薄くて柔らかい電子回路と3Dプリントの組み合わせ
最近の3Dプリンターの普及にともなって、様々なものをカスタマイズする傾向になっている。プラスチックで形づくるものや、セラミックで形作るもの、金属で成形するものなど種類も様々だ。
このようなオンデマンドの生産は不要なものを省き、自分が欲しいモノだけを1個単位から作れるということを可能にするが、動くモノはほとんどないのが現状のところ。そのほとんどが、動かない物体。動くモノが少ない原因として挙げられるのが、電子回路の形状がある程度限定されているということがある。
言うまでもなく電子回路は物を動かすための動力源となる部分で、基盤は硬くて形状も決められている。そうしたことから、外側のデザインはある程度限定されてしまうということが言える。
しかし、本日ご紹介する「Printoo」は、薄くて曲げられる紙のようなオープンソースの電子回路のキットであるため、どのような形状にも対応可能だ。開発したのはポルトガルの会社で、現在キックスターターで資金調達を開始している。
「Printoo」の最大の特長は紙のように薄くて柔らかいことだ。そのためどのような形状にも対応できる。また、Arduinoと互換性があるため、スマホやタブレットで操作可能だ。
既に試作用の15種類のキットが公開されているが、3Dプリンターで外側を作ることにより、自分だけの動くモノが作れるというプラットフォームだ。まさに3Dプリンターの幅を広げてくれる新しい試みと言える。
「Printoo」動画
柔らかくて曲げられる高分子太陽電池モジュール

紙のように薄いモジュール

15種類のキット:バッテリコネクタ、コイン電池ホルダ、DCモータドライバ、太陽電池コネクタ、センサモジュール、LEDマトリクス、ブルートゥースモジュールなど

3Dプリンターで作ったホバークラフトと太陽光発電モジュール

スマホで動く水上バイク

導電性インクとフレキシブルプリント基板
「Printoo」が発表している15の回路基板は全てオープンソースだが、その核となる技術は導電性のインクのプリント技術と柔軟なフィルム回路にある。主に二つの先進的技術を持つ企業とパートナー関係を結んでいる。
第一は導電性インクジェット技術の企業「Conductive Inkjet」で、デジタルファイルから直接電子回路をプリントすることが可能だ。第二の企業は、薄くて軽くて柔軟な特殊ポリマー材料から構成されるウルトラフレキシブルプリント基板を製造する「Vivainnova」社だ。
この二社のテクノロジーを合わせることで、薄くて軽くて折り曲げが自由にできる電子回路の設計が可能になっている。こうした柔軟性を持つ電子回路は従来の電子機器の幅を飛躍的に広げてくれる可能性がある。
スマホで操作ができる


まとめ
プリント基板が薄くて折り曲げできるようになれば、電子機器の表現の幅は格段に広がるだろう。今まで作ることができなかったデザインや形状が可能になるし、また同時に電子回路の3Dプリントは様々な可能性を広げてくれる。
外側だけではなく、内側の動力源となる、いわば製品の動きや動作を決める回路がカスタマイズできれば、機能面でもオンデマンドな商品を作ることができるだろう。ただし、電子回路の面で1点心配点をあげるとすれば、クオリティをどこまで保てるかということが課題だ。
電子回路のクオリティはその電化製品の品質に直結してくるため、製造上の管理がとても重要になってくる。日本の電化製品の故障が少なくクオリティが高いのも、この管理面が世界トップクラスのクオリティを誇っているからだ。
管理といっても様々で、この場合は工場や材料の質など一連の製造管理をいう。テクノロジーが発展したとはいえこうした品質管理が最も大切であることは忘れてはならない。
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