3Dプリントの入門のプロジェクトでは、シンプルなボタンの3Dプリントから始まるなど、超初心者からも参加可能。

レベルによってさまざまなクラスを選択可能

オンラインで教師が自由にクラスを設定

このプロジェクトは既に実際の学校で使用が開始されているとのことで、3Dプリント技術や電子回路設計に不慣れな教師たちにとって大きな助けとなっているようだ。このオープンプラットフォームの優れている部分はWeb上のプラットフォームを利用することで教育者がプログラム内でクラスを設定することが可能という点にある。

教師はオンライン・クラス・プロファイルを作成、学生を招待することで3Dプリンティングや3Dモデリング、エレクトロニクスプロジェクトを選択し、Web上で全て管理することができる。このオープンプラットフォームに参加する企業はデスクトップ3DプリンターのMakerBotや、導電性銀インクで電子回路を描けるelectroninks、オートデスクのフリーソフト123D回路、Tinkercadなどが参加、プロジェクトに応じてソフトとハード両方からサポートを行っている。

まとめ 学生と一緒に教師全体のスキルも底上げ

3Dプリント技術や、ハードウェア設計をいきなり教育に取り入れようとしても、その技術を教えることができる人材が圧倒的に足りない。通常の教育、例えば数学や語学、政治経済、歴史などとは違い、3Dプリントやハードウェアはより実際的な実学とも言える分野で、紙の上だけの知識でなりたつものではない。

実際に操作し手で作って動かすことができなければ本当の意味での習得には繋がらないわけだ。しかしこの二つの実地技術に精通し、それを正しく学生たちに教えることができる人材は驚く程少ない。ましてや既存の製造技術ではなく今まさにこれから発展しようという分野であればなおさらだ。そうした現在の3Dプリントやハードウェア教育の問題点を、このオートデスクのプロジェクトは補う上で最適だといえるのではないだろうか。

このオープンプラットフォームに教師が参加することで、教師自体の能力の底上げにもつながり、ある意味、学生たちと一緒に教師のスキルもレベルアップする。そんな効果が期待できそうだ。こうした企業の実際的な動きがあって初めて、国の政策も生きてくる。アメリカという国の懐の深さと、徹底した合理主義が感じさせる取り組みだ。

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