3Dプリント展レポート⑤ Polymakerの広がるフィラメント材料

FDM(熱溶解積層法)3Dプリンターの幅を広げるフィラメントメーカー

FDM®(熱溶解積層法)の特許が失効したことにより、MakerBotをはじめ多数のデスクトップタイプの3Dプリンターが登場してきている。その一方で、それに対応するようにFDM(熱溶解積層法)3Dプリンター用のフィラメント材料も続々と登場しつつある。

今回の展示会からもわかるように、3Dプリンター市場の中心は、最終品を作ることができるハイエンドモデルに注目が集まっているが、その一方で、デスクトップタイプの幅も着実に広がってきている。

その核となるものが材料開発で、安価なデスクトップで使用できるフィラメント材料の多様化は、ものづくりの幅をより広げてくれることになる。今回は、そんな3Dプリンター用フィラメント材料で一歩先をいくPolymakerをご紹介しよう。

ABS樹脂、PETG、ナイロン(ポリアミド)が登場

Polymakerは、3Dプリンター用フィラメント材料のメーカーとして、幅広いラインナップを誇っている。数年前まではフィラメント材料というと、PLA樹脂やABS樹脂が一般的であったが、Polymakerは、これに加え、熱可塑性ポリウレタンポリカーボネートといったエンジニアリングプラスチックなどのフィラメント材料を発表している。

また、通常のPLA樹脂のフィラメントも、独自技術によって、幅広いラインナップを持ち、PLA樹脂なのにABS樹脂なみの耐久性を持つPolyMaxや、純粋なPLA樹脂のみで作られた木目調のフィラメント材料PolyWoodなど、PLA樹脂をベースにした画期的なフィラメント材料をそろえている。

そして今回は、こうしたラインナップに加え、デスクトップ3Dプリンターの幅を広げるさまざまなフィラメント材料が登場した。

PolyLite ABS。臭気と反りを防止したABS樹脂のフィラメント

これまでPolymakerは、ABS樹脂のフィラメントは販売していなかった。上記でご紹介したPolyMaxがその変わりとなるフィラメント材料であったが、今回は新たにPolyLiteというブランド名で、ABS樹脂のフィラメント材料が発表された。

ABS樹脂は、強度と耐久性が高く、消費者製品から工業用パーツまで幅広い分野で使用されている材料だ。しかしデスクトップタイプのFDM(熱溶解積層法)の3Dプリンターで使用する場合には反りが起きやすく、臭いも強い。PolyLite ABSはそんなABSフィラメントが持つ二つの課題を解決した新たな材料なのだ。

Polymakerは、PLA樹脂も他の材料も造形持の安定性は極めて高く、完成された造形物は、3Dプリンターの種類によっては驚くほど高く、綺麗な仕上がりができる。PolyLite ABSは機能性パーツのプロトタイプなどに最適かもしれない。

PolyLite PETG。ポリエチレンテレフタレートのフィラメントが登場

ABS樹脂のフィラメントは、広く知られているが、PETG、ポリエチレンテレフタレートのフィラメント材料は珍しい。ポリエチレンテレフタレート(PETG)は、ポリエステルの一種で、私たちの身の回りに最も馴染み深いプラスチック材料の一つだ。

例えばペットボトルなどはこの材料で作られている。また、ポリエチレンテレフタレート(PETG)は、強度に優れ透明性が高い材料としても知られている。Fomr 2のような光造形3Dプリンターでは、透明材料は扱えるが、FDM(熱溶解積層法)の3Dプリンターでは、透明性の高い材料はなかなか種類が少ないのが現状である。

このPolyLite PETGは、高強度、透明性の高い造形に最適なフィラメントだ。

PolyMide™CoPA。ナイロン(ポリアミド)のフィラメント

今回、更にフィラメント材料の幅を広げた材料の一つがナイロン(ポリアミド)をベースにしたフィラメントPolyMide™CoPAだ。

ナイロン(ポリアミド)といえば、靭性や耐摩耗性、耐衝撃性にすぐれ耐熱性も高い高強度素材だ。その優れた物性から使用範囲は非常に幅広く、自動車や航空宇宙産業など工業用パーツとしても使用されている。

今回登場したPolyMide™CoPAは、ナイロン6とナイロン6,6のコポリマーをベースに開発されたもので、これによって作られた造形物はなんと180℃の高温化でも使用に耐えうる耐熱性を持つ。

もちろん強度と靭性にも優れたパーツをデスクトップで造形可能だ。ただナイロンのフィラメントは湿気の影響を受けるため、安定した3Dプリントを実現するためには常に乾燥状態にしておくことが求められる。

Polymide

まとめ デスクトップの安定性を高め幅広いアウトプットをもたらす

Polymakerは今回の新型フィラメント材料の発表によって、デスクトップで使用できる熱可塑性樹脂の範囲を大きく広げることとなった。

ABS樹脂にPLA樹脂、ポリウレタン、更にはエンジニアリングプラスチックとして知られるポリカーボネートにナイロン(ポリアミド)と、現在、工業製品で使用されている大半の熱可塑性樹脂がデスクトップタイプの3Dプリンターで利用できることになる。

またPolymakerは、デスクトップタイプの造形精度を安定させるために材料開発に力を注いでおり、より多様なFDM(熱溶解積層法)の3Dプリンターの使用に対応しつつある。

産業用で期待されるハイエンドモデルが注目される中、Polymakerのような材料メーカーの活躍により、デスクトップモデルの利用範囲も少しずつ拡大してくことだろう。

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