続々と研究が開始される3Dプリント材料
3Dプリンターが浸透するにしたがって、素材も様々な種類のものが登場し始めている。一昔前は石膏やプラスチックだけであったが、最近では金属が当たり前のように使用でき、新素材として注目されている炭素繊維の研究などが始まっている。
一方で、従来から存在するPLA樹脂やABS樹脂も、単純な硬質なプラスチックだけではなく、柔軟性を持つものや、ゴム形状、木材形状に似せたものの開発が盛んになっている。
本日は、中国の材料メーカーPolymakerの新しい樹脂素材をご紹介。 Polymakerは2007年に立ち上げられた国際チームの企業で、当初は3Dプリンターの設計とソフトウェア開発を主な業務としていたが、材料分野の研究が立ち遅れていることから、新しい3Dプリンター用の材料を開発することに専念している。
今回発表されたのは3種類の素材で、生産開始のための資金調達をキックスターター上で開始している。
キックスターターのPolymaker紹介ビデオ
デスクトップ3Dプリンター用の3種類の新素材
Polymakerは今回あらたに3種類の素材を発表しているが、2012年の半ばに研究開発をスタートさせ、ようやく実現化にこぎつけたとのことだ。いずれも樹脂ベースの素材になるが今回の資金調達では25,000USD(約250万円)を目標にしており、原材料調達と製造設備の資金に使用されるという。以下、従来の樹脂素材との違いをご紹介する。
PolyMAX:PLAとABSの強みを合体
第一の素材はPolyMAXと言われる樹脂素材だ。PolyMAXの最大の特長はPLAの8.6倍の衝撃強度と靭性強度を持っている点にある。粘りがあるABSと比較した場合でもPolyMAXはABSよりも20%粘りがある。 ちなみにPLAはABSよりも粘りが少なく強固なのが特長。
下記はその靭性強度を比較したグラフだが、PolyMAXを一言でいうと、PLA樹脂の強みである強固さをもち、ABS樹脂の強みである粘りを持つ素材で、お互いの長所を備え、短所を補った最強の樹脂素材と言ってもいい。
PolyMAXの強度向上のグラフ
PolyFlex:柔軟性を持つプラスチック素材
第二の素材がPolyFlexだ。PolyFlexの素材は名前が示す通り柔軟性のあるフレキシブルな素材だ。1.75と3ミリメートルの両方で利用可能だ。ほとんどのデスクトップ3Dプリンターに対応しており、MakerBot Replicator 2や、Ultimaker、RepRapなど主要なメーカーのものでほぼ使うことが可能。
成形された目的物は柔軟性を持つうえに、印刷スピードも他の素材に比べて早く、おもちゃや、シール、義肢、靴、ベルトといった柔軟性を必要とするプロダクトの生成に適している。
PolyFlex画像
Polywood:実際の木材のような素材
第三の素材がPolywoodだ。Polywoodは実際の木材のような樹脂素材だ。その構造も、天然木に似た多孔質の微細構造を持っており、しあがりも木粉を使用した造形物とそう変わりは無いようだ。
既に木の粉末を使用して造形する3Dプリンターも登場しているが、Polywoodを使用することによって木粉による押し出し機のつまりや汚れを防ぐことができる。
Polywood画像
まとめ
今回Polymakrが新たに発表した3種の素材はいずれもデスクトップタイプの3Dプリンターに対応するものだが、3Dプリンターの使用の幅をより広げてくれるものに違いない。
従来のデスクトップタイプの3DプリンターはABS樹脂かPLA樹脂の2種類でしかなかったが、この3種の登場により木目調のものも作ることができるし、柔軟性のあるものも作ることができる。 また、PLAとABSの両方の強みを兼ね備えた、強固で粘りのあるプロダクトも作ることができるだろう。
高性能な業務用の3Dプリンターは様々な素材が使用できたり、異なる素材を一つの目的物に組み込んでプリントできるなど、造形できるプロダクトの幅が相当拡大しているが、デスクトップタイプはまだまだ発展の余地がかなり残されているのが現状だ。 Polymakrのように様々な材料が登場することで、3Dプリンター自体の普及もさらに加速することになるだろう。
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